ラン活2023最前線! 大手メーカー3社は“収納力&背負いやすさ”を追求

最旬!ラン活2023〜#2 大手メーカーランドセル編〜

ライター:遠藤 るりこ

大手ランドセルメーカーは、子どもたちのために日々改良を重ねている。デザインやカラーなどの見た目だけでなく、「収納力」や「背負いやすさ」へのこだわりを聞く。 写真提供:ふわりぃ

日本の子どもたちがランドセルを背負うようになったのは、明治時代のこと。

学習院初等科が荷物を入れる通学鞄として背負いのランドセルを導入したのち、ランドセルは全国的に普及し、日本の小学生のトレードマークとなりました。

これまで多くの子どもたちのランドセルを世に送り出してきた、大手のランドセルメーカー。毎年のように新しく、子どもたちの生活やニーズに合わせた機能が追加されています。

なかでも、近年目覚ましい進化を遂げているのが「サイズや容量(=収納力)」、そして「背負いやすさ」です。

今回は、大手メーカー3社に、2023年度向け新作と、最新機能へのこだわりをインタビュー。多くの親子に選ばれる理由が、そこにありました。
※連載全5回の2回目(#1を読む)

背負いやすさの革命は“天使のはね”

2019年には、創業100年を迎えた株式会社セイバン(以下セイバン)。セイバンのランドセルといえば、軽快な音楽のCMが有名な「天使のはね」です。

天使のはねとは、ランドセルの両肩の付け根に入っている、樹脂製のパーツのこと。そして今では、このパーツを用いたランドセルの総称にもなっています。

「天使のはねランドセルは、『子どもの小さな肩や背中にかかる負荷を少しでも減らしてあげたい』という職人たちの想いから生まれました」(セイバンランドセル事業部・久保明広さん)

子どもたちの自然な姿勢づくりをサポートするためにセイバンが重要視しているのが、「重心を安定させ、荷物を身体に密着させること」。ここ数年では、この天使のはねのみならず「背負いやすさ」を追求するさまざまな機能が追加されています。

「セイバンのなかでも一番人気の高機能シリーズは、『モデルロイヤル』。最新機能が搭載されている自信作になっています。2023年度おすすめの新作は『モデルロイヤル ナチュール』(64,900円・税込)です」(セイバン・久保さん)

「モデルロイヤル ナチュール」64,900円(税込)。写真はミルクティーベージュで全4色展開。 写真提供:セイバン

「モデルロイヤル ナチュールには、天使のはねはもちろんのこと、より背負いやすさを追求した『ひねピタ』『せみね』『背中Wクッション』などの工夫も備えています。これらの機能は、公式Youtube(※1)でも詳しく解説しています。

また、前後左右に搭載した反射材や、型崩れや傷みを防ぐ強い構造など、6年使用するうえで必要な安全性や耐久性にもこだわりがあります」(セイバン・久保さん)

※1=公式YouTube「ラン活教室」……セイバンのランドセルの機能がよくわかる

【セイバン公式】セイバンのラン活教室 <1じかんめ>ランドセルを知ろう ~プラス機能~

「『モデルロイヤル ナチュール』は、花柄をポイントに、ナチュラルガーリーな雰囲気。飾り鋲(びょう)や、かぶせ(ランドセル本体を覆う「ふた」の部分)裏など、ひかえめななかにもキュンとなるデザインです」(セイバン・久保さん)。 写真提供:セイバン

24色ランドセルデビューから定番化した“かるすぽ” 

2001年、業界初となるカラフルなバリエーションを揃えた「イオンの24色ランドセル」(現在の「かるすぽ はなまるランドセル24」)を発売。

以降、流行に合わせて毎年変わるカラーバリエーションで、子どもたちのランドセル選びに文字通り色を添えてきたのが、イオングループのランドセルです。「かるがる背おえてすっぽり入る(通称:かるすぽ)」のキャッチコピーでも知られています。

「近年は、自分らしさを大切にする多様性の意識が高まっているのを感じます。イオンのランドセルは、色だけでなく、飾りのないシンプルなものなどデザインも豊富です。性別などにとらわれず、お好きなものを選んでいただければと思っています」(イオンリテール株式会社ランドセル担当・綿引一浩さん)

2023年向け新作のおすすめは、8色のカラーが揃う『かるすぽ みらいポケット』シリーズの「スマートFLATCUBE」(69,300円・税込)です。

「かるすぽ みらいポケット スマート FLATCUBE(タブレットPCケース付軽量モデル)」69,300円(税込)。写真はミントで全8色展開。イオン、イオンスタイルなど全400店舗、イオンスタイルオンラインショップにて発売中。 写真提供:イオンリテール

「かるすぽ みらいポケットの最大の特徴は、荷物に合わせてポケットが広がるデザインです。小マチが3センチから8センチまで伸び縮みするため、荷物が少ない日はスッキリと、荷物が多い日は総マチ最大19センチの超大容量になります」(イオンリテール・綿引さん)

『かるすぽ みらいポケット』シリーズの「スマートFLATCUBE」(69,300円・税込)では、取り外し可能なタブレットケースが付いているのが大きな魅力です。

「11.6インチまで収納可能なタブレットPCケースです。面ファスナーでランドセルに固定でき、取り外してケースごと持ち運びも可能なんですよ」(イオンリテール・綿引さん)

『かるすぽ みらいポケット スマート FLATCUBE』は、ランドセルに固定でき、取り外して持ち運びもできるタブレットケース付き。ランドセル内でタブレットが動かないような配慮がなされている。 写真提供:イオンリテール

業界初クラリーノを採用 軽量ランドセルのパイオニア

ランドセルの新素材として、すっかり定番になった「クラリーノ」。化学メーカーの株式会社クラレが製造している世界初の人工皮革で、ソフトでしなやか、軽さを実現しながら、丈夫で雨にも強いという特徴を持っています。

そんなクラリーノを1967年にランドセルの素材としてはじめて採用したのが、株式会社協和(以下協和)の「ふわりぃ」です。

「1948年の創業以来、いつの時代もその時々の学校生活に合わせたランドセル開発にいち早く取り組んできました。

かつてのランドセルは天然皮革素材が主だったため重量もあり染色も大変でしたが、現在はクラリーノが主流となったことで、軽量化とともにカラーの選択肢も大きく飛躍しました」(協和広報室・皆川京子さん)

そんなふわりぃ一押しの新作は、大容量で最軽量モデルの「グランコンパクト」(57,200円・税込)。クラリーノエフを主素材として設計され、その重量は驚きの約980g!

ふわりぃの「グランコンパクト」各57,200円(税込)。写真左からスミレ×パールピーチと、ネイビー×ロイヤルブルー。全10色展開。ふわりぃ公式ショップにて発売中。 写真提供:協和

「最大約5㎝まで伸びる『のび~るポケット』や13.5㎝のマチ幅などで収納力も確保しています。荷物が多いときや高学年になっても安心です」(協和・皆川さん)

軽量ながら、収納力も充実した設計の、のび〜るポケット。 写真提供:協和

「全モデルにチェストベルトを採用し、肩ひものズレを防ぐなどの工夫をしています。ランドセルの機能で身体へのフィット感をアップするだけでなく、肩、背中、腰への負担を軽減することで、より快適に背負うことができるように、日々開発を重ねています」(協和・皆川さん)

次のページへ コロナ禍で変わる 新ラン活のカタチ
27 件