子どもへの怒りは第2次感情! 専門家が教える「どなる・叩く」をやめる方法

子育てアドバイザー・高祖常子氏「叩かない&どならない子育て2022」#3~「怒る・𠮟る」「甘やかし・甘えさせる」の違い~

子育てアドバイザー・キャリアコンサルタント:高祖 常子

大忙しの子育ての日々では、思わず感情的になってしまうときもありますが、「叩かない・どならないと決めると親子関係が変わる」と子育てアドバイザーの高祖常子さんは言います。  写真:アフロ

国や行政の子育てに関連した多数のプロジェクトで委員を務め、全国で講演なども行っている、子育てアドバイザーの高祖常子(こうそ・ときこ)さん。

子育ての専門家でもある高祖さんが、10年以上、強く言い続けていることは、「叩かない、どならない」子育て。軽く手をあげたり暴言もNG。それらが子どもの成長に悪影響を及ぼすと明らかになったからです。

とはいえ、「イライラがおさえられない」「怒らないと甘やかしになるのでは?」と悩むパパママもいるでしょう。

子どもにどなる前に怒りをおさえる方法と、「怒る・𠮟る」「甘やかし・甘えさせる」の違い、叩く・どなるをやめたパパママのリアルエピソードを伺いました。

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高祖常子(こうそ・ときこ)PROFILE
子育てアドバイザー・キャリアコンサルタント。2005年に育児情報誌『miku』編集長に就任し14年間活躍。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。子育てにまつわる各NPOの理事や、国や行政の委員を歴任。子育てと働き方などの著書も多数で、全国で講演も開催。東京家政大学第9回渡邉辰五郎奨励賞受賞。3児の母。

怒りのひとつ前の感情に向き合ってみる

叩く・どなるが子どもの成長発達によくないということは、お伝えしましたが、どうしたらそれをしなくなるのでしょうか。

そもそも叩きたくなる、どなりつけたくなるのは、親自身の心の余裕の問題です。子どもが「イヤ!」ということがありますが、「なんでイヤだって言うんだ!」とイライラする場合の自分の状況を考えてみましょう。

もう出かけなきゃいけないのに、「イヤだ」と言われると腹が立つでしょう。でも少し時間があれば、「そっか。でももう少ししたら出かけるから。そろそろ準備しよう」と受け止め、行動を促す声がけができるかもしれません。

怒りは第2次感情と言われています。すごく頭にきた「自分」の一つ手前の感情(第1次感情)、「なぜ私は、こんなにもイライラしたのか?」を考えてみるということです。

「同じくらいの年齢の子は親の指示に合わせて動けるのに、なぜわが子はこんなにもいうことを聞かないのか」と心配だったり不安だったりする場合は、保育士さんや幼稚園の先生、支援センターや子育てひろばなどで相談してみましょう。

「パートナーが何もしてくれず、私ばっかり」ということが、イライラのもとであることもあります。

その場合は、「どうせ言っても仕方ない」とあきらめず、「朝、時間がなくてイライラしちゃうから、子どもの着替えと朝ごはん食べさせるのをやってくれる?」など具体的に相談してみましょう。

伝えなくては、パートナーもわかりませんし、すぐに変わってくれないかもしれませんが、伝えることで少しずつ配慮し、行動を変えてくれるかもしれません。

「そもそも私だって疲れていて、寝られていない」ということなら、一時預かりやファミリーサポートなど、子育てサービスを利用してみましょう。

このように怒りの大元は何なのかを考えて、可能なものは手当てをしてみると、怒りも少しは軽減されるでしょう。

目の前の子に怒りをぶつけない方法を見つけて

怒りのコントロールも必要です。

怒りは誰でも感じるもの。怒りやイライラを感じるのがいけないことではありません。でも、目の前の子どもにぶつけないことが大事です。

叩きたくなったり、どなりつけたくなったら、怒りをいなしましょう。アンガーマネジメントとも言われますが、6秒間どうにか怒りをいなし、クールダウンすることが大事です。

深呼吸したり、ゆっくり数を数えてみたり、怒りをぶつけそうになったときに(子どもが安全な場にいれば)、トイレに行くなど自分がその場から離れるのも一つの方法です。

窓を開けて風にあたる、お気に入りのおやつを口に入れるなど何でもいいので、「怒りが爆発しそうと思ったらこれをしてみる」ということを、1つ決めておきましょう。

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