2021.08.08

オリンピック銀メダル 梶原悠未選手を育てた元保育士ママが伝授する!「自分で考えること」を習慣にする方法

子どもの考える力を伸ばす[東京オリンピック自転車競技梶原悠未選手の母、梶原有里さん #2(全2回)]  

自転車競技、梶原悠未選手と母の有里さん。写真:梶原有里さん提供

梶原悠未選手:2020年に自転車世界選手権大会オムニアムで日本人史上初の金メダルを獲得。トレーナー兼マネージャーのお母さんと東京オリンピックの頂点を目指します。写真:梶原有里さん提供

東京オリンピック自転車競技、梶原悠未選手をあらゆる面でサポートし、世界一を目指してきた母、有里さん。保育士の知識と経験から実践してきた子育てには、「自分で考えて行動できる子になる」ためのリアルなヒントがいっぱいです!

第1回では、子どものならいごとへの考え方をうかがいました。子ども自身が「自分が好きなことは何なのか」、続けるのか辞めるのか「自分はどうしたいか」を考えられるようになったといいます。
第2回では、『子どもの考える力を伸ばすためにしてきたこと』をうかがいました。 (聞き手:『たのしい幼稚園』編集部)

けんかは止めないでじっと観察!  あとから気持ちを聞くのが効果的

梶原有里さん 「娘が生まれるまで、保育士として様々な子どもたちを見てきました。その経験は子育てにとても役立っていると感じます。子どもの性格にもよりますが、怒ったりけんかになったりする内容は、どの子たちも似ています。私は娘と息子のきょうだいげんかが始まると、じっとその様子を見ていました。けんかを止めたり、どちらが悪いかなどのジャッジをしたりはしませんでした。

怪我のないようにふたりのけんかを見守り、観察をつづけます。そうすると、子どもたちはだんだん気まずさを感じて、けんかをしてもしょうがない、となっていったようです。

子どもたちの気持ちが落ち着いてから、“けんかの原因の追及”を必ずしていました

自分の気持ちを言語化する習慣づけを

梶原さん 「息子と娘を向き合わせて、けんかになった原因をひとつひとつひも解いていきます。診察するように二人の気持ちを聞き取り、それぞれに伝えて、感じ方のズレを確認するのです。

次に、「こう言ったから怒っちゃったんだね」、「こんな言い方をしたほうがいいね」などと、改善方法を子どもと一緒に考えていきました。
自分がどう思ったか、これからどうしたら良いかを自分の言葉で表現することは、とても大事なことですよね」



娘の悠未選手は『たのしい幼稚園』のインタビューでこのように振り返っています。

悠未選手 「冷静になって母と一緒に出来事を追っていくことは、自分の心の奥底の気持ちを知るきっかけになりました。泣き叫ぶのではなく、ほかの方法で自分の気持ちを相手に伝えることができれば、もっとシンプルに物事が進んだのではないか……などと、改善方法が見えてきます。そういう中で、感情のコントロール、コミュニケーションの取り方も身について行ったのだと思います」
(『たのしい幼稚園2021年8月号に梶原悠未選手インタビューを掲載しています。)


幼い子どもは自分の気持ちをしっかり言語化するのが難しいものです。親が、ただ『子どもが怒って泣いている』と見るのではなく、冷静に丁寧に気持ちを解き明かしていくことで、子ども自身も自分の気持ちに気づくのですね!


梶原さん 「子どもが小さいころから、コミュニケーションをしっかりとることは常に意識してきました。私もよく話をするし、子どもが話すことは、1字1句聞き逃さないように、きちんと目を見て話を聞きます。聞いた内容に対して、感じたことを必ず返すようにしていました」


子どもの話をなんとなく聞き流したり、途中でさえぎったりしていないか気をつけたいところです。普段の何気ない子どもとの会話も、子どもが気持ちを表現する場ですから大事にしたいですね。

娘の梶原悠未選手は、0歳からベビースイミングをはじめ、ダンス、ピアノ、書き方教室、公文など、多くのならいごとを経験してきたそうです。写真:梶原有里さん提供

自分で1年の目標を決めて家族に宣言!

自分でしっかり考えて行動していく力を育んだものとして、悠未選手はお正月の習慣をあげています。

悠未選手 「お正月に、ならいごとでの1年の目標を家族の前で宣言していました。どの級を達成するとか、どんな風に取り組んでいくのかを口に出すことで、その目標に向かってがんばっていく習慣がついたと思います」


お正月にお年玉をもらうときに、目標を発表していたそうです。口に出して家族で共有することで、子どももやる気がわいてきそうですね。

母の有里さんは悠未選手のトレーニングもサポートし、ともに世界の頂点を目指します。写真:梶原有里さん提供

言葉をかけるタイミングを考える

現在、悠未選手のトレーニングもサポートする母、有里さん。目標に向かって努力を続けるトップアスリートである悠未選手に、どのように接しているのでしょうか?

梶原さん 「生活やトレーニングをサポートしていて、気をつけているのが、余計なことを言わないということです。娘が自分で思い描いたトレーニングをするためのサポートを、私はしているので、例えば、本人の体調を近くで見ていて休んだ方がよさそうだなと感じたら、それをすぐに伝えるのではなく、トレーニングの状況をみながらタイミングを考えて伝えます。私の発した言葉によってモチベーションが下がってしまってはよくないので、かける言葉の内容も大事ですが、タイミングもとても大事にしています」

悠未選手の思いを一番に考えて、気持ちに寄り添ったサポートを続けられているのですね。親自身の考えを押しつけることなく必要な時に手を貸せることが、子どもが自ら行動できるようになる鍵になりそうです。

取材・文/小渕 早紀

●どう思ったか、どうしたいのか、日頃から子どもに問いかけて、子どもが自分の気持ちを考える習慣をつける。

●普段の何気ない会話でも、子どもが気持ちを言語化する機会。1字1句聞き逃さない!

●子ども自身がならいごとの目標をたてる。親がその発表の場を作って家族で共有。

#1 オリンピック選手を育てた元保育士ママが伝授する!子育てのおさえるべきポイントとは