0歳〜3歳 「子どもの人間関係」お友達とケンカで親が優先すべきこと

西坂小百合教授に聞く「6歳までの子どもの人間関係」#1【0〜3歳】編

共立女子大学家政学部児童学科教授:西坂 小百合

子どもの年齢に関わらず、友達と楽しく遊べているかは親として気になるところです。 写真:アフロ

「うちの子は引っ込み思案」「友達と仲良く遊べないみたい」「砂場で友達の物をとってケンカになってしまった」等々、子どもと友達の関係って心配になりますよね。

小さな子どもにも大人と同様に“人間関係”があります。ただし、子どもの人間関係は大人のそれとは違います。

発達段階ごとに、子どもが他人とどう関わっているかを学ぶことは、子どもの行動や心理を理解するうえで大いに役立つでしょう。

そこで、本連載では「子どもの人間関係の発達」を研究している、共立女子大学家政学部児童学科教授の西坂小百合先生にお話を伺いました。

第1回は、0歳〜3歳までの子どもの、親や友達との関わり方、親の見守り方を、発達段階別に教えていただきました。 
全3回の1回目

0〜1歳ごろは“愛着関係の構築”がカギ

大学では、幼稚園の教諭や保育士を目指す学生に「子どもと人間関係」の講義をしている西坂先生。0〜1歳ごろの発達と友達との関わり方について、次のように話します。

「友達と関わるのはまだ難しいですが、これから成長して友達と関わっていくための土台である『人への信頼感』を築く時期です。

『人が好き』『人といると楽しい』という気持ちを子どもが抱くようになるためには、親御さんをはじめ身近な大人との愛着関係がしっかり構築されることが重要です。

深い愛着関係を築くことは、親と離れたときに子どもが安定して過ごせるかどうかにも関わります。

愛着関係の構築と言ってもあまり難しく考えなくても大丈夫。親御さんには、『応答的に関わること』を意識してもらうといいですね。

たとえば、赤ちゃんは泣いたり、ぐずったりして、自分の要求をあらわすサインを出します。親御さんは、『おなかが空いたんだね』『グズグズして眠れないんだよね』と赤ちゃんの気持ちを受け止めて、共感をしましょう。

つまり、『自分が発したサインを必ず受け止めてもらえる』という感覚を赤ちゃんが経験することが大切です」(西坂先生)

パパママの中には、「自分は応答的に関われているのだろうか」と不安に思う人もいるかもしれません。しかし、「たいていの親御さんは自然にやっていることなので、今のお子さんとの関わり方をそのまま続けてもらえればいい」と西坂先生は言います。子どもが大きくなってからも、応答的な関わり方を心がけるといいそうです。

「お子さんが小さい頃から保育園に通わせている場合も、一緒にいる時間を大事にしてもらえれば大丈夫です。

それに、早い時期から保育園に通っているお子さんは保育者とも愛着関係を構築できます。保育園でも家庭でも、自分を受け止めてもらいながら安定していくと思いますよ」(西坂先生)

友達の存在を意識し始めるのは1〜2歳ごろ

1〜2歳ごろになると、他者との関わりに少し変化が生じます。

「周りにいる子に意識を向け始める時期です。友達に関心はあるものの、まだ一緒に遊ぶ段階ではありません。

たとえば、砂場で子どもが並んで型抜きをして遊んでいても、相手が何をしているかは気になりませんが、友達が持っている型には興味を示すことがあります。

この年代の子どもには、『この型はお友達のもの』という物の所有の感覚が備わっていないため、興味があれば人の物であっても手に取ってしまいます。

また、大人のように自分の思っていることを要求したり、相手に伝わる言葉を選んで話したりすることが難しい時期でもあるため、型の取り合いでケンカになってしまうこともあります」(西坂先生)

子どもがお友達のおもちゃを取ってしまったら、あわてて取り上げて、お友達に戻したり、さらに子どもを叱るパパママもいることでしょう。しかし、西坂先生はそんな必要はないと言います。

「1〜2歳の子どもは、大人が身につけているような価値観や世の中のルールに対する意識を持っていません。トラブルになるのは自然なことですし、新しい物に興味を持つのは、私はむしろ健全だと思います。

この頃の子どもは物に対する執着もないので、子どもが新たに興味を持ちそうなおもちゃや遊びを親御さんが提示するといいですよ」(西坂先生)

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