子どもが食物アレルギー? 専門医が教える「受診の目安」と「意外な落し穴」

アレルギー専門医・岡本光宏先生「子どもの食物アレルギー最新事情」#1 〜受診の目安と診断方法〜

兵庫県立丹波医療センター小児科医長・アレルギー専門医:岡本 光宏

「お子さんに初めての食材を食べさせるときや食べる量を増やすときは、平日の日中などかかりつけ医をすぐに受診できる時間に挑戦してください」と岡本先生。  写真:アフロ

子どもに初めての食材を食べさせたとき、かゆみやじんましんやなどの症状が出ると、食物アレルギーでないか不安になるものです。

また、子どもが入園・入学し、親の目の届かない、家の外での食事の機会が増えると子どもの食物アレルギーの有無がますます気になりますよね。

子どもの食物アレルギー診断法・予防法・治療法は日々進化しています。そこで、子どもの食物アレルギーに関する最新事情を、兵庫県立丹波医療センター・小児科医長でアレルギー専門医の岡本光宏医師に伺いました。

全3回の第1回目は、子どもが食物アレルギーかもと思ったときの受診の目安や診断方法を解説してもらいます。

「食物アレルギー?」と思ったときに受診が必要な症状

「バナナを食べたあと、喉がかゆいと言っている」「卵を食べたあと、体の一部にじんましんが出た」など、子どもに食物アレルギーが疑われる症状が出た場合、パパママはどのような対応をすべきでしょうか。

「喉のかゆみや体の一部に少しじんましんが出るなどの軽い症状であれば、1時間程度で自然とアレルギー症状が改善されることもあります。

心配であれば受診をしてもいいですが、休日や夜間など、すぐに小児科にかかれないケースもありますよね。

子どもが困っていないようであれば、そのまま様子を見てもらえれば大丈夫です」(岡本先生)

軽い症状には、「口の周りが赤くなっている」「一度は嘔吐したけど、そのあとは元気そうにしている」などが含まれます。

一方、すぐに受診が必要なケースには、どのような症状があるでしょうか。

「大まかに言うと、①『乾いた咳が出る』②『顔色が悪い』③『本人が困っている』の3つです。

アレルギーの場合、①『乾いた咳が出る』ことが多いのですが、もし乾いた咳が出ていたら呼吸困難を引き起こす可能性があります。たとえお子さんが元気であっても、即受診するようにしてください。

また、②『顔色が悪い』ということは、血液の循環が悪くなっている可能性があります。そのままにしておくと、「ショック」と呼ばれる臓器障害を起こす可能性がありますので、この場合もすぐに受診してください。

③の『子どもが困っている』というのは、苦しそうにしていたり、不機嫌で泣いているなど困った様子が見られたら、かかりつけの病院を受診してください」(岡本先生)

受診では「いつ・何を・どのくらい食べたか」がわかるとベスト

小児科を受診する際には、次のようなことを心づもりしておいてもらえるといいと、岡本先生は言います。

「診察では食べた時間、食べたもの、食べた量を詳しく聞きます。たとえば、『9時35分に子ども用のスプーンでヨーグルトを2杯食べた』のように答えてもらえると、とても助かります。診察の前に食事の内容を整理しておいてください。

また、食べたものの中にどのような食材が含まれているかを知りたいので、食品のパッケージがあれば、それを持ってきてもらえるとなおよいです。スマホなどで写真を撮ってもらうのでもかまいません。

乳幼児の場合、今までに食べて大丈夫だった食品(とくに卵や乳、小麦)についても詳しく聞くので、日頃から子どもが何を食べられるのかを意識をしておくといいでしょう。

じんましんは1時間ほどで落ち着くことが多く、受診時には消えている可能性もあります。スマホなどで症状の写真を撮っておくといいですね。この辺りの対応は、普段から子育てをされている親御さんは心配されなくていいと思います。

ただ、同居していない祖父母がお子さんに付き添う場合など、普段の子どもの様子がわからないケースがあります。その場合、まずは強いアレルギー症状を抑えることが大切なので、受診を優先してもらい、詳しい情報は後日、親御さんから伝えてもらう形でも大丈夫です」(岡本先生)

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