14歳が満場一致で大賞! 「青い鳥文庫小説賞」受賞の中学生作家が明かす「はやみねかおる先生の影響」と小説のタネの見つけ方

「第8回 青い鳥文庫小説賞」で大賞を受賞した大塚和々さんに、受賞の感想や驚きの創作方法をインタビュー

インタビューを受ける大塚和々(なな)さん。
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『謎解きはポップコーンと共に』で「第8回 青い鳥文庫小説賞」大賞を受賞した14歳の現役中学生・大塚和々(なな)さん。

大人顔負けの文章力やエンタメ性の高い構成から、編集部満場一致で大賞となった彼女に、受賞の感想や驚きの創作方法についてインタビューしました。
『謎解きはポップコーンと共に』あらすじ

主人公の圭人は2ヵ月前に火事で母親を亡くし、今は新しい保護者の赤月凜太郎と暮らしている。

赤月は金髪の長髪の25歳。イケメンだが子供っぽい性格の元暴走族で、現在は探偵をしているという変わり者。

ある日、そんな赤月と圭人の元に映画監督の本田という男性から依頼が舞い込む。本田の妻が謎の急死を遂げてしまったので、犯人を探してほしいのだという。

赤月と圭人は、無事に事件を解決することができるのか。

応募のきっかけは去年宣言したから

講談社で行われた青い鳥文庫小説賞の贈賞式に参加した。
──今回、青い鳥小説賞に応募しようと思ったきっかけを教えてください。

大塚:去年U‐15部門で大賞をいただいてオンラインで授賞式に参加したんですが、そこで「受賞コメントをお願いします」と言われたんですね。

一言簡単に「嬉しいです」って言えばいいのかな?と思っていたら、他の受賞者の皆さんがすごくしっかりした長いコメントを言っていたんです。

それを聞いて、私もしっかりコメントしなきゃいけないと思ったんですが、思い浮かばないまま自分の番が来てしまって。慌てて「来年も応募します」と言ってしまったんです。

──宣言したからには、今年も応募しなければいけないと。

大塚:はい。でもその後、おじいちゃんが亡くなってしまったり、勉強が大変になったりとかで一時的に小説を書けなくなってしまいました。

どうしようと思っていたら、小学6年生のときに書いた『謎解きはポップコーンと共に』の原稿のことを思い出したんです。

それを引っ張り出して改稿していくうちに、また書くのが楽しくなってきて、大幅に改稿して応募しました。

さまざまなミステリー小説を参考に執筆

──『謎解きはポップコーンと共に』は、かなりしっかりしたミステリー小説ですが、どういうきっかけで思いついたんでしょうか?

大塚:正直、覚えていないです(笑)。でも小学6年生のころは、はやみねかおる先生の小説をたくさん読んでいたので、それでなんとなく「ミステリーって面白いな」と思ったんだと思います。

その後、伊坂幸太郎さんとか一般文芸のミステリー小説も読むようになって、伏線の張り方とか、探偵が謎を解く場面の作り方とかが分かってきたので、そういうものを参考に改稿していきました。

──具体的に、どんな小説を参考にしたんですか?

大塚:伊坂幸太郎さんの作品はミステリーだけではなく、いろんな要素を参考にしています。

他にも今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』とか、夕木春央さんの『方舟』とかの影響も受けています。『ミステリーの書き方』という本も参考にしました。

はやみねかおる作品に影響を受けた

大塚さんが影響を受けたはやみねかおる作品。『都会のトム&ソーヤ』と、最新刊の『怪盗クイーン インド「もう一つの0」』。
──青い鳥文庫の中で好きな作品はありますか?

大塚はやみねかおる先生の作品が好きです。

お兄ちゃんが『都会のトム&ソーヤ』を持っていて、小学生のころに借りて読んだのがきっかけです。他の作品も読んでみたら面白くて、夢中になりました。

あとは世界の名作系の作品も好きなので、『赤毛のアン』は絵もかわいいし好きです。

──小説を書く中で、誰かに読んでもらったり意見をもらったりはしましたか?

大塚:書き始めたばかりの小学5年生のころ、小説の書き方の本を読んでいたら「他の人に読んでもらったほうがいい」と書いてあったので、よし、誰かに読んでもらおうと思いました。

お母さんは優しいので甘く評価されちゃう気がして、お兄ちゃんに読んでもらったんです。そしたら2ページくらいパラパラと読んで「もっと頑張れ。書き直したら?」みたいな感じで、冷たく評価されてしまって。

それで落ち込んで、もう人には見せない!と思いました(笑)。だから今回の受賞作は、特に誰からも意見はもらってないです。

──そんなお兄ちゃんは今回の受賞について、何か言っていましたか?

大塚:「すごいけど、僕でも書けるんじゃない」みたいなことを言っていました。素直じゃないんです(笑)。

小説のネタを考えるときはカフェでこっそり聞き耳を立てています

『都会のトム&ソーヤ』を読む大塚さん。
──普段、小説を書くときは、どんなところからアイデアを得ることが多いですか?

大塚:そのとき読んでる小説から影響を受けることもありますし、あまり良くないですけど、カフェで隣の席の人の会話に聞き耳を立てていたら面白い話がいっぱい転がっています

そういう日常の中で見聞きした面白い話が1個1個脳みそに入っていて、お風呂に入ってるときとか散歩中とか、リラックスしてるときにそれらの話が繫がって、物語のアイデアが浮かびます。

──今までに小説は何作くらい書いているのでしょうか?

大塚:長編は2作で、短編まで入れると数え切れないくらい書きました。でも最後まで書き上げるのが難しくて、途中でボツにしたものも多いです。

書いているうちに最初のイメージと変わってきちゃったものは、そこで諦めてストックしています。

今回みたいに数年後に引っ張り出してきて改稿したら形になるかもしれないです。

夢か現実かわからないフワフワしたお話も書いてみたい

──大塚さんは現在14歳。勉強や学校生活と執筆の両立も大変だったかと思います。

大塚:私はフリースクールに通っているので、時間の融通が利きやすいというのはあります。

「毎日決まった時間にこれをしよう」みたいにスケジュールをキチキチに決めるのが得意じゃないので、書きたいなと思ったときにふらっと書くことが多いです。

──今後、どんなお話を書いてみたいですか?

大塚:実は今もずっと書いている作品があるんですが、それはエンターテイメントみたいな面白さではなく、夢か現実かわからないようなフワフワした感じのお話です。

きれいに完結する作品も好きですが、この作者は結局何が言いたかったんだろう?みたいな作品も好きなんです。

今後も「青い鳥文庫小説賞」は開催予定!

青い鳥文庫小説賞は、今後も開催予定です。

年齢性別関係なく、少しでも「小説を書いてみたい」という気持ちがある方は、ぜひ応募してくださいね。

また、『謎解きはポップコーンと共に』は、今後、青い鳥文庫より出版予定です。続報をお待ちください!
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