朝ゲー推奨!「ゲムトレ」教師がフォートナイトを子どもに教えるワケ

「ゲムトレ」代表・小幡和輝さん「ゲームは子どもの味方」#2~習い事としてのゲーム~

起業家・作家:小幡 和輝

ゲムトレ体験の様子。2022年3月現在、約500人もの生徒が「ゲムトレ」でゲームを習い事としている。 写真提供:「ゲムトレ」

日本初の、ゲームのオンライン家庭教師サービス「ゲムトレ」は、楽しく脳を鍛える習い事。2019年のサービス開始以降、約500人もの子どもに利用されています。実際、どんな指導が行なわれているのでしょうか。

また、「ゲムトレ」で習えるゲームの中でも、特にフォートナイトをおすすめしている小幡さん。フォートナイトが子どもに最適なゲームだとする所以はどんなところにあるのでしょう。

さらに、コロナ禍でゲームが子どもたちに与えてきた影響とは。ゲームに救われ、世界を切り開いていった小幡さんが、子どもとゲームの関わり方を見つめます。

全3回の2回目。#1を読む。

ゲームってどう教わるの?

「ゲムトレ」では、子どもたちは平均して月に4回のトレーニングを受けています。生徒の平均年齢は11歳。オンラインでコミュニケーションが取れる年齢から始められ、最年少で5歳、上は18歳まで、約500人が習っています。

でも「ゲームを習い事にしている」と言われてもピンとこない大人も多いのではないでしょうか。一体どんなカリキュラムで、どのようなことを習うのでしょう。

「子どもたちはトレーナーとオンラインでつないでゲームをします。まずはトレーナーが子どもたちと目標を決め、トレーニングのカリキュラムを組んでいきます。

今日は何をできるようになりたいのか。これからどう戦って進んでいくべきなのか。限られた1時間のトレーニングのなかで、目標設定を大切にしています。

やることを決めたら、まずはトレーナーが専門的なテクニックの見本をみせて、練習モードでワザを練習します。その後、本番として実際にやってみて、フィードバックするという流れです」(小幡さん)

「ゲムトレ」のトレーニングは、スポーツでひとつのワザやスキルを身につけたりするのと同じ。「いま、何を練習するべきなのか」を、子どもたちに寄り添って考え、進めていきます。

「ゲムトレ」のキャッチフレーズは、「顔の見える先生から、ゲームを学ぼう」というもの。担当するトレーナーは基本的に固定で、子どもたちは信頼でき、たくさんのスキルを持っている憧れのトレーナーからゲームを教わることができます。

「これまでなんとなく好きでゲームをしてきた子どもでも、夢中になればなるほどもっと上を目指したい、できるようになりたいと思うことが増えてくる。

そうなった時、きちんとしたトレーナーに教えてもらえる。トレーナーたちは、ゲームスキルはもちろんのこと、対子ども向けにレッスンができる人物を厳選していて、人柄やゲームに対する想いを重視しています」(小幡さん)

「ゲムトレ」のトレーニング風景

ゲームに詳しくなくても、このトレーニング風景動画を見れば、トレーナーの指導や生徒の雰囲気がなんとなくわかる。

子どもにフォートナイトをすすめる5つの理由

「ゲムトレ」のトレーニングで、メインで教えているのはオンラインゲームの「フォートナイト」。2017年にアメリカのEpic Games社から発売された、バトルロイヤルゲームで、PCやNintendo switchで参加できます。全世界でプレー人口は3億人以上もいるとされます。

生き残りをかけた銃撃戦で、そこだけを聞くと親はやや警戒しがちですが、実は子どもにおすすめのゲームなのだと小幡さんは語ります。

「ほかのゲームと比べてもらえれば一目瞭然なのですが、フォートナイトは、①演出がやさしいんです。銃撃戦ではあるものの血などはでないし、グロテスクな表現は一切なし。海外でも人気が高い『NARUTO-ナルト-』や『スパイダーマン』などとコラボしていたりして、アニメの世界観を大事にしているんです」(小幡さん)

また、基本的に②無料で、入門しやすいのも利点です。

「子どもにゲームをさせる親にとって悩みのタネになるのが、課金ですよね。今は、課金のビジネスモデルが変わってきているんです。

新たなモデルは最初に無料で遊んでもらって、気に入ればそこからお金をかける、というシステム。最初に何千円も出してゲームソフトを買うのなら、フォートナイトへ課金をするのも同じことです」(小幡さん)

でも、課金=お金をかけなければ強くなれない、勝ち上がれない、というイメージがあります。子どもがゲーム内で数千円使ったところで、たくさん課金している大人たちにはかなわないのでは?

「課金には、良い課金・悪い課金があると思っています。『ガチャ(※1)』などは悪い課金システムの代表。また、課金をすればするほど強くなる性質のゲーム、いわゆる《お金を使えば勝てる》ものは、あまり良いゲームとは言えません。

一方で、フォートナイトの課金は、強さにあまり関係ないところにあるんです。子どもたちにとっては、課金がゲームのアドバンテージに関与しないところが、フォートナイトの良い点です」(小幡さん)
※1「ガチャ」=カプセル玩具ガシャポンを語源とする、オンラインでランダムにアイテムが当たるくじタイプの課金システム。課金への誘導力とそのギャンブル性が、度々問題になっている。

ということは、フォートナイトは「課金に関わらず楽しめるゲーム」であるということですね。

「そう、③努力が報われる世界なんです。払った金額は関係なく、がんばって練習すれば強くなるシステム。その方がやりがいもあるし、本来はそういう世界が正しいですよね」(小幡さん)

コロナ禍ともマッチし 子どもたちの遊び場に

フォートナイトは、ソロ(1人)・デュオ(2人)・スクワッド(4人)というプレー体制があり、オンラインで人とつながってプレーすることができます。

「一人でもプレーできるのですが、基本はチームプレー。4人一組で行動するので、④コミュニケーション能力が必要になってきます。協力してひとつの目標へ向かっていくのがフォートナイトの醍醐味でもあるんです」(小幡さん)

また、このコロナ禍にあって、自由に友だちと遊べない⑤子どもたちのコミュニケーションツールとして、フォートナイトの世界観が合致したとも。

「これまでの『何時に公園で集合ね!』が、『何時にフォートナイトで会おう』に変わったと思いますよ。子どもたちにとって、友だちと待ち合わせて遊ぶ空間のひとつになっています。

ゲームをするだけでなく、ただ落ち合ってしゃべったりしているだけという場合も。ここに来たら世界とつながれるということですよね。ゲームの中でありながらも、リアルなつながりを持てる空間なんです」(小幡さん)

このような、ゲーム内でアバターとして行動できる仮想空間=メタバース(※2)の世界は、世界中で注目されています。娯楽の枠を超え、アバターとして会議をしたり、企業がサービスを提供したりする動きもあるのです。
※2メタバース=「meta」(超越)と「universe」(宇宙)を組み合わせた造語。オンライン上に構築された、人が活動できる仮想空間のこと

「米津玄師さんや星野源さんがフォートナイト上でライブをしていたり、東京農工大学のオープンキャンパスがひらかれたりしているんですよ。

フォートナイトを舞台として、自由なコミュニケーションや表現ができるようになっています。

このようなメタバースは、SNSの先をいくもの。これからの時代、メタバースが子どもたちの世界のリアルな一部になっていくと思います」(小幡さん)

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