気楽に子連れワーケーション! まず場所を変える・低予算・仕事は半分

親子deワーケーション主宰・児玉真悠子さん「子連れワーケーションのはじめ方」#3

ワーケーションコンシェルジュ:児玉 真悠子

児玉さんが企画した新潟県湯沢町の子連れワーケーションツアー。地元で活動するNPOアースロアによる川遊びアクティビティを楽しむ子どもたち。  写真提供:児玉真悠子

子連れワーケーションを企画・推進し、一般社団法人日本ワーケーション協会公認のワーケーションコンシェルジュも務める児玉真悠子さん。

前回までは、ワーケーションとの出会いから体験入学まで、自身の経験を通した「子連れワーケーションの魅力」を伺いました。

コロナ禍の影響を受けてその認知度は上昇しつつも「興味はあるけどやったことがない」という人がほとんどだといいます。

第3回では、実践への一助となるようなポイントをまとめました。
全3回の3回目。#1#2を読む

ワーケーションマップを作成した兵庫県新温泉町の帰りに立ち寄った鳥取砂丘にて。 写真提供:児玉真悠子

予算をかけず「場所を変えて働いてみる」ことから始める

ワーケーションと聞くと、海や山などのリゾート地をイメージしがちですが、「場所を変えるだけでいいんです」と児玉さんは話します。

「もし実家が遠方の場合は、実家から始めてみるのも手ですね。私の両親は東京在住なので、子どもの夏休みには、関西にある義実家によく帰省していました、夫抜きで(笑)。

子ども向けのキャンプ活動で、リーダーを務めた経験もある義母は、外遊びのプロ。おばあちゃんに外で遊んでもらっている間によく仕事をしていましたね。

コロナ禍の今は、実家に帰省することが難しい方も多いと思います。その場合は土地勘のある場所で、まずは数日だけトライしてみることから始めてもいいでしょう。

また、最初からはりきって予算をかけてしまうと、その分、期待値も上がり、『結局これしか仕事ができなかった』『疲れて終わった』といった残念な感想になりがちに。最初は気楽に、『数日だけ場所を変えて働いてみる』という心構えだけでいいんです。

そうして少しずつチャレンジを続けていけば、生活の利便性を重視したい、海が見えるとモチベーションが上がる、自炊するよりテイクアウト派……といった自分と子どもの好みのスタイルも見えてくるはずです。最初から完ぺきを求めないことが大切ですね」(児玉さん)

仕事はいつもの半分量にする

仕事と休暇の割合を自由に調整できるのも、ワーケーションの醍醐味の一つです。

しかしながらビギナーによく見受けられるのが、両方をよくばってしまいどちらも中途半端に終わる、あるいはどちらかに負担がかたよってしまうケースです。

「バケーションも兼ねているので、持参する仕事は普段の半分量を目安にしましょう。

量だけでなく種類も大切です。企画立案や構成案出し、調整業務など『30分間集中すれば8割仕上げられるような仕事』が子連れワーケーションには最適。子どもの預け先がない場合はなおさらです。

また、緊急度が低く普段は先送りにしがちな『中長期で見ると大切な仕事』に取り組むと満足度も上がります。普段とは違う『非日常』に身を置くことでリフレッシュでき、新しいアイデアも湧きやすいですよ。

ちなみに子どもの預け先がない場合は、夫婦揃っていれば交代で子守を。父子または母子だけの場合は友人家族など2家族で行くのもおすすめです。子どもたち同士で勝手に遊んでくれますし、友人と交代で子守もできます」(児玉さん)

車がない場合は「都市型ワーケーション」がおすすめ

自由に行き先を選べるからこそ「どうやって決めればいいのか分からない」と迷う人も多いのではないでしょうか。選定の基準の一つは「車」にあります。

「車(免許)の有無によって行き先は大きく変わります。

とりわけ地方では車がないと生活が成り立たないケースが多いため、免許がない人には公共交通手段が充実している『都市型ワーケーション』をおすすめしています。都市圏であれば交通インフラが整っているため移動に苦労することもありません。

例えば、東京から新幹線で1時間30分ほどの名古屋でビジネスホテルを利用する。ビジネスホテルは安定したネット環境や電源、机や椅子が完備されているので仕事をするには最適です。

免許がある方は広いエリアを検討できますが、レンタカーを手配する場合はその分の費用がかさむので全体の予算次第で検討してください」(児玉さん)

子どもの預け先がセットになったプランを活用

子どもの預け先はどのように見つければいいのでしょうか。

これまで紹介した通り、子連れワーケーションを推進している自治体の中には「短期体験入学」を定期的に実施しようとしている小学校もありますが、一般的にはまだ門戸が開かれていないのが現状です。

一方保育所は、空きがあれば一時保育として県外の子どもも受け入れている場合があるため、利用しやすい傾向にあります。

「仕事をしながら預け先のリサーチをするのは大変という方には、前回(#2)お伝えした長崎市の五島列島で開催した『GOTO Workation Challenge』のように、子どもの預け先がセットになったプランの利用がおすすめです。この1年ほどで、子連れワーケーションの誘致に取り組む自治体が増えています。

SNSや検索サイトなどを利用して子連れワーケーション企画を探したり、希望する地域の自治体HPをチェックするなど、常に情報のアンテナを張っておくといいでしょう」(児玉さん)

沖縄本島北部やんばる地域で子どもたちが体験したシーカヤック。キッズ向けアクティビティを探す際は、子どもだけで参加可能であることがポイント。 写真提供:児玉真悠子

宿泊は「民泊」利用を

1週間以上滞在する場合は、「エアビーアンドビー」などが提供する民泊の利用がおすすめと児玉さんは言います。

確かに宿泊費に予算をかけ過ぎると、バケーションがメインの場合を除いては、「なんのために働いているのか分からない」という事態にもなりかねません。

「エアビーには週割や月割などのサービスがあるため、長期であればあるほど1泊あたりの費用を抑えることができます。

キッチンが付いた物件も多いので、自炊も可能に。また、洗濯機付きであることもポイントです。親の目の届くところで遊ばせられる、広い庭やスペースがあるとなお良いですね」(児玉さん)

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