コロナ禍で受診は控えるべき?小児科医が答える「小児科受診」Q&A

信頼できる“ご近所かかりつけ医”の見つけ方 #2小児科受診のQ&A編

兵庫県立丹波医療センター小児科医長:岡本 光宏

乳幼児期は、突然熱を出したり、体調が悪くなったりすることも多いもの。緊急時に慌てないために、押さえておくべきポイントを伺います。
写真:アフロ

「受診の前に何を準備しておくといい?」「再診の目安は?」など、小児科の受診に関して、気になる点はたくさんあります。人によっては、今さら聞けない些細(ささい)な疑問もあるかもしれません。

そこで、兵庫県立丹波医療センター・小児科医長の岡本光宏医師に答えてもらいました。

専門医で診てほしい場合もまずはかかりつけ医に相談

自身のSNSやブログ、書籍などで子どもの健康に関する情報発信を行う岡本先生。

第1回(#1)では「信頼できるかかりつけ医の見極め方」をテーマに、かかりつけ医を持つメリットや、医師と患者が納得したうえで治療を進める「共有意思決定」の大切さを教えてもらいました。

今回は、「軽い症状でも受診していいの?」など、小児科受診に関するさまざまな疑問と答えを、Q&A方式でお届けします。前半では「小児科を受診するにあたって知っておきたいこと」を、後半では「コロナ禍での受診で気をつけること」を伺いました。

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【診察にまつわるギモン編】

Q1:耳鼻咽喉科や皮膚科など、小児科以外にも専門医でかかりつけを持っておいた方がいいの?

A1:かかりつけ医には、お子さんがこれまでかかった病気やアレルギーの有無、飲んでいる薬の種類などを把握するトータルマネージャーとしての役割があります。複数持つことでその役割が失われてしまいますので、小児科以外にかかりつけ医を持つ必要はありません。

鼻水やセキ、湿疹などの症状が出たときにもまずはかかりつけ医を受診してください。

たとえば、お子さんが中耳炎を繰り返している場合に、アトピー性皮膚炎の治療をしている子であれば、アレルギー性鼻炎の診断が出ることもあります。

かかりつけ医であれば、別の可能性に気づくことができますし、必要に応じて耳鼻咽喉科や皮膚科を紹介してくれます。今後同じような症状が出たときに、どう対応すればいいかについても、かかりつけ医と相談しましょう。

Q2:転勤が多いけど、どうやってかかりつけ医を見つけたらいいの?

A2:今までにお子さんが大きな病気をしたことがあったり、継続的なフォローが必要だったりする場合は、とくにかかりつけ医が必要ですよね。

転勤が決まったら、今のかかりつけ医に相談しましょう。Googleマップなどで転勤先の小児科を見ながら医師と相談したり、医師に提案してもらったりして、新しいかかりつけ医に紹介状を書いてもらうのがいいですね。

あまり小児科にかからない子の場合は、幼稚園や保育園などの園医の病院に行くのもひとつの方法です。

Q3:小児科から処方された薬を飲み続けているのですが、子どもの体調が良くなりません。病院を変えた方がいいのでは?

A3:治療の経過が良くないからといって、病院を変えることはおすすめしません。診療計画は、ステップをひとつひとつ踏みながら前進していきます。

つまり、「ある治療が無効だった」という情報もステップのひとつです。保護者の自己判断で病院を変えてしまうと、この診療計画から外れてしまいます。

治療を続けても良くならなかったら、最終的にその先生が責任を持って紹介状を書き、大きい病院へバトンタッチします。

不安なことがあれば、転院を考える前にかかりつけ医に相談してください。

Q4:熱はなく元気だけど、少しセキが出ている。こんな軽い症状でも小児科を受診して大丈夫?

A4:もちろん大丈夫です! むしろ、セキについて説明を受けられるいい機会でもあります。医師は必要に応じて薬を処方しますが、セキの経過や役割を伝えることも大事です。

「6歳未満のセキは、2週間くらいは続くこと」。「夜中にセキこんだら、ちょっと起こしてあげて、背中を少しさすって落ち着いたらまた寝かす」「ハチミツをスプーン1杯飲めば、夜間のセキが減る」のような知識を得られると、親御さんの不安も解消されますよね。

Q5:再受診の目安など、ポイントを知りたい。

A5:本来であれば、医師が伝えるべきことですよね。それも、「気になったことがあった時は来てください」のようなふんわりした伝え方ではなく、「明後日の時点で熱が37.5度あれば、もう1回見せてください」という具体的で分かりやすい指示ができるといい先生だと思いますね。

ただ、医師もたくさんの患者さんを診察していると伝え忘れてしまうこともあるので、ぜひ保護者の方から「次はどうなった時に受診すればいいですか?」と聞いてください。

「乳幼児期の病気や予防接種、ケアについて、保護者の方に興味を持ってほしい。分からないことがあれば、かかりつけ医に相談してください」と岡本先生。
Zoom取材にて
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