児童文学の人気AIキャラを現代技術で再現できるか? 「怪盗クイーン」著者・はやみねかおる×AI研究者・赤間怜奈が語る夢のAI育成プロジェクト

「児童文学×AI」が生む新たな読書体験の創造①【赤い夢学園の挑戦】

ライター:中村 美奈子

赤間 ちょうどお話をいただいた2023年秋ごろは、「生成AI」に関する世の中の関心が、急激に高まっているタイミングでした。自然言語処理研究者としては、このタイミングで「人工知能」と呼ばれているものを模したシステムや、ユーザーが使えるエンターテインメント的なチャットボットを作る企画は十分あり得る話で、トレンドに合っているなと感じました。

一方で、はやみね作品ファンとして、はやみね先生以外の誰かが生み出したものを最初から「RD」と呼んで、ユーザーに提供することには、抵抗を感じていました。

世間を賑わせている生成AIは確かに高性能ですが、それでも “あのRD”に匹敵するほど、博識で、お茶目で、慇懃無礼で、機知に富んだ会話を本当に実現可能なのかという、そもそもの疑問もありました。

私が初めてRDと出会った20年前に比べると、人工知能技術が圧倒的に進化したのは確かです。もしかしたら、そろそろ、“憧れのRD”に迫れるかもしれないという、期待もありました。このプロジェクトを通して、現行の技術で「どこまでいけるのか」を自分の目で見届けられるというのが、いちファンとして、いち研究者として、一番のモチベーションになっています。本当にわくわくしています。

──はやみね先生はこのプロジェクトの話を聞いたときはどう感じましたか。

はやみね まずはもう「おもしろい」。こういうワクワクする企画は、自分もものすごく人工知能とかについて詳しかったら、ぜひやってみたいなって思うプロジェクトですね。ただ自分の頭では無理やなっていうことで、赤間先生に丸投げさせてもらっている状況です(笑)。

──ありがとうございました。第2回では、実際に開発に入った段階で起きた問題をどうクリアしていったか、リリースまでの苦労話を中心にお話していただきます。

〈対談の続きはこちら!〉「RDらしくない」問題を解決した赤間先生の情熱〈対談の続きはこちら!〉

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あかま れいな

赤間 怜奈

Reina Akama
東北大学言語AI研究センター助教

愛知県生まれ。東北大学言語AI研究センター助教。博士(情報科学)。小学生のころに『怪盗クイーンの優雅な休暇』を読んで“歌って踊れる人工知能“に興味を抱いたことがきっかけになり、AI研究の道へ進む。 東北大学工学部時代より自然言語処理・人工知能の研究に従事、とくに自然言語文生成や対話などの研究領域に精通。国立国語研究所次世代言語科学研究センター助教、理化学研究所革新知能統合センター客員研究員も務める。 はやみね公式FC「赤い夢学園」の倉木研究所特別研究員として、「RD育成プロジェクト」の開発監修を務める。 趣味は、コーヒー、音楽、旅行。

愛知県生まれ。東北大学言語AI研究センター助教。博士(情報科学)。小学生のころに『怪盗クイーンの優雅な休暇』を読んで“歌って踊れる人工知能“に興味を抱いたことがきっかけになり、AI研究の道へ進む。 東北大学工学部時代より自然言語処理・人工知能の研究に従事、とくに自然言語文生成や対話などの研究領域に精通。国立国語研究所次世代言語科学研究センター助教、理化学研究所革新知能統合センター客員研究員も務める。 はやみね公式FC「赤い夢学園」の倉木研究所特別研究員として、「RD育成プロジェクト」の開発監修を務める。 趣味は、コーヒー、音楽、旅行。

はやみね かおる

小説家

1964年、三重県に生まれる。三重大学教育学部を卒業後、小学校の教師となり、クラスの本ぎらいの子どもたちを夢中にさせる本をさがすうちに、みずから書きはじめる。「怪盗道化師」で第30回講談社児童文学新人賞に入選。 「名探偵夢水清志郎事件ノート」「怪盗クイーン」「都会のトム&ソーヤ」「少年名探偵虹北恭助の冒険」などのシリーズのほか、『バイバイ スクール』『オタカラウォーズ』『ぼくと未来屋の夏』『令夢の世界はスリップする』(以上、すべて講談社)『モナミシリーズ』(角川つばさ文庫)『奇譚ルーム』(朝日新聞出版)などの作品がある。 子ども自身が選ぶ、うつのみやこども賞を4回受賞。漫画版「名探偵夢水清志郎事件ノート」(原作/はやみねかおる、漫画/えぬえけい 講談社)で第33回講談社漫画賞(児童部門)受賞。第61回野間児童文芸賞特別賞受賞。

1964年、三重県に生まれる。三重大学教育学部を卒業後、小学校の教師となり、クラスの本ぎらいの子どもたちを夢中にさせる本をさがすうちに、みずから書きはじめる。「怪盗道化師」で第30回講談社児童文学新人賞に入選。 「名探偵夢水清志郎事件ノート」「怪盗クイーン」「都会のトム&ソーヤ」「少年名探偵虹北恭助の冒険」などのシリーズのほか、『バイバイ スクール』『オタカラウォーズ』『ぼくと未来屋の夏』『令夢の世界はスリップする』(以上、すべて講談社)『モナミシリーズ』(角川つばさ文庫)『奇譚ルーム』(朝日新聞出版)などの作品がある。 子ども自身が選ぶ、うつのみやこども賞を4回受賞。漫画版「名探偵夢水清志郎事件ノート」(原作/はやみねかおる、漫画/えぬえけい 講談社)で第33回講談社漫画賞(児童部門)受賞。第61回野間児童文芸賞特別賞受賞。