原爆投下で何が起きた? 「ノーベル平和賞」受賞の今こそ読みたい 子どもも大人も「戦争と平和」を考える本【4選】
原爆被害について詳しく知ることのできる作品
2024.12.08
新聞社が追った原爆被害の実態
広島に本社を置く中国新聞社。『ヒロシマの空白 被爆75年』(中国新聞社/著 中国新聞社刊)は、朝刊に連載され多くの反響を呼び、新聞協会賞(2020年度)を受賞した『ヒロシマの空白』を書籍化したもの。
公的記録に記されていない一人一人の死者の存在や、戦後数十年を経てもなお未解決の問題を独自取材で解き明かし、戦前戦後の貴重な写真とともに<原爆被害の実態>を伝える一冊です。
原爆投下後の広島で生きた子どもたち
原爆投下後、印刷機能を失った中国新聞社がニュースを口伝えで知らせる「口伝隊」を組織したという事実をもとに、小説家・劇作家の井上ひさしさんが書いた朗読劇「少年口伝隊一九四五」。
2008年の初演から、2010年に井上さんが亡くなったのちも、令和の今に至るまで繰り返し公演されています。
この台本に、描きおろしイラストを添えて、小学生から読める戦争の物語として書籍化したのが『少年口伝隊一九四五』(井上ひさし/著 講談社刊)です。
原爆投下直後、国民学校6年生の英彦、正夫、勝利の少年3人は、中国新聞社が急きょ組織した口伝隊に雇われ、ニュースを口頭で市民たちに伝えますが……。
広島の惨状と、その中で懸命に生き、死んでいく少年たちの姿が胸を打つ物語です。
ズッコケ三人組の作者が描いた原爆の真実
那須正幹さんは「ズッコケ三人組」シリーズの著者として広く知られています。
エンターテイメント色豊かな児童文学作品を数多く手がけた作家ですが、広島で生まれ3歳で被爆した経験から、『屋根裏の遠い旅』や『折鶴の子どもたち』など、戦争をテーマにした作品も遺しています。
ここでは、小学生から読める科学絵本『広島の原爆』(那須正幹/文、西村繁男/絵 福音館書店 刊)を紹介します。
『広島の原爆』は、生存者の証言をもとに、当時の広島の町や人々の暮らし、原爆の被害、そして、原爆開発から投下までの歴史的背景を解説した科学絵本。
核兵器の原理・放射線障害など、原爆にまつわる事柄を多角的にとりあげ、画家・西村繁男さんによる克明な絵によって、子どもにもわかりやすく伝える作品です。
被爆者・梶本淑子さんの体験
被爆者の体験した衝撃と苦しみは計り知れないものです。『14歳のヒロシマ: 被爆者が伝える戦争と平和のはなし』(梶本淑子/著 河出書房新社刊)は、広島で被爆した梶本淑子さんが伝える「戦争の真実と平和への想い」をつづった作品。
梶本淑子さんは被爆体験証言者として長年活動し、2019年には、広島県を訪れたローマ教皇へ被爆者を代表して証言を行ったことなどでも知られています。
原爆投下の日から、生き残った苦しみ、「一生語りたくなかった」記憶を伝えるために70歳にして証言者になった決意ーー梶本淑子さんによる平和のバトンをつなぐメッセージが、今の若い世代に向けて語られています。
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この記事で紹介する作品は以上ですが、「戦争と平和」をテーマにした作品はまだまだたくさんあります。ノーベル賞をきっかけに、あなたもぜひ本を手に取って、「戦争と平和」について考えてみませんか。