
ホームレスも大企業の社長も同じ。ひろゆきの最強メンタルを育てた「昭和の公立カオス」の正体
漫画『こどもひろゆき』発売記念! 親友「たかし」との特別対談【後編】 (2/2) 1ページ目に戻る
2026.07.09
ライター:小川 聖子
経済格差、家庭環境…… 「異物が前提」だった昭和の公立
ひろゆき:そうですね。ただ厳密にいえば僕たちは団地住民ではなく、僕は公務員宿舎、たかしは一戸建てでした。
当時あのあたりは、エリア最大規模の桐ヶ丘団地のほかに、大企業の社宅や公務員宿舎、地元に昔からある一戸建てなど、多様なクラスタで構成されていました。
ただまぁみんなひっくるめて「桐ヶ丘団地民」という感じではありましたよ。何しろ幼稚園、小学校、中学校とメンバーはほぼ全員、ずっと一緒ですからね。
いわゆるふつうの子ももちろんいたけれど、貧乏な子、お金持ちの子、障がいのある子、ちょっとヤカラっぽい子などすべてが渾然一体。
「住めるの⁉︎」という場所に住んでいる子もいれば、お父さんのコネクションで、懸賞でしかもらえないはずのおもちゃを大量に持っている子がいたりね。
ひろゆき:一軒家の、お金持ちグループね(笑)。モテていたのはオーソドクスに運動ができて、勉強もできて、見た目も悪くない、みたいな子。
絵に描いたような美少女が突然転校してきたこともあったし、その一方でとんでもなくぶっ飛んだやつもいて。
たかし:いたね~(笑)。教室で伝説レベルの「粗相」をやらかしたスーパーヒーローが。「後ろのロッカーの上ですごいものを見せる!」という予告があったけど、「確かにすごいものだったな」と。
今ならいわゆる「特性」ということになるかもしれないけど、当時はそんなのないから、僕たちはただただ「すげー‼︎」って。
ひろゆき:当時の桐ヶ丘団地には、障がいのある方や生活保護世帯も多かったんですよ。
近くに特別支援学校などの専門の学校があるわけでもないから、そんな家庭の子もみんなひとまとめで同じ学校に通っていて。僕たちも子どもだったからあまり違和感も感じないという。
今でも鮮明に覚えてるのは、テストが終わって答案用紙を教壇に持っていくのに、ひろゆきが通路の両サイド、すべての机にぶつかりながら進んでいったこと。ただまっすぐ歩けばいいだけなのに、なぜぶつかっていくんだろうって。
ひろゆき:あれ、自分でも不思議なんだよね。高校のときも「よく遅刻してきて机にぶつかってる」と言われていたんだけど、ぶつかるのは机だけ。
普通に道を歩いていて人にぶつかったり、本当にダメなものにはぶつかっていないから、困ってはいないんだよね。
たかし:困る困らないじゃなくて、なぜぶつかるんだろうという話をしてたんだけど(笑)。その姿を見たときは、「人生大変そうだな」とうっすら心配になったことを覚えています。
ひろゆき:まぁ僕も調べたらなんらかのラベルがつくタイプではあっただろうね(笑)。
たかし:それは間違いないね(笑)。
「偏差値が離れた人」とは話さずに大人になってしまう現代教育の偏り
たかし:僕の周りでも、奥さんが私立の中高で学んできた人だから、「子どもは全員、小学校から私立に入れる、とてもお金がかかる!」なんて言っている人が増えています。
ただ、「偏差値を基準に分ける」ということを中学時代からしてしまうと、人格形成期の話し相手や付き合う仲間が、やや限定された集団、例えば「偏差値○○以上の人たち」みたいなことになりかねないから、それは少し気になりますね。
世の中というのは多様な人間で構成されていて、そのうちの大半は偏差値教育などからは離れた人たち。
だから、子どものうちから自分と似た環境の人たちしか知らず、それ以外と関わることなく成長してしまうのは、実はやや偏った状態ではないかと思ってしまって。
しかも、本人たちがそのことに気が付く機会はなかなかないという。
ひろゆき:暴力がすべてだと思っている「ヤカラ系」みたいな人たちに絡まれたとき、どう切り抜けていくかというハックを身につける機会も今は減りましたよね。
たかし:社会人として成功しても、そういう「ヤカラ系」はちょこちょこ現れますから、その場合の対処の仕方は覚えておいたほうが得な気はしますね(笑)。
世の中に不条理なことはたくさんあって、ちょっとした会話にしても全員に公平にターンが回ってくるなんてことはなかなかない。面白いやつは持ち時間が長いけれど、そうじゃないやつに時間はない。
これは男子に顕著なのかもしれませんが、動物的な嗅覚で「誰が場を支配しているか」を感じて行動を決め、自分のポジションを獲得していく、そういう瞬間ってたくさんあるんですよ。
ひろゆき:例えばいわゆる「2丁目系」の方たちの多くはトークも上手くて、それまでの話の流れを加速させるのも上手いし、急にぶっ壊して変えるのも上手。
それはやっぱり、さまざまな人や世界に出会ったなかで身につけたスキルがあるからじゃないですか。
学校は、揉めてもまた翌日には顔を合わせざるを得ない場所。相性が良くない人、話が通じない人とどう折り合いをつけていくか。
当時の公立小学校は、そういう経験がかなりハードに積めた場所だったのかもしれないですね。
スマートで賢いタイプというより、「悪路でも走れる4WD」みたいな感じ。
大学に行って留学して起業して有名になっても、僕から見たらずっと変わっていない。誰に対しても分け隔てがなくて、今も大企業の社長だろうがホームレスだろうが、同じクラスメイトのようにしゃべっている。
「異物がある」という前提は、生きる力を養う上で結構大切なのではないかと思います。
ひろゆき:それはあなたもじゃないの? IT関連の仕事をしたり、ファッションやイベントの仕事をしたり、いろいろなことをしていてコミュ力も高いから、声をかければ僕なんかより人が集まる。
ただ振り返れば、当時の公立小中学校ではなんの過不足も感じず、のびのびと良い時代を過ごせたなと思っています。
偏差値を上げるとか、偉くなるとかいうことでなく、ただただいろいろな人間が混ざり合って、ひろゆきみたいな変な生きものが生まれることもあれば、僕みたいなまともな人間が生まれることもあるという(笑)。
そういう世界を生きられたことは良かったと思います。
ひろゆき:じゃあ最後もたかしさんにまとめていただければ。
たかし:う〜ん、やっぱり「雑草力」みたいなことじゃないですか。整えられた花壇ではなく、凸凹道に落ちたとしても、自力で根をはってどんどん育っていける……。
『こどもひろゆき』を読んでいただけたら、「ひろゆきは、こういう世界で生きてきたんだ」というのが少しは伝わって、「偏差値エリート教育」だけじゃなくてもいいか、と思ってもらえたら僕も嬉しいですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひろゆき氏の最強メンタルや「生きる力」の原点に触れられるコミック『こどもひろゆき』を読めば、「偏差値エリート教育だけがすべてじゃないかも」と、少し肩の荷が下りるかもしれません。
二人のリアルな掛け合いが詰まった本作から、これからの時代をタフに生き抜くヒントを見つけてみてください 。
発売日:2026年7月8日
定価:792円(税込)










































小川 聖子
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。