シオリーヌさん「性教育は恥ずかしくて当たり前。子どもに教える前に親が学ぼう」

性教育YouTuber・シオリーヌさん「親から幼児へ 性とジェンダーの伝え方」第2回〜家庭であるべき性教育について〜

性教育に関する保護者の戸惑いにも寄り添って回答してくれる姿が印象的なシオリーヌさん。
ZOOM取材にて

助産師としての立場から、性の話を発信している“性教育YouTuber”のシオリーヌさん。妊娠の仕組みや正しい避妊方法などの具体的な情報をわかりやすく解説している動画が若者を中心に人気を集め、チャンネル登録数は14.8万人(2021年6月現在)。2021年4月には、ジェンダーやセクシュアリティについて学べる絵本『こどもジェンダー』を上梓しました。「性の話をもっと気軽にオープンに」をテーマに発信を続けるシオリーヌさんに、家庭での性教育をはじめるにあたり、親ができることや伝え方のコツなどを教えてもらいました。

おうちで性教育をはじめるときに必要なことは?

「子どもに性の話をする前に、よく伝えていることがあります」とシオリーヌさん。

「まずは大人に性教育を受けてもらいたいです。最近はお子さんに性教育をしたいと考える保護者の方が増えていて、とても頼もしく感じます。一方、ご自身が学校で性教育を教わっていない方が多いため、伝えるべき情報や言葉のチョイスがわからないという声もよく聞きます。

そこでおすすめしているのが、私が小学校高学年向けに行った性教育の動画を見てもらうこと。動画を見てどう感じたのか、ご自身の気持ちをよく観察してほしいです」

子どもに伝える必要があるとわかっていながらも、大人のなかには性の話を「恥ずかしい」「気持ち悪い」と感じる人もいます。シオリーヌさんは、「私がアップしている性教育の動画を見て抵抗感を持ってしまう方もいますが、それは当たり前の感情です」と言います。

「大人たちの多くは、学校で十分な性教育を受けていません。性について興味を持ってはいけないし、恥ずかしいことだと教わってきたのだから、イヤだと感じるのは自然なことです。

動画のなかで『何かイヤだ』と感じる箇所があったら、立ち止まってその気持ちを因数分解していきます。すると、『自分は純潔教育的なことしか教わってこなかったから抵抗があったのか』のような気持ちの奥にあるものが見えてくるように。少しずつ気持ちが解きほぐれていったら、『子どもが大人になったときに、自分と同じように性について抵抗感を持ってしまったらどうする?』と問い直してほしいです」

自分自身の性についての価値観をとらえ直し、性に関する知識をたくわえる。すると、情報の取捨選択や伝え方のコツが見えてくるとシオリーヌさんは言います。

「さまざまな情報に触れながら、性教育のボキャブラリーを少しずつ増やしていきましょう。知識や気持ちの面で準備がしっかりできていれば、『赤ちゃんはどこからくるの?』のようなお子さんからの質問がこわくなくなりますよ!」

子どもにとっては素朴な疑問の一つなのに、親にとっては「いつ来るのか……」と戦々恐々とするのが性に関する質問。自分に答えられるだけの準備が整っていれば、ウソをついたり、ごまかしたりせずに向き合えるようになるはずです。

子どもの性教育にはパパの参加も絶対必要 

さらに、「家庭での性教育について、パートナーと話し合い、足並みを揃えることが大切」とシオリーヌさん。

「性教育のイベントを開催すると、参加者のほとんどが女性です。そして、男児を育てるお母さんから、性器の扱いについて相談を受ける機会も多い。男性のパートナーに相談しても、『親から教わるものじゃない』と協力してもらえないと言っていました。

困っているお母さん方には、性教育の書籍にも紹介されている適切なケア方法をチェックしてもらうようお伝えしています。一方、パートナーと歩みを合わせるためには、話し合いが不可欠です。将来自分の子どもを被害者にも加害者にもさせないために、幼いうちから性について話しておきたいこと。それから、パートナーとして一緒に性教育と向き合っていきたいと伝えて、少しずつ状況を改善させていけるといいのではないでしょうか」

シオリーヌさんのYou Tube公式チャンネルにアップされている「【授業】小学校高学年向けの性のお話【お子さんと一緒に】」。実際に行った性教育の授業が丸ごと収録されている
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