子どもの手足や口に赤いブツブツが!夏にかかりやすい「手足口病」を知ろう

夏にかかりやすい子どもの病気#1「手足口病」

小児科医:渋谷 紀子

感染症や皮膚トラブルなど、夏にピークを迎える病気は多くあります。   写真:アフロ

海やプール、キャンプなど、さまざまなレジャーが楽しめる夏は、子どもにとって楽しい季節です。

ただその一方で、夏風邪と呼ばれるウイルス感染症をはじめ、とびひやあせもなど、子どもの体に影響を与える季節特有の病気も親としては見逃せません。

なぜ夏の時期にこれらの病気が流行るのか、どのような予防法があって、病気にかかった場合どのような対処をすればいいのか。親としての心得を愛育クリニック院長である渋谷紀子先生に伺いました。

第1回は夏にかかりやすい病気の予防法と、「手足口病」について詳しく解説していただきます。(全4回の1回目)

夏風邪は1回かかったら「おしまい」ではない

夏にかかりやすい子どもの病気には夏風邪をはじめ皮膚のトラブルや熱中症などがあげられます。多種多様な病気が夏季にピークを迎えますが親としてはどのような点に注意すればいいのでしょうか。

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「夏風邪」と呼ばれている病気には「手足口病」や「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ、プール熱)」があります。

これらはウイルスによる感染症で、アルコール消毒が効きにくいという特徴をもっています。また、原因となるウイルスには複数の種類や型があるため、異なる種類あるいは型であれば再び感染します。

つまり、1度かかったから2度とかからないとはいえないのです。

また、コロナの影響でマスク着用やうがい、手洗いが徹底されて感染する機会が減っていると思われるかもしれませんが、病気そのものがなくなったわけではありません。依然として注意は必要です。

夏風邪対策は免疫力を低下させないこと

夏のウイルス感染症の予防法としては、なによりも免疫力を低下させないことが重要です。

暑さのために寝苦しかったり、食欲が落ちたりして体調を崩すと、感染するリスクが高まります。規則正しい生活と十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事を心がけてあげることで、暑い夏を乗り切りましょう。

体調を整え、免疫力を低下させないことが夏風邪をブロックする基本です。  写真:アフロ

皮膚トラブルと熱中症の予防法

あせもなど、皮膚トラブルへの予防法は、まずは通気性・吸水性のいい服を着せ、こまめに着替えさせることです。

また、虫刺されをかき壊すことで炎症が広がることがあるので、虫除けグッズなどを上手に利用し、害虫に刺される機会を減らすことも大切です。

もし蚊に刺された場合は、刺された箇所をかく前に、冷たく絞ったタオルなどで冷やします。その後、市販薬を塗るといいでしょう。

熱中症はメディアでも毎年のように注意喚起されていますが、こまめな水分補給を心がけ、エアコンなどを上手に利用することが重要です。体温調節機能が十分に発達していない乳幼児は、大人よりも熱中症にかかりやすいといわれていますので、気温が高くなる時間に無理をして出かけないなどの配慮が必要です。

今回のシリーズで解説する夏の病気は、どれも入院に至ることはほとんどありません。かといって、油断はできません。

熱が出たり、食欲が落ちたり、かゆがったりして子どもの体調に少なからず影響が見られます。良い夏を過ごせるようにできる限り予防をし、かかった場合でも焦らずに適切な処置をしてあげてください。

本シリーズで紹介する病気とそのピーク一覧

およそ7〜8月がピークですが、これ以外のときにはかからないということではありません。子ども自身の体調や環境などの影響により、時期を外れたときに病気になる場合もあります。

例えば昨シーズンはコロナによる休園などで、手足口病は秋から冬に例年よりも多く見られました。かかった場合は記事中で紹介する対処法を参考にしてください。

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