かこさとしの戦争と平和のことを考える絵本

くらげのパポちゃん
2025年2月5日ごろ発売

かこさんの平和への想いがつまった未発表原稿に
孫・中島加名さんが絵を描いて完成

この物語は、かこさんが約70年ほど前に書いたものです。舞台は終戦後、しばらくのちの日本。ちいさなくらげのパポちゃんは、とある少年と母親の会話を偶然耳にします。戦時中、戦地へ向かう船が沈没し、亡くなったという少年の父親。結局見つからずじまいだった父に、息子が立派に大きくなったことを知らせることができたらねぇ、という母親のつぶやきに、少年の父を探そうと、パポちゃんは大海原へと旅立つのです。

初めての広い海での大冒険。さまざまな海の生き物に出会いながら、旅の終着点でパポちゃんが目にしたこととは……。

生前、かこさとしさんは、戦時中、自分は軍国少年であったと語っておられました。終戦後、そんな過去の自分を悔い、以後の人生は子どもたちの未来のために生きようと決意します。その活動は、やがて絵本作家への道とつながっていきました。

そんなかこさんは晩年、「戦争の本をつくりたいがなかなかできない」と話していたそうです。そしてこの『くらげのパポちゃん』は、1955年に書き終えて以降もかこさんの心の中にずっとあった作品でした。

原稿のみであったこの作品に、絵をつけることを決めたのは、孫である中島加名さん。加名さんは、幼少期よりかこさんのそばで育ち、かこさんの作品のモデルとなったこともあります。加名さんが『くらげのパポちゃん』に出会ったのは、奇しくもかこさんがこの作品を書いたのと同じ、29歳のとき。祖父の想いを受け継ぎ、すこしずつ形にし、ついに絵本となりました。

今年は終戦後80年にあたる年でもあります。戦争経験を「語り継ぐ」重要性が話されている昨今において、祖父から孫へ、戦争を二度と起こしてはならないという強い想いが引き継がれた本書を、これからを生きる子どもたちにもご覧いただけたらと思います。

『くらげのパポちゃん』
文 かこさとし 絵 中島加名

2025年2月5日ごろ発売
本体 1700円(税抜)
40ページ
ISBN 978-4-06-537693-5

幻の遺稿を絵本化
本人の戦争経験を一人称で語った絵本

「秋は本当にいい季節です。
ところが、そのすてきな秋を、とてもきらいになったときがある。
とてもいやな秋だった──」
(かこさとし『秋』より)

紙芝居用に描かれていた作品がかこさんが亡くなられたのち見つかり、絵本化となりました。太平洋戦争のとき、高校生だったかこさんが経験した実話です。戦争の悲惨さに怒り震えるかこさんが、もうこんなことは二度とおこしてはいけないと、子どもたちに伝えようと作った本作は、『くらげのパポちゃん』と同時期に描かれました。かこさんの平和への強い想いが一人称で語られ、胸に迫ります。

『秋』
文・絵 かこさとし

本体 1600円(税抜)
40ページ
ISBN 978-4-06-523962-9

かこさとしの化学絵本シリーズ

かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい 全5巻(監修/藤嶋昭)

難しいけど面白い、かこさんが初めてつくった
化学絵本シリーズがリニューアル復刊!

東大工学部卒で研究者だったかこさとしさんが、その専門性をいかし、1981年に初めて作った化学絵本シリーズ「絵で見る化学のせかい」(偕成社刊/日本化学会監修)。初版の楽しさや図鑑のようなボリューム感はそのままに、データを最新のものにし、新たな学説や解説を加え、デザインも一新。「かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい」として生まれ変わりました。かこさんの化学愛・絵本愛・子どもへの愛が詰まった本シリーズ、一見難しい!? でもそこは、子どもが楽しみながらその深くて面白い世界に入り込める仕掛けがたくさん。

相当な理科好きの子どもも大満足すること間違いなしです。正解のおしつけではない、考えてたどり着く一生ものの知識を子どもたちに。

1巻 原子と分子のたのしい実験

コップの水を半分にしていくと、やがて水分子に! 身近なものから分子の概念への理解を促します。

『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい1 原子と分子のたのしい実験』
作 かこさとし 監修 藤嶋昭

本体 2000円(税抜)
32ページ
ISBN 978-4-06-536968-5
総ルビ・さくいんつき 小学生から

2巻 なかよし いじわる 元素の学校と周期表

それぞれの性質を表した元素の子どもたちに、親しみを持って学べます。

〈お詫びと訂正〉
2巻「なかよし いじわる 元素の学校と周期表」P24にて、元素番号15のリンを誤って5番と表記してしまいました。正しくは15番になります。謹んでお詫びし、訂正いたします(編集部)。

『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい2 なかよし いじわる 元素の学校と周期表』
作 かこさとし 監修 藤嶋昭

本体 2000円(税抜)
32ページ
ISBN 978-4-06-536969-2
総ルビ・さくいんつき 小学生から

3巻 化学の大サーカス 技術の歴史

においや色の不思議とともに、世界の名画まで楽しめる3巻。

『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい3 化学の大サーカス 技術の歴史』
作 かこさとし 監修 藤嶋昭

本体 2000円(税抜)
32ページ
ISBN 978-4-06-536970-8
総ルビ・さくいんつき 小学生から

4巻 地球と生命 自然の化学

自然科学を扱った4巻では、地球や地面の断面図も楽しめます。

『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい4 地球と生命 自然の化学』
作 かこさとし 監修 藤嶋昭

本体 2000円(税抜)
32ページ
ISBN 978-4-06-536971-5
総ルビ・さくいんつき 小学生から

5巻 化学の未来 資源とエネルギー

実は40年以上前から語っていた! かこさん流SDGsの考え方。

『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい5 化学の未来 資源とエネルギー』
作 かこさとし 監修 藤嶋昭

本体 2000円(税抜)
32ページ
ISBN 978-4-06-536972-2
総ルビ・さくいんつき 小学生から

かこさとしの詩集

ありちゃん あいうえお

かこさんが孫たちの成長を見つめるなかで
創った詩をまとめた初めての詩集!

第1章の「ありちゃん あいうえお」は、子どもたちの言葉の習得は「あいうえお」の順ではなく、半濁音やマ行が先になる、といったようなことを考慮しながらかこさんが作った「あいうえお」の詩。こういった内容としてはめずらしく、半濁音の行なども充実しています。第2章は二人の孫への愛情溢れる詩です。

子どもが小さいころ、育てる親御さんたちもまだ、親になった自分たちに慣れておらず、上手に子どもに愛情を伝えるのが難しかったりします。そんなときにもぜひ、お子さんにむけて読んでみてください。やさしくあたたかい言葉がたくさん並んでいます。ちなみに詩のなかに出てくる「ひろちゃん」は『くらげのパポちゃん』の絵を描いた中島加名さんのことです。

『ありちゃん あいうえお かこさとしの71音』
詩と絵 かこさとし

本体 1300円(税抜)
80ページ
ISBN 978-4-06-514269-1

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かこさとし プロフィール

かこ さとし

Satoshi Kako

1926年現在の福井県越前市に生まれる。工学博士、技術士(化学)。東京大学工学部卒業後、化学会社に勤務しながら、ボランティアで子どもたちと関わり、『だむのおじさんたち』で本作家としてデビュー。『だるまちゃんとてんぐちゃん』、『からすのパンやさん』をはじめ、『かわ』『宇宙』などの科学絵本も含め、著作は600冊以上に及ぶ。菊池寛賞、日本化学会特別功労賞、巌谷小波文芸賞など受賞多数。越前市にかこさとしふるさと絵本館「砳」、だるまちゃん広場(武生中央公園)がある。2018年5月没。



公式ウェブサイト https://kakosatoshi.jp

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