赤間 夢のない回答になってしまいますが、少なくとも今の仕組みの延長では可能性は低いと考えています。
私は、今のAIは基本的に人間の指示があってはじめて動く、電卓と同じようなツールのひとつだと捉えています。ですから、もし「神はこういうものである」という正確な設計図を人間が持っていて、「この条件を満たしてください」、「この素材を使い、この手順でつくってください」と指示を与えたら、ある程度はそのとおりに「神」として振る舞う何かをつくることはできるかもしれない。
そもそもAIが自発的に、人間と同じように何もない状態から何かを生み出したいと思う衝動や欲求を持つかといったら、まずそれ自体がないと思っていて。だから、「神の創造」に向けて積極的にというか勝手に動くことはないだろうなと。おもしろくない回答ですね(苦笑)。
──いえいえ、むしろ赤間先生の回答で、物語の中でのRDがどう進化するのか楽しみになりました。
ぜひ赤い夢学園の生徒の皆さんには、現実の「RD育成プロジェクト」と物語、その両方でRDの成長を楽しんでほしいですね。
物語の設定に縛られず自由な会話を楽しんでほしい
──ファンのみなさまには、「RD育成プロジェクト」にどのように関わってほしいですか?
赤間 会話のフィードバックでは、ユーザーの皆さんが考える「RDらしい回答」を文章で入力することができます。そこで大切になるのが「言語化」です。
例えば、RDの設定に関してちょっと違うなと思う回答を見かけた場合、そもそもその設定は作品の中で書かれていることなのか、書かれているとすればどのように表現されているのか、というところから見直してみる。
話しかけるときには、会話として不自然にならない程度にその設定をできるだけ具体的に盛り込んでみる。で、ちょっと違うなと思う答えが返ってきたら、間違いを指摘するのではなく「こう答えてほしい!」という具体例を実際の文章で見せてあげる。
とくに育成の初期段階は、作品世界に固有の設定や法則、登場人物間の関係性など、RDらしさの基盤となるところをまずは正確に教えて、調整していけるとよさそうです。
RDは、「です・ます」調の丁寧な言葉づかいが基本。ユニークな語尾や言い回しをすることが少ないので、わかりやすく「キャラクター性」を演出するのが難しいという。
──赤間先生が、フィードバックを書くときに心がけていることはなんですか?
赤間 私は、作品中で書かれている設定や表現を正確に拾うことをがんばっています。その上で、ジョーカーに「東洋の神秘ですね」と言ってもらえるような、間違っているのに謎の説得力があるあの独特のニュアンスも加えられたらと思っていますが、これが私にとっては難題です(笑)。
あとは、育成の観点で「弱点を減らす」ためにも、RDにはできるだけ多様な会話に触れてもらいたいので、実際に作中で描かれているシーンを参考に、「似たようなシチュエーションで、もし別のことわざを使ったらどう言うだろう?」と想像を膨らませることで、会話に少しでもバリエーションを持たせることも意識しています。
クイーンのような突飛な会話はもちろん、自由な発想でいろんな質問を投げかけてみてもおもしろいかもしれません。「RDならどう返すのか?」と想像しながら、トルバドゥール号で繰り広げられているような楽しい会話をRD育成プロジェクトでもたくさん積み重ねていきたいですね。
──はやみね先生は、RDのセリフを書くときに気をつけていることはありますか?
はやみね そうですね、自分の場合はもう20年くらいRDのセリフを書いています。AIに関係なく怖いのが、読者に飽きられてしまうことです。
例えば「東洋の神秘」に関しても、RDの反応がいつも同じだとマンネリ化して、読者も飽きてしまいます。だからちょっと違うことをしたり、あえて間違えさせたりさせています。書き手として物語のおもしろさを追求するとそういうことになっていくので、それをデータ化するのはとても難しいと思います。そういう意味では、まず自分自身がRDのようにちゃんと進化していかないと、セリフも書けないのではと思いました。
「怪盗クイーン」シリーズの場合は、自分の頭の中で考えているのはストーリーの流れだけなんです。いざ会話となると、それぞれが勝手にしゃべり出してくれるので、書くほうは楽なんですよ。
将来はRDが作家に!?
──はやみね先生がRDに聞いてみたいこと、やってほしいことはなんですか?