絵本『にじいろの さかな』は、キラキラと輝くうろこを持つ魚「にじうお」が、海に暮らす仲間と共に成長していく絵本。1992年にスイスで刊行され、今では世界で3000万人以上に愛されているという大ベストセラーシリーズです。
日本では1995年に谷川俊太郎さんが翻訳し、以降「にじいろの さかな」はシリーズ累計9作品刊行されています。100万部突破も近い、第1巻『にじいろの さかな』が発売されて、2025年で30周年を迎えました。
知っていましたか? 「にじいろの さかな」シリーズには、巻ごとに「子どもの心を育てるテーマ」があるんです。1巻ずつ、テーマとあらすじをご紹介します。

テーマ:ひとりじめしないでお友達にもわけることができたら、もっと仲良くできるかも
シリーズ1作目。主人公の「にじうお」は、にじいろに輝くうろこをもった、世界でいちばん美しいさかな。でも「にじうお」は、自分の大事なキラキラのうろこをまわりにあげることができず、ひとりぼっちになってしまいます。さみしい「にじうお」は、かしこい「たこ」に相談にいくことにしましたが……。

テーマ:いつもと違う新しいお友達のことを受け入れられる?
シリーズ2作目。キラキラのうろこを無事お友達にわけることができて、楽しく仲間に囲まれている主人公の「にじうお」。そこに、仲間に加わりたいと「しましま」がやってきた。でも、「しましま」はキラキラのうろこを持っていないので仲間に入れてもらえない。そこに突然サメがあらわれて……。「にじうお」たちは「自分たちと違っている」お友達をどうやって受け入れていくのでしょうか。

テーマ:とげとげした言葉が相手を傷つけてしまうことがあるよ
シリーズ3作目。主人公の「にじうお」とその仲間たちの近くに「おおくじら」がやってきた。「おおくじら」は体はおおきいけれど、「にじうお」たちを食べようとか、意地悪をしようといったことはまったく考えていなかった。ただ、「にじうお」たちのキラキラのうろこをうっとりと眺めているだけだった。ところが「にじうお」たちは誤解をしてしまい、「おおくじら」との関係はどんどん険悪に。どうする、「にじうお」!?

テーマ:怖い怖いと思っていたものって、案外そんなこともないのかも
シリーズ4作目。「こぶうお」がひどい病気になってしまった。助けるのに必要なのはとある貴重な薬草。でもその薬草があるのは「悪魔の谷」と呼ばれて誰も近寄らないところ。怖い怪物がたくさんいるらしい。「にじうお」と「ちびあお」は怖かったけれど、「こぶうお」を助けたくて旅に出た。「悪魔の谷」で「にじうお」たちが見た、怪物たちの正体とは……!

テーマ:お友達に自分が欲しかったものをわけてあげられるかな?
シリーズ5作目。ある日「にじうお」はきれいな小石集めに夢中になるうちに、お友達の「しましま」からはぐれて嵐に巻き込まれてしまい、気づいたらまったく知らないところに来てしまった。そこで出会った「ほたてがい」に「しましま」のいるところに連れて行くと言われてついていったものの……。

テーマ:自分らしさは自分だけのものだから大切に
シリーズ6作目。主人公「にじうお」のキラキラのうろこが海の底に落ちてしまった! 海の底の生き物たちと一緒に探してもなかなか見つからない。そんななか「おおくらげだこ」がたくさんのキラキラを吹いて「にじうお」をキラキラにしてくれた。でも「にじうお」は言う。「ぼくは ただ、じぶんの うろこを みつけたいだけなんだよ。」 にじいろシリーズでキラキラ率No.1! キラキラが好きなお子さんにもおすすめです。

テーマ:大丈夫。どんなときも愛されているからね
シリーズ7作目。「にじうお」が小さかったころの、寝かしつけてくれるお母さんとの心温まるお話。もしじぶんにこんな大変なことが起こったらどうする? と問いかける「にじうお」に、どんなことがあっても、「にじうお」を守るよ、と愛情たっぷりに答えるお母さん。「にじいろの さかな」シリーズの中でも、低年齢から読み聞かせやすい一冊です。

テーマ:時にはお友達に譲ってあげることも大切だよ
シリーズ8作目。主人公の「にじうお」はお友達の魚たちとかくれんぼをしていた。でもどういうわけか、すぐに見つかってしまうし、じぶんが鬼になったときは見つけられない。そのことに腹を立てる「にじうお」。仲間の「あかひれ」に諭された「にじうお」は……。

テーマ:まわりを不安にさせるような嘘はついてはいけないよ
シリーズ9作目。新しく仲間になった「ウンベルト」。みんながびっくりして不安になるようなことをいろいろと言ってくるけれど、どうやら本当の話じゃないみたい。しかも本人は言ったそばから自分が言ったことを忘れているようだ。そのうち誰も「ウンベルト」のことを信じなくなって……。現実社会でも起こりうることを、子どもにも理解できる物語に。

にじうお
キラキラと輝くうろこを持つ特別な魚。キラキラのうろこを自慢に思っていた。タコの助言により、仲間がいることの幸せに気づく。

ちびあお
にじうおの仲間。最初に、キラキラのうろこがほしいとにじうおに持ちかけた。できないことでも、何度もチャレンジする頑張り屋さん。

しましま
『にじいろの さかな しましまを たすける』から登場。キラキラのうろこを持っていないため、仲間はずれにされたことがある。

ぎざぎざ
にじうおの仲間。いろいろなアドバイスをしてくれる仲間のリーダー的存在。怖いサメにも立ち向かう勇気を持つ。

あかひれ
にじうおのお姉さん的存在。シリーズ初めての女の子。仲間がケンカしたときも、仲直りするのを助けてくれる。

ウンベルト
黄色の背びれがトレードマークの、ちょっとふしぎなさかな。おはなしを作ってみんなを楽しませるのが好き。
マーカス・フィスター(Marcus Pfister)
1960年、スイスのベルンに生まれる。高校卒業後、ベルンの美術工芸学校の基礎科に入学。その後、グラフィック・デザイナーとして、1981年から1983年までチューリッヒで働く。カナダ・アメリカ・メキシコを旅行ののち、帰国後はフリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして活躍している。
おもな作品に「ペンギンピート」シリーズ、「うさぎのホッパー」シリーズ、「にじいろの さかな」シリーズなどがある。
1993年、ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞した『にじいろの さかな』をはじめとする「にじいろの さかな」シリーズは、世界で3000万人の読者に迎えられた大ベストセラーとなっている。
谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)
1931年、東京に生まれる。高校卒業後、詩人としてデビュー。
1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』(創元社)を刊行。以後、『定義』(思潮社)、『女に』(マガジンハウス)、『ことばあそびうた』(福音館書店)、『はだか』(筑摩書房)、『世間知ラズ』(思潮社)など多くの詩作がある。
ほかにレコード大賞作詞賞受賞の「月火水木金土日の歌」、テレビアニメ「鉄腕アトム」の主題歌などの作詞、『スイミー』(好学社)などのレオニの絵本や『マザー・グースのうた』(草思社)、「スヌーピー」シリーズ(角川書店)、「にじいろの さかな」シリーズ(講談社)の翻訳など、幅広く活躍。
1975年に『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、1988年に『はだか』で野間児童文芸賞、1993年に『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞などを受賞。