コロナ感染「友だちに知られたくない」子どもの気持ちをどう尊重するか

<緊急寄稿>「子どもがコロナ感染!」3児ママの自宅療養記#3 ~ストレス&メンタル~

小3長男がコロナにかかって1週間が経過。慣れるかと思いきや、2週間目のストレス地獄が家族を襲いました。 写真:アフロ

小3の息子、小1の息子、2歳の息子の三兄弟を抱える松田ファミリー。三兄弟のなかでひとりだけ新型コロナウィルスに感染した長男は、家庭内隔離生活をすることに。

療養開始から1週間でなんとか家族の生活ペースがつかめてきたものの、峠を越えたと思うにはまだ早かった!

次男と三男は外出できないストレスで爆発寸前、長男は療養明けが近づくにつれて友人の反応が気になりメンタルが不安定に……。問題が次々と押し寄せてきます。

第3回では、ママライターのあさこさんが、いよいよ後半戦を迎えた家族のコロナ療養・隔離期間で “実際にやってよかったこと”“やればよかったと後から思ったこと”をお伝えします。
(全3回の3回目。#1#2を読む)

【やってよかった】ICT教育の賜物 iPadで大助かり

部屋で隔離生活を送る長男とは、常にiPadで連絡のやりとりをしていました。離れていてもお互いのやりとりがスムーズにできたのは本当によかった! 子どもは学校でiPadの使い方を学んでいるので、抵抗なくオンラインでのやりとりができます。

特に後半戦、体調がよくなってきてからは、雑談も含めてメッセージでいろいろなやりとりをするように。あまりにダラダラしている生活もなんだかなと思ったのでゆるめの勉強スケジュールを立たせました。

息子も自ら、「今から1時間ゲームをして、そのあと漢字ドリルをするよ」と、計画を報告。家庭内隔離ルールの「自由になにをしてもよし!」の生活にも飽きたのか、自分のやるべきことを把握している小3は頼もしかったです。

こちらからも、「そろそろお昼ご飯だよ」とか「何時になったらおやつ持って行くけど何がいい?」とこまめに連絡。ごはんやおやつの時間を気にさせたりすることで、長い一日に目的を持ってやり過ごせるような工夫をしました。

【やればよかった】幼児にはやっぱり太陽光が必要

一方、元気なのに外に出られない弟たちは日々ストレスが増し、とくに2歳の三男の扱いが本当に大変でした。保育園で規則正しい生活を送っていた三男は、隔離生活によって、長男・次男のペースに合わせざるをえませんでした。

何より「静かに部屋のなかで遊ばなければいけない」というミッション遂行のために、どうしてもテレビや動画を見せることが多くなってしまいました。

粘土、折り紙、フラフープ、おかし作り、思いつく限りのことをして過ごしましたが、それでも14日間は長い! 万策つきます。

濃厚接触者は「最低限の外出を控えて」ということですが、子どもの体力やストレスを考えて、「最低限」は「少しくらい外に出すのはよし」と考えればよかったんじゃないか、と今になって思います。子どもって、太陽にあてないと夜寝ないもん……(涙)。

家から出られないストレスからか、2歳になったのに夜泣きもするし、暴力的になったり、ずっとメソメソしていたりして、言葉にはできないけれどしんどいんだろうなぁというのを感じました。

これは今、振り返って考えてもどう解決したらよかったのかわからない問題です。時間が過ぎるのを待つのみで本当に正しかったのか……。

【やってよかった】隔離明けのスケジュール調整

療養期間明けのカウントダウンが近づき、長男の症状が治まるにつれ、その後の生活が気になってくることに。

まずは、残りの家族の隔離期間のこと。家族でひとりだけ感染すると、陽性者の療養期間よりも濃厚接触者である家族の隔離期間の方が長いという状況がありえます。この療養・隔離解除のスケジュール調整は、家庭内で感染者がいる人たちの大きな問題となっているのではないでしょうか。

実際に我が家は、長男は1月20日まで自宅療養、濃厚接触者である家族の隔離期間は1月27日まで(待機期間は、我が家が療養・隔離中に2週間から10日に短縮。現在は7日に)と保健所から言われていました。

どうしてもタイムラグが生じてしまうので、ここは濃厚接触者である他の家族にあわせて、長男の外出自粛も1月22日までとすることに。週末を挟んで、日常生活の再開は1月24日の月曜からにしました。三男の保育園も、週明けから再スタート。大袈裟でなくこれでよかったと今でも思います。

余談ですが、最後の一日まで「家族の誰かが熱を出したらどうしよう。この地獄の2週間隔離がさらに延長になるのか……」という恐怖と戦っていました。

隔離解除が明ける前日夜に、次男が「寒い」と言い出した時には目の前が真っ暗になりました(結果、何事もなし)。

療養明けが近づくにつれ不安になる長男

長男は10日間の隔離生活を全うしてくれました。最初に、「あなたは悪くない」、「小さな弟たちのために協力してほしい」としっかり説明したことがよかったのかと思います。

あと何より「自由にしていていいよ」とある程度放任していたので、ストレスも少なかったかも。ベッドでお菓子を食べながらゲームざんまい、ある意味天国だったのでは?

でも、これまで散々「コロナにかからないように」と教育されてきたので、かかってしまったショックは大きかったと思います。【陽性】と聞いた途端に青ざめた顔をしたのが忘れられません。

療養期間中もずっと、「かかるのは悪いことじゃない」「不注意だからかかったわけでない」というのを言い聞かせていたものの、「やっぱり友達には秘密にしておきたい」とのこと。

オンライン授業で友達の顔を見ると不安になったようで、「みんなが自分のことをどう話しているのか」、「先生は何て言っているのか」などと聞いてきました。新学期に入るタイミングで休んでしまったので、ひとりだけ置いてけぼりになったようで心配だったのだと思います。

子どものメンタル面に関しては先生にも何度か相談したところ「子どもたちはあまり気にしてないものですよ~」とほのぼの。実際、コロナ禍を生きる子どもたちなので「学校を休んだり、オンライン授業をする子がいるのは当たり前」のような環境なのかもしれません。

でも、事情を知らずに家まで遊びにきてしまう友達もいました。玄関先で対応したあと、その子の親御さんに「濃厚接触者になってしまって出られない(長男の気持ちを尊重して子ども自身が陽性だとは言わなかった)」と、連絡を入れておきました。

小3にもなると子どもだけの関わり合いや約束もあるので、子どもの意思を尊重しつつ、話せる範囲で事情を説明しておきました。

コロナにかかったことを言う? 言わない?

長男が登校を再開してから現在まで約2週間ですが、友達に何か言われたりすることはないようです。ただ、友人に秘密にしているという意識があるようで、「△君には本当のこと言おうかな」と呟いたりします。

息子は息子なりに、コロナ陽性者になったことを周囲に「言う・言わない」を考え悩んでいる様子。親としては何も悪いことではないのでオープンにして良いと思いますが、きっとおおやけにしづらい環境がまだあるということでしょう。

実は、この原稿を書いている最中にも、明日から長男クラスが学級閉鎖になるとの連絡が……。クラス内で陽性者が2名出たとのことを長男に伝えると、「かかったのは、◯君と□君かな?」などと言っていたので、子ども同士で悪気のない詮索(せんさく)があるのかもしれません。

何より、コロナが流行した当初からずっと「かからないように!」と教育されてきた子どもたち。感染してしまうと、「コロナに負けてしまった」「自分の予防が足りなかったのでは」「自分が悪かったんだ」ということになりかねないため、言い方を変えるべきなのかなと感じます。

ここまで流行が進んでいるので、「かかるときはかかるもの」「かかったら仕方ない。しっかり休みましょう」のような言い方にした方がいいように思うのです。

子どもたちの中で、コロナになってしまったことを隠したい、隠さないといけないという雰囲気があることは事実。これは、大人や社会が解決しないといけない課題ですね。

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