読書感想文を最後に残さない! 本好きになる「読書ゲーム」を家族でやってみたら…

作家・書評家 印南敦史さん「読書ゲームメソッド」#4 ~小学生レポート編~

作家・書評家:印南 敦史

夏休みの宿題のド定番といえば、読書感想文ですが、実は苦労している親子が多いことがわかりました。  写真:アフロ

前回(#3)は、作家で書評家の印南敦史(いんなみ・あつし)さんの著書『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』で紹介されている、25種のゲームのうち、小学校低学年が実践しやすい簡単なもの5選を教えていただきました。

今回は、我が家の小4・小2男子と一緒に、印南さんの提案する①「朝の10分読書」②「ほしい本リクエスト」③「図書館イベント」④「ギャラリー作り」⑤「挫折本の墓場」をママライターが実践!

夏休みを控えて最難関の宿題“読書感想文”が待ち構えているなか、子どもが自然な読書習慣を身につけるには? 今年の夏休みは、もう読書に苦しまないためにも「読書ゲームメソッド」を始めてみましょう。

※全4回の4回目(#1#2#3を読む)。

夏休みの宿題の鬼門は読書感想文!

「子どもが本を読まない」ことに頭を抱えている親たちがおそれている季節がやってきます。それは、“読書感想文”の宿題が待ち受ける、夏休み……。

株式会社イオレが、小学生の子どもを持つ子育て世帯1337人を対象に行った「夏休みの宿題」についてのアンケート(※1)によると、実に47.7%もの保護者が「最後まで残りがちな夏休みの宿題」として「読書感想文」を挙げ、不名誉ながら圧倒的な第1位に。
※1=グループコミュニケーションサービス「らくらく連絡網」を利用中の子育て世帯1337人を対象にした「夏休みの宿題」についてのアンケート(株式会社イオレ)

また、「親が手伝うことになる宿題」では、39.2%の保護者が「読書感想文」と回答し、自由研究の49.3%に続いて2位になりました。これらの結果から、夏休みの「読書感想文」は親子ともに悩まされていることがよくわかります。

小4・小2男子がいる我が家も、じりじりと近づいてきた夏休みに鎮座する「読書感想文」に憂鬱な気分に……。

印南敦史(いんなみ・あつし)さんの著書を片手に「楽しく本を読めるようになるゲームがあるから、やってみない?」と提案しました。

すると兄弟は“ゲーム”という単語に興味半分、“読書”という単語にめんどくさそうという怪訝(けげん)な表情半分……という感じ。

ライター家族が2022年6月から約1ヵ月間試してみた、「読書ゲームメソッド」の結果をレポートします。

朝読書は玄関を出る10分前に設定

まずは、ゲーム①「朝の10分読書」を実践してみることに。ただでさえ朝の準備でバタバタのなか、10分もの時間を作って本を読むという行為、最初はなかなか大変なものでした。

家族でテーブルについて本を開いたはいいけれど、朝に弱い次男は、本を開いた状態でぽけ~っ。ある日は、読みたい本をなかなか決められずに、そのまま10分タイムアウトしてしまうことも……。

いろいろと時間を試してみた結果、ある程度身体と頭が起きてからが良さそうということで、「いってきます」の直前の10分間に設定。

毎朝8時ピッタリには家を出るので、「7時50分には座って本を開かないと」というルーティンができてきました。

バタバタと準備をしたい気持ちをぐっとこらえて、登校前の子どもたちと一緒に本を読みます。  写真:遠藤るりこ

この習慣は、意識的に「家族で本に近づこう」とするいい機会に。

家の中をバタバタ動き回っていた朝、親である私たちも一度座って落ち着いて読書をすることで、一日を始める前の良いワンクッションになっている気がします。

ほしい本リクエストはホワイトボードに

ゲーム②「ほしい本リクエスト」も試行錯誤の結果、我が家は少しやり方を変えて、貼って剝がせる付箋メモに、書名と自分の名前を書いてホワイトボードに貼ることに。

なぜならさすが低学年男子、箱に投書したものを後日開封すると「なんでこの本選んだんだっけ?」、「俺、こんなの書いた?(記憶なし)」とか、「ドラゴンボール全巻!」みたいな無謀なリクエストが入っていたりするから。

なるべくリクエストがあったときに「その本をどこで知ったのか」、「どうして読みたいと思ったのか」などを口頭で聞いてみることにしました。ほしい本をリクエストするのは、プレゼン能力も鍛えられそう!

ひとまずリクエストを貼らせておいて、空いた時間に、わたしがリサーチしてAmazonで“ポチッ”と購入しています。

学校から帰宅し、自分の書いた付箋とともに実際の本を手渡されたときの子どもたちの笑顔はとても良いものでした。

次男がリクエストしたのは、友達の家で読んだ『大ピンチずかん』(作:鈴木のりたけ/小学館刊)。「超~面白かったから、絶対欲しい!」と大興奮のリクエスト。  写真:遠藤るりこ

ただ、本のリクエストに関してひとつ悩みのタネが……。どこの家庭でもそうだと思うのですが、「漫画は読書のうちに入りますか?問題」です。

「もちろん、漫画もカウントしていいと思いますよ。大事なのは《興味のあるものを手に取る》ことですから。

でも、当然ながら、漫画だけ読んでいればOKという意味ではなくて、『今日は漫画を読もう』、『今日は本を読もう』が自主的に決められる環境であるといいですね」(印南さん)

印南さんは、「子どもの選書については、絶対に否定をしてはいけない」とも。大人であるわたしたちはあくまで《入り口》に徹するべきだと言います。

「大人の役割は、ドアを開けることのみ。『ここにおもしろいものがあるみたいだよ』という感じでドアを開けたら、右に進むか左に進むか、奥まで入っていくか、すぐにドアを閉めてしまうかは、子ども本人の判断にまかせてみるべきです」(印南さん)

大人は、子どもが選んだ本、リクエストした本を拒絶せず、本への純粋な興味ひとつひとつを大切にしてあげること。そして「ほしい本が手に入る、読める、おもしろい!」という一連の、楽しい読書経験を積み重ねてあげられたらと思います。

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