『都会のトム&ソーヤ22 ナイト列車で行こう!』発売を記念して、執筆の段階でボツになった「カット原稿」を赤い夢学園会員限定で公開いたします。
「カット原稿」とは、はやみねかおる校長が原稿を書いていて「ああ、ここいらないな」とか「話を戻さないと」というときに、書いてきた部分をカットした原稿のことです。過去には、『都会のトム&ソーヤ1』のカット原稿が、『都会のトム&ソーヤ 完全ガイド』(2009年4月23日発売)に掲載されたこともありました。
はやみね校長より、「赤い夢学園の生徒さんたちに、読んでもらうのはどうか」とありがたい提案をいただき、実現することができました。
今回公開するカット原稿は、この2本です。
幕間①「TSM ~Top Secret Mission~」
幕間② 「夏音は夢見る女の子」
この2つのエピソードは、本編を読んだ上でお楽しみください。
幕間①「TSM ~Top Secret Mission~」
創也と内人を、集合場所まで送る卓也。『都会のトム&ソーヤ22 ナイト列車で行こう!』(作:はやみねかおる 絵:にしけいこ)
二階堂卓也は、ご存じの通り、竜王グループ特殊任務部雑務課、主任補佐です。仕事内容は、とにかく創也の安全を守ること。創也の“お守り”をいやがっているようですが、職務には忠実で、仕事熱心です。ですが、抽選に外れてしまい『ナイト列車で行こう!』に参加できなかったことが、『都会のトム&ソーヤ22 ナイト列車で行こう!』105ページに書かれています。
そして目的地まで2人を送り届けると、こう言って2人を見送ったのでした。
「創也様、くれぐれもお気をつけて──」
卓也さんがいう。その真剣な目は、音声がなかったら、中学生を恐喝している悪い大人に見える。
「内人様も、くれぐれもお気をつけて──。そして、創也様のことを、くれぐれもよろしくお願いします」
『都会のトム&ソーヤ22 ナイト列車で行こう!』123〜124ページより抜粋
カットされた原稿は、卓也が創也たちを見送った後のエピソードです。「いやぁ、御曹司のお守……いえ、護衛は本当に大変な仕事だな」と思いつつ、クスリと笑える一幕です。
幕間②「夏音は夢見る女の子」
「頭脳集団(プランナ)」に所属するユラ(左)と夏音(右)。(絵:にしけいこ)
北条夏音は、「頭脳集団(プランナ)」に所属するユラの後輩です。口にしたことが実現する「ことば使い師」なので、「私、ああいった感じの組織があったら入りたいな」と言ったところ、本当に入ってしまったのです。
ユラの名前をいつも間違えて「ウラ先輩」と呼んでいて、その度に「チッ」とユラに舌打ちされています。そのうち本当に「ウラ」になっちゃったりして……。
それはさておき、カットされた原稿「夏音は夢見る女の子」の前フリは、『都会のトム&ソーヤ22 ナイト列車で行こう!』121ページにあります。
「その大きなバッグ、何が入っているの?」
「輪行車です」
「何、輪行車って?」
春歩さんが首をかしげる。
「車輪が外せる自転車です。コンパクトになるので、こうしてバッグに入れて持ち運べます」
バッグをふたりに見せる夏音。
『都会のトム&ソーヤ22 ナイト列車で行こう!』121ページより抜粋
先日行われたオンラインイベント「夜な夜な校内放送vol.7『マチトムナイト!!』」で、マチトム担当編集でもある塩見理事長が、「輪行車って、この後出てこないですよね」とはやみね校長にたずねたところ、カットした原稿のことを忘れて、121ページに夏音の輪行車の記述が残ってしまったことが判明しました。
惜しくもカットされてしまった夏音の活躍を、楽しんでください!
はやみね校長の解説
この超短編は、『都会のトム&ソーヤ22 ナイト列車で行こう!』158ページのあとに入るはずでした。まず、卓也さんの「TSM ~Top Secret Mission~」。その次に夏音の「夏音は夢見る女の子」が続きます。
カットした一番の理由は、長くなりすぎるということです。
2つのカット原稿のあとは、卓也さんに夏音が追いついて2人のバトル。その後は2人が和解し、連絡を取りつつ別行動。それぞれの任務に就きます。
2つ目の理由は、メイントリックを変更したからです。
本当は、「線路が二本あり、内人たちの乗った車両と、もう一つのナイト列車が走っている」というトリックにする予定でしたが、それを全部書きこむと前中後編になってしまうのです。(ところどころに、変更前のトリックのための伏線が張ってあります。興味のある方は探してみてください!)