戦隊ロボに革命をおこせ! 開発者に聞いたDXドンオニタイジンの誕生秘話

初のフル可動戦隊ロボ DXドンオニタイジンの開発者に聞いてみた完成までの秘話と狙い

テレビマガジン編集部

ドンブラザーズ待望の5体合体ロボ・ドンオニタイジンのDX玩具 ©テレビ朝日・東映AG・東映
スーパー戦隊シリーズ第3作『バトルフィーバーJ』の「バトルフィーバーロボ」からはじまり、連綿と続くスーパー戦隊の巨大ロボット。毎回、番組のクライマックスに登場し敵をかっこよく撃破する戦隊ロボは『スーパー戦隊シリーズ』の花となっています。

また、2020年11月4日に開催された第33回東京国際映画祭での「ジャパニーズ・アニメーション」部門のシンポジウム「スーパー戦隊シリーズの歩み」でも、東映の白倉伸一郎プロデューサーが「『スーパー戦隊』の放送枠は元々はコン・バトラーVからスタートした」とし、『スーパー戦隊シリーズ』におけるロボットの存在は、映像面でも商業面でも重要なものだと認識されているようです。

そんな戦隊ロボは、3歳の子どもがはじめて手に取る合体ロボであることから、安全性や遊びやすさ、ギミックの楽しさが最重視されています。過去には「轟轟合体 DXダイボウケン」(轟轟戦隊ボウケンジャー)の膝が動いたり、「バスターマシン CB-01 DXゴーバスターエース」(特命戦隊ゴーバスターズ)の肘に可動軸があるといった例はありましたが、それらは全て変形機構の副産物であり、アクションフィギュア的な関節の可動軸が設けられることはほぼありませんでした。

しかし、2022年5月28日、スーパー戦隊シリーズ第46作の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』でついにその不文律とも言えるルールから脱する商品が発売されます。それが「DXドンオニタイジン」。5体のロボタロウが合体し完成する巨大ロボは、肩、肘、股関節、膝という主要な関節がフル可動し、さらに頭頂までの全高が約360mmという超ビッグサイズ!

今回は、この戦隊ロボの大革命と言える商品の開発者であるバンダイ・ブランドトイ企画部の寺野彰氏とプレックス・プランニングデザイン部の鶴巻拓也氏にインタビューを実施。開発秘話や気になる今後の展開についてお話を聞きました。

なお、別記事で「DXドンオニタイジン」のレビューも公開しているので、ぜひあわせてチェックしてください!

『ゼンカイジャー』と『ドンブラザーズ』を繋ぐドンゼンカイオー

これが「DXドンオニタイジン」だ! ©テレビ朝日・東映AG・東映

まずは自己紹介と、思い入れのある戦隊ロボを教えてください。

寺野
もともと、バンプレストでゲームセンターなどの景品の仕事をしていまして、そちらではガンダムなどを担当していました。そこから、バンダイのコレクターズ事業部(現・BANDAI SPIRITS)という大人向けの商品を作っている部署に異動し、そこでは10年間ぐらいROBOT魂や超合金魂などの商品に携わっていました。

その後、2020年の4月からブランドデザイン部(現・ブランドトイ企画部)に異動しまして、『魔進戦隊キラメイジャー』の後半からスーパー戦隊に関わるようになりました。仕事の内容としては、直接、玩具の開発というよりは東映様とバンダイ スーパー戦隊玩具開発チームの間を繋ぐような仕事をしています。今回の「DXドンオニタイジン」に関しては、この役割と実際に商品を開発する立場の両方を行っています。

好きな戦隊ロボは、リアルタイムでは僕はあまり戦隊のおもちゃ買ってもらえなかったタイプなんですが、超合金魂で自分が実際にリニューアルを担当した「大獣神」ですね。


鶴巻
好きな戦隊ロボは「隠大将軍」です。なんで好きなのかな? ちょっと悪そうな感じがするところですかね。あとカエル(ゴッドガンマー)が良いですよね。ダイナミックに変形しますし。黒色の面積が多いので全体的にワルかっこいいところが好きですね。

戦隊で自分が担当させていただいたのが、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』と、『機界戦隊ゼンカイジャー』、今回の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』です。それ以外だと、『仮面ライダーウィザード』の終盤から入って、『仮面ライダー鎧武』、『仮面ライダードライブ』、『仮面ライダーゴースト』、『仮面ライダーエグゼイド』を担当していました。

ドンブラザーズで最初に登場したロボットの「ドンゼンカイオー」は、前作の『ゼンカイジャー』にも登場し、さらに前作キャラのジュランティラノと合体して完成するというかなり変則的な展開でした。これはどういった狙いがあるのでしょうか?

寺野
従来のスーパー戦隊シリーズのように、作品が毎回毎回リセットされるというのは良いことでもあるのですが、作品が切り替わることによってファンが抜けてしまうという問題点もありました。そこで、これまでVSシリーズでしかやってこなかった、作品と作品を繋ぐようなことを本編でできないかということを、ゼンカイジャーの企画がスタートして、割りとすぐのタイミングから東映の白倉伸一郎プロデューサーと相談させてもらっていました。

そこで、作品と作品を繋ぐアイテムとして用意したのがドンゼンカイオーです。変身アイテムも、センタイギアがアバタロウギアになり装いは変わるのですが、引き続き「ギア」を使用するということで、商品として作品と作品を繋いでいます。


鶴巻
ロボに関しては、ゼンカイジャーとドンブラザーズを繋ぐドンゼンカイオーが序盤に活躍するので、ドンブラザーズとしての5体合体ロボの登場は少し後ろにずらすことになりました。
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