「RD育成プロジェクトはAIとのコミュニケーション方法を学ぶ最適な場」赤間怜奈(AI研究者)× はやみねかおる対談3

「RD育成プロジェクトはAIとのコミュニケーション方法を学ぶ最適な場」赤間怜奈(AI研究者)× はやみねかおる対談3

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はやみね 興味があるのは「どんなふうに活躍したい?」ですね。RD自身の究極の目的は「歌って踊れる」ことなので、その夢に向かってどんなことをしているのか、きいてみたいなと思います。あと自分が本当にRDにやってほしいのは、もうそろそろ、はやみねの代わりに1本原稿を書いてもいいんちゃう? ってことですね(笑)

──将来的には、できるようになりますか?

赤間 ……難しいですね。はやみね先生がふだん書かれている、自立するほど厚い本を書くこと自体は現行の技術でも可能です。書くだけなら、ページを埋めるだけなら、です。それが、はやみね先生のファンにとって「次が読みたい」と思えるほど魅力的か、はやみね先生の代わりといえるほどのクオリティかと言うと、少なくとも今の段階ではそこまでではない。

上手いこと指示を出せばもしかしたら……という可能性は完全にゼロではないですが、はやみね作品らしいおもしろさというものを明確に定義できないことには指示の出しようもないので、やはりそれも難しそうです。
RD育成プロジェクトのチャット画面
創作活動に対するRDの回答がこちら。当然ですが、はやみね先生は唯一無二の存在なんですね!
──「RD育成プロジェクト」で初めて生成AIに触れるという方もいると思います。赤間先生との対談を通じて、はやみね先生ご自身はAIへの理解が深まったと感じますか?

はやみね ちょっと恥ずかしい話ですが「ChatGPT」が出始めたときに、自分は「ちょっと(Chat)ご飯(G)とパン(P)を食べよ(T)」って頭の中に入れて、やっと「ChatGPT」ということばが覚えられたっていうようなくらいで。

AIが感情を持つ、持たないはよくわかりませんが、自分の頭の中で線引きをしておかなくてはならないのは、AIが人間にとって「感情的である」と受け取られるようなことばを生成するのは、単なる電気信号の表れであると思うようにしています。そうではないと、怖い話で終わってしまいそうな予感がするんです。自分の勘なんですけど。

逆に赤間先生のお話を聞いて、人工知能の成長には夢があるとも思いました。おもしろい話が書けない理由が、「おもしろさ」の定義づけができないということがわかったので、おもしろさの定義をきちんと人工知能に与えたら、ひょっとすると、ものすごくおもしろい物語を書いてくれるんちゃうかと、思ったわけです。

例えば『ハリー・ポッター』のおもしろさはこういうものだよと人工知能に具体的に教えていけば、はやみねの本を1冊くらいRDが書くんとちゃうかなって期待しておりますので、赤間先生、申し訳ないんですけれど早いところ研究をがんばってください(笑)。

赤間 がんばります(笑)。

ファンのみなさんと一緒にがんばりたい

──「RD育成プロジェクト」の参加者へ「こんなふうに遊んでほしい」というメッセージをお願いします。

赤間 「RD育成プロジェクト」を通して、現行のAI技術の頼もしさを少しでも体感してもらえたら嬉しいです。この技術で、あの賢くてかわいらしい世界一の人工知能にどこまで近づけるのか。プロジェクト参加者のみなさまと一緒に、とにかく全力で再現に挑みたいと思っています。

挑戦の鍵を握るのはフィードバックによる調整です。ひとりで思い浮かべる「RDらしさ」には限界がありました。だからこそ、多様なファンの方々がたくさん会話をして、たくさんフィードバックをしてくださることに大きな期待を寄せています。日々刻々と成長したりしなかったりするプロトタイプ氏との会話を楽しみつつ、ぜひ一緒にがんばりましょう。よろしくお願いします。

はやみね 例えば「クイーンはいつもソファでゴロゴロしているけれど、自分では働き者だと思っているんだ。RD、そこらへんはどう?」っていう感じで、まず読者が思っている『怪盗クイーン』の世界観をRDに伝えてから、それを判断してもらって答えを聞くっていうことをしていくと、「そうか読者はこんなふうに思ってるのか」というデータも、たくさん集まっておもしろいかなと思います。

やっぱり読者がきくときに、自分は最初「この設定はどうなの?」という感じできくようなやり方も、やってほしいなって思います。
──ありがとうございました!

開発チーム直伝! RDを成長させるフィードバックのコツ

「それは違う」「間違っている」という返答はNG

RDは成長中なので、設定を間違えることや、質問の答えになっていない内容を返すことがあります。そのときに「それは違う」、「間違っている」と指摘するような返事は、実はAIにとってはNGです。理由は、否定表現が多いと、AIが情報を処理するときに混乱してしまうからです。

次のことばで、わかりやすいのはどちらでしょうか? いっしょに考えてみましょう。

(A)倉木博士は男性ではありません。
(B)倉木博士は女性です。

人間が(A)の文章を正しく理解するには、2段階のプロセスが必要です。
①    男性の倉木博士を思い浮かべる
②    それを「ない」と打ち消す

でも(B)は答えが明確に書かれているので、考えなくても理解できますよね。

人間の脳も、否定文を処理するときは、肯定文を処理するよりも時間がかかることがわかっています。AIも同じように、否定文の処理するには複雑な計算が必要で、それが誤解や間違いの元になってしまうのです。

だからRDとチャットをするときは、ポジティブシンキング! 正解をズバッと明解に教えることで、どんどん賢くなっていきます。

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