ジャングル最強の生きもの グンタイアリの大あごのひみつ 後編

「グンタイアリ」
フックのようなあごの先がザックリと刺さっている。
こうなったらちょっとやそっとじゃぬけないぞ。

あらためてアゴの形を観察してみると、釣り針のような「ものをひっかける」ための形であることがわかる。

これなら、いったん刺さってしまえば抜けることはない。

敵がどんなに暴れても、ふり落とされずに毒針攻撃をつづけられる。

それどころか、深くかみついてしまうと自分でもアゴをはなすことができないようだ。
もはや自分でもアゴを引き抜けない。
こうなると、もはや死ぬまで敵の体に毒針を突き立てつづけるしかない。

兵隊アリたちのかみつきは、なかまを守るための、すて身の戦法だったのだ。


命とひきかえの攻撃なんてありえない!

死んじゃったら意味ないじゃん!


と思うかもしれないが、じつはぼくらの身近にいるミツバチもこれとまったく同じようなことをする。

ミツバチの毒針には、釣り針や矢のように「かえし」がついていて、一度ささると抜けないようになっている。

ミツバチは毒のつまったふくろごと毒バリをおしりから引きちぎり、敵の体に刺しっぱなしにして死んでしまう。
こうすると、毒ぶくろのなかの毒を、一滴のこらず注入しつづけることができる。

ミツバチの毒針の「かえし」のかわりに、グンタイアリはカギ状のアゴをつかっているというわけだ。


ところで、グンタイアリもミツバチも女王を中心になかまどうしで役割を分担している「社会性昆虫」である。

もし兵隊アリや兵隊バチがたたかいで死んでしまっても、女王をまもればあたらしい兵隊たちがどんどん産まれてくる。

まさに命がけの毒針攻撃は、かれらにしかできない必殺技なのだ。

ミツバチ
アリにしては大きな体をもつグンタイアリといえど、一匹一匹の力は弱く、かんたんに死んでしまう。
けれど一匹の兵隊アリが死んでしまっても、そのうしろには何百、何千というなかまたちが大アゴと毒針をふりかざして待ちかまえていて、かならず女王となかまを救うのだ。

アマゾンのジャングルでも、こんなやつらに勝てる生きものはほとんどいない。
なかまをまもる兵隊アリ
自然界ではたくさんのなかまと力をあわせることがいちばん強い生きかたなのだ。

いや、それは人間の世界でも一緒かもね。



〜「ジャングル最強の生きもの グンタイアリの大あごのひみつ」おわり〜

次回のお話は、生きた化石「オウムガイ」!
お楽しみに〜!



平坂寛さんが編集長を努めるウェブサイト