
【お姫さまアンソロ ためし読み④】羽央えり先生の「リリーサクラメント」が読めちゃう!
『いきなりお姫さまになっちゃいました!? ~溺愛度500%の異世界アンソロジー~』の無料ためし読み!
2026.07.02
新シリーズ『いきなりお姫さまになっちゃいました!? ~溺愛度500%の異世界アンソロジー~』が7月8日(水)に発売!
目がさめたとき、知らない「異世界(いせかい)」にいたら、あなたはどうする?
「きゅん」と「ドキドキ」がとまらない新しいファンタジーが、7月8日(水)にいよいよ発売するよ! タイトルは
『いきなりお姫(ひめ)さまになっちゃいました!? ~溺愛度(できあいど)500%の異世界アンソロジー~』
4つのお姫さまがでてくるお話がつまった、スペシャルなアンソロジーです☆
このわくわくのストーリーをはやくみんなにも読んでもらいたくて、無料(むりょう)のためし読みを公開しちゃいます!
最後は羽央(わお)えり先生がおくる
「リリーサクラメント 騎士(きし)の少女と、姉妹の聖約(せいやく)」をぜひぜひ、ためし読みしてみてね!
「きゅん」と「ドキドキ」がとまらない新しいファンタジーが、7月8日(水)にいよいよ発売するよ! タイトルは
『いきなりお姫(ひめ)さまになっちゃいました!? ~溺愛度(できあいど)500%の異世界アンソロジー~』
4つのお姫さまがでてくるお話がつまった、スペシャルなアンソロジーです☆
このわくわくのストーリーをはやくみんなにも読んでもらいたくて、無料(むりょう)のためし読みを公開しちゃいます!
最後は羽央(わお)えり先生がおくる
「リリーサクラメント 騎士(きし)の少女と、姉妹の聖約(せいやく)」をぜひぜひ、ためし読みしてみてね!
イラストは雪丸ぬん先生!
リリーサクラメント 騎士の少女と、姉妹の聖約
1
周囲に広がる景色を前に、私──虹咲雅(にじさきみやび)──は、何度も目をぱちぱちさせた。
「なに、ここ……?」
ほんの一瞬(いっしゅん)前まで、いつもの学校の、いつもの花だんで、花に水をあげていたはずなのに。
なぜか、見知らぬ森の中にいた。
立ち上がろうと手をつくと、ヒンヤリとした湿(しめ)った感触が伝わってくる。
同時に、とても濃(こ)い緑の香りがただよった。
あらためて周りを見ると、妙に大きな葉をつけた木や見たことのないかたちをした花が目に入る。
こんな植物、日本にあったかな。
小さいころからお母さんの影響(えいきょう)で花が好きだった。
だから植物図鑑(ずかん)をよく読んでいたし、ふつうの中学生よりはくわしいほうだと思う。
だけど、森をうめつくす植物は見たこともないものばかりだ。
本当にここはどこなんだろうとふしぎだった。
ふり返ったとたん、私はせっかく立ち上がったのにまた尻餅(しりもち)をつきそうになってしまう。
目の前にとんでもなく大きな木が天に向かってのびていたのだ。
首が直角になりそうなくらい見上げても、木のてっぺんが見えない。
こういうのを、圧倒(あっとう)されるっていうんだと思った。
首がつかれて視線を落として、あっと気がついた。
大きな木の根元から、まだ生まれたばかりの細い幹(みき)がのびていた。
それが途中で折れかけていた。
あわてて制服のポケットからハンカチを取り出す。
お気に入りの、白いハンカチだ。
折れかけた幹の手当ては何度かしたことがある。
ひとまずハンカチでしっかりしばれば、だいじょうぶなはずだ。
周囲に広がる景色を前に、私──虹咲雅(にじさきみやび)──は、何度も目をぱちぱちさせた。
「なに、ここ……?」
ほんの一瞬(いっしゅん)前まで、いつもの学校の、いつもの花だんで、花に水をあげていたはずなのに。
なぜか、見知らぬ森の中にいた。
立ち上がろうと手をつくと、ヒンヤリとした湿(しめ)った感触が伝わってくる。
同時に、とても濃(こ)い緑の香りがただよった。
あらためて周りを見ると、妙に大きな葉をつけた木や見たことのないかたちをした花が目に入る。
こんな植物、日本にあったかな。
小さいころからお母さんの影響(えいきょう)で花が好きだった。
だから植物図鑑(ずかん)をよく読んでいたし、ふつうの中学生よりはくわしいほうだと思う。
だけど、森をうめつくす植物は見たこともないものばかりだ。
本当にここはどこなんだろうとふしぎだった。
ふり返ったとたん、私はせっかく立ち上がったのにまた尻餅(しりもち)をつきそうになってしまう。
目の前にとんでもなく大きな木が天に向かってのびていたのだ。
首が直角になりそうなくらい見上げても、木のてっぺんが見えない。
こういうのを、圧倒(あっとう)されるっていうんだと思った。
首がつかれて視線を落として、あっと気がついた。
大きな木の根元から、まだ生まれたばかりの細い幹(みき)がのびていた。
それが途中で折れかけていた。
あわてて制服のポケットからハンカチを取り出す。
お気に入りの、白いハンカチだ。
折れかけた幹の手当ては何度かしたことがある。
ひとまずハンカチでしっかりしばれば、だいじょうぶなはずだ。
「これでだいじょうぶ。きっと……ううん、かならずよくなるからね。がんばろうね。」
そう声をかけたところで、とつぜん、後ろのほうからどなり声が聞こえてきた。
「いたぞ! 魔女(まじょ)だ!」
なんだろうと思ってふり返って、ぎょっとした。
大人の男の人たちが、すごくけわしい顔をしてこっちにやってくる。
みんな、映画やアニメにでも出てきそうな西洋風の鎧(よろい)を着て、槍(やり)だの剣だのを持っていた。
「え、え、なにこれ……?」
あっという間に取りかこまれていて、私はあまりのこわさにその場にすわりこんでしまった。
そう声をかけたところで、とつぜん、後ろのほうからどなり声が聞こえてきた。
「いたぞ! 魔女(まじょ)だ!」
なんだろうと思ってふり返って、ぎょっとした。
大人の男の人たちが、すごくけわしい顔をしてこっちにやってくる。
みんな、映画やアニメにでも出てきそうな西洋風の鎧(よろい)を着て、槍(やり)だの剣だのを持っていた。
「え、え、なにこれ……?」
あっという間に取りかこまれていて、私はあまりのこわさにその場にすわりこんでしまった。
*
始まりは、中学校へ入学してから二か月がたったころかもしれない。
私には小学校からの友だち・佳奈(かな)がいた。
中学校の入学式の後、同じクラスになったとわかったときは私も佳奈も泣いてよろこんだ。
はじめて着る制服の感想を言い合ったりしながら教室に入って、ドキリとした。
知らない人がたくさんいたから。
するとすぐ、「ふたりは友だち?」と声をかけられた。
相手は桃子ちゃんといった。彼女はとなりの学区の小学校に通っていたみたい。
すごく明るくて、にこにこしてて、ゲームとアニメが大好きだと教えてくれた。
佳奈と趣味(しゅみ)が似ていたから、ふたりはすぐに仲良くなった。もちろん私もいっしょに。
だけど私が園芸部に入部すると、少しずつなにかが変わってしまった。
佳奈と桃子ちゃんのふたりで過ごす時間がふえたせいか、私だけがふたりの会話から取り残されることが多くなっていった。
それでもふたりといられればそれでよかったのに。
ある日、私は佳奈と桃子ちゃんのケンカにまきこまれることになってしまった。
きっかけは、好きなアニメについての意見の食いちがい。すごくささいな話だったみたい。
佳奈と桃子ちゃんのふたりから相談されて、正直私はこまってしまった。
だって、どちらかひとりを悪者になんてできないから。
私は佳奈にも桃子ちゃんにも、あなたはわるくないよって言うしかなかった。
そのせいで優柔不断(ゆうじゅうふだん)と言われるなんて考えてもいなかった。
「どっちの味方なの!?」
ふたりから責(せ)められて、私は「どっちの味方とかないよ。」と、笑うしかなかった。
そしたらふたりから「もういいよ。」と言われてしまって……。
一番ショックだったのは、佳奈と桃子ちゃんが知らないあいだに仲直りしていたことだった。
その日の放課後、学校の花壇で花の世話をしながら、すごく悲しい気持ちになってしまった。
大好きな花の世話が、ちっとも楽しくなかった。
ふたりから言われた優柔不断という言葉を何度も思い出して胸が痛(いた)くなる。
ふたりの言うとおりかもしれないと後悔(こうかい)もした。
だけど、それじゃあ私はどうすればよかったの?
「佳奈も桃子ちゃんも、大好きなのに……!」
うつむいたとたん、ボブヘアの毛先がほおをくすぐって、いっしょに涙が落ちてきた。
パタ、パタ、パタ。
いつの間にか、私は泣いていた。
だれかに見られたらはずかしいと思うのに、涙がぜんぜん止まらない。
どんどん花壇の土がぬれていく。
その、次の瞬間だ。
とつぜん、涙をすった土が光りだして、もこもこと下から茎(くき)がのびてきた。
なにこれ……!?
ついさっき植えたばかりの種が、こんなに早く芽を出すなんてありえない。
種は、園芸部の部室のすみで見つけたもので、なんの変哲(へんてつ)もないユリの種に見えたのに。
あっというまに虹色の花が咲いて、またおどろいた。
思わず花びらに手をのばす。すると、こんどは白い光があふれだし、あたりをうめつくした。
まぶしさにつぶった目を開けたときには、まったく知らない森の中にいた。
*
始まりは、中学校へ入学してから二か月がたったころかもしれない。
私には小学校からの友だち・佳奈(かな)がいた。
中学校の入学式の後、同じクラスになったとわかったときは私も佳奈も泣いてよろこんだ。
はじめて着る制服の感想を言い合ったりしながら教室に入って、ドキリとした。
知らない人がたくさんいたから。
するとすぐ、「ふたりは友だち?」と声をかけられた。
相手は桃子ちゃんといった。彼女はとなりの学区の小学校に通っていたみたい。
すごく明るくて、にこにこしてて、ゲームとアニメが大好きだと教えてくれた。
佳奈と趣味(しゅみ)が似ていたから、ふたりはすぐに仲良くなった。もちろん私もいっしょに。
だけど私が園芸部に入部すると、少しずつなにかが変わってしまった。
佳奈と桃子ちゃんのふたりで過ごす時間がふえたせいか、私だけがふたりの会話から取り残されることが多くなっていった。
それでもふたりといられればそれでよかったのに。
ある日、私は佳奈と桃子ちゃんのケンカにまきこまれることになってしまった。
きっかけは、好きなアニメについての意見の食いちがい。すごくささいな話だったみたい。
佳奈と桃子ちゃんのふたりから相談されて、正直私はこまってしまった。
だって、どちらかひとりを悪者になんてできないから。
私は佳奈にも桃子ちゃんにも、あなたはわるくないよって言うしかなかった。
そのせいで優柔不断(ゆうじゅうふだん)と言われるなんて考えてもいなかった。
「どっちの味方なの!?」
ふたりから責(せ)められて、私は「どっちの味方とかないよ。」と、笑うしかなかった。
そしたらふたりから「もういいよ。」と言われてしまって……。
一番ショックだったのは、佳奈と桃子ちゃんが知らないあいだに仲直りしていたことだった。
その日の放課後、学校の花壇で花の世話をしながら、すごく悲しい気持ちになってしまった。
大好きな花の世話が、ちっとも楽しくなかった。
ふたりから言われた優柔不断という言葉を何度も思い出して胸が痛(いた)くなる。
ふたりの言うとおりかもしれないと後悔(こうかい)もした。
だけど、それじゃあ私はどうすればよかったの?
「佳奈も桃子ちゃんも、大好きなのに……!」
うつむいたとたん、ボブヘアの毛先がほおをくすぐって、いっしょに涙が落ちてきた。
パタ、パタ、パタ。
いつの間にか、私は泣いていた。
だれかに見られたらはずかしいと思うのに、涙がぜんぜん止まらない。
どんどん花壇の土がぬれていく。
その、次の瞬間だ。
とつぜん、涙をすった土が光りだして、もこもこと下から茎(くき)がのびてきた。
なにこれ……!?
ついさっき植えたばかりの種が、こんなに早く芽を出すなんてありえない。
種は、園芸部の部室のすみで見つけたもので、なんの変哲(へんてつ)もないユリの種に見えたのに。
あっというまに虹色の花が咲いて、またおどろいた。
思わず花びらに手をのばす。すると、こんどは白い光があふれだし、あたりをうめつくした。
まぶしさにつぶった目を開けたときには、まったく知らない森の中にいた。
*
「……だから自分は聖(せい)なる森に侵入したわけではない、と?」
そう言ったのは、金色にかがやく髪(かみ)に青い瞳(ひとみ)をした男の子だ。
彼は自分のことを「スピネウス。この国の王太子(おうたいし)だ。」と名乗っていた。
きれいな顔だけどなんだか意地悪(いじわる)そうに見える。
歳(とし)は私よりも少し上だと思うけど……。
森にいた理由を伝えた私を、スピネウスは思いきり鼻(はな)で笑ったのだ。
「ほ、本当です! 私、本当にさっきまで学校にいて! 気づいたら、あの森に──!」
「だまれ!」
そう言ったのは、金色にかがやく髪(かみ)に青い瞳(ひとみ)をした男の子だ。
彼は自分のことを「スピネウス。この国の王太子(おうたいし)だ。」と名乗っていた。
きれいな顔だけどなんだか意地悪(いじわる)そうに見える。
歳(とし)は私よりも少し上だと思うけど……。
森にいた理由を伝えた私を、スピネウスは思いきり鼻(はな)で笑ったのだ。
「ほ、本当です! 私、本当にさっきまで学校にいて! 気づいたら、あの森に──!」
「だまれ!」

























