街の野生動物! 親子で“動物探偵”になって痕跡を探そう!

いつもの散歩が100倍楽しくなる「親子でおさんぽ自然観察」#4〜野生動物編〜

NPO法人 自然観察大学

姿は見えなくても、案外身近なところに野生動物が暮らしています。  写真提供:自然観察大学/浅間茂

都会で暮らしていると野生動物を見かける機会はほとんどありません。

しかし身近なところに、モグラやコウモリ、タヌキなどの野生動物が暮らしています。ただ、その多くは夜行性のため、姿を見つけることはなかなか難しいんです。

最終回は、第3回に引き続き、NPO法人自然観察大学の副学長を務める浅間茂先生に、野生動物を見つけるポイントを伺いました。

浅間茂先生は、研究のかたわら、NPO法人自然観察大学が開催する自然観察会でも観察のコツや生きものの知識を多くの人に教えています。

野生動物の習性を詳しく知ることで、もしかしたら野生動物を見つけられることもあるかもしれません。

ぜひお子さんと一緒に自然観察さんぽへ出かけてみましょう!
(全4回の4回目。#1#2#3を読む)

実は都会の地中にもたくさんいる!? アズマモグラ

実物自体を見られることは難しいですが、自然豊かな公園などでは意外と生息しているアズマモグラ。直径4cmほどのトンネルを掘って、地中の中で暮らしています。トンネル内には、寝る場所、食べ物を置いておく場所、トイレなど、用途に合わせたスペースをつくります。人間と同じような暮らし方をしているところが面白いですね。

(基本情報)
分類:食肉目モグラ科
大きさ:10〜15cm
見られる時期:通年
見られる場所:公園、畑、田んぼなど

【遊び方】モグラ塚を探してみよう!

そこだけ不自然にこんもりと土が盛り上がっているのは、「モグラ塚」かもしれません。  写真:アフロ

アズマモグラは土の中で暮らしているので、実物を見ることは難しいですが、その存在を知れるのは、モグラ塚。モグラ塚とは、アズマモグラが土の浅い部分を移動するときにできる、土の盛り上がりのこと。

または土を掘ったときに出る土が、地上で土のかたまりとなっていることもあります。都会でも、自然豊かな公園や、校庭などで見つけることができますよ。今度散歩するときには、土の表面をじっくり観察してみてくださいね。

昔は幸運を運ぶ動物だった アブラコウモリ

気温の高い都心部では、年々アブラコウモリの個体数が増えています。

夕方頃の空を見上げてみると、ジグザグと飛ぶアブラコウモリを見つけることができます。都心部では、川の近くや、明るい電灯の周辺、鉄道や橋の高架下などでよく見られます。

コウモリは良いイメージをもたれませんが、日本ではかつて、幸運の象徴として「幸守」と書いていたんですよ。ただし、民家に住みつき、糞や匂いなどの害を与えるため、駆除の対象になってしまうこともあります。

(基本情報)
分類:コウモリ目ヒナコウモリ科
大きさ:40〜60mm
見られる時期:3〜11月
見られる場所:川の近く、明るい電灯の周辺、鉄道や橋の高架下など

【豆知識】暗くても空を飛べるのはなぜ?

コウモリの視覚は退化しており、目で物を見ることができません。それなのになぜ空を自由に飛ぶことができるのでしょうか?

その秘密は超音波。コウモリはのどから超音波を発し、どれくらいの長さで跳ね返ってくるかによって、周囲の障害物との距離を把握しているのです。

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