『機巧館のかぞえ唄 名探偵夢水清志郎事件ノート』著:はやみね かおる、 絵:村田四郎
〈2026年11月の課題図書〉『機巧館のかぞえ唄 名探偵夢水清志郎事件ノート』を11月1日正午から公開します
原則毎月一冊、はやみね校長が自分の作品の中からセレクトしてお届けする「課題図書」。有料会員になると、一冊丸ごと閲覧することができます。
11月は『機巧館(からくりやかた)のかぞえ唄 名探偵夢水清志郎事件ノート』を公開します。
《あらすじ》
機巧館でひらかれたパーティーのとちゅうで、老推理作家が消えた。そして、作家が消えるまえにつぶやいた呪文のようなかぞえ唄どおりにつぎつぎと事件がおこり、亜衣の身にも危険がせまる……。
読者をあっといわせる結末が待つ「夢の中の失楽」をはじめ、こわい(?)話から赤ちゃん騒動まで、ボリューム満点!
《みどころ》
「夢水清志郎」シリーズで殺人事件!?
「夢水清志郎」シリーズ作品は児童書ということもあり、殺人シーンは登場しません。
もちろん、名探偵として殺人事件を紐解くシーンはありますが、過去に起きたものです。ところが、本書では老ミステリー作家が殺されるという、衝撃的な事件が起きます。
いったいどういうことなのか?
キーワードは「赤い夢」。次で詳しく説明しましょう。
「赤い夢とはなにか?」を体験させてくれる巧みな構成
公式ファンクラブの名前にも入っている「赤い夢」。では「赤い夢」とはなんでしょうか? その答えが、本書にあります。
第Ⅰ部「怪談」は、真衣と美衣の語りがちょっとヘタクソなのに加え、亜衣の心のツッコミがおもしろくて、途中まではまったく怖くありません。しかし、最後の4行でゾッとさせられます。
「なぜ、タイトルにある機巧館に関係のない怪談話から始まるんだろう、まあいいか」なんて思いながらページをめくると、「あれ、なんか変なところに中表紙があるな」と戸惑います。
勝手に新しい章が始まるからかな、と思いながら読んでいくと……途中から、実際に起きたことと誰かの空想(または創作)なのか、ごっちゃになってわからなくなります。
きっと読んだ先に答えがあるだろうと思って、とりあえず読み進めていくと、最後の最後にケムにまかれた気分になって、「もう1回最初から!」と読み直したくなります。そして、一度本を閉じて改めて表紙カバーのイラストを眺めながら、「そういうことだったか!」と一部は納得できますが、「じゃああれはどうだったんだろう?」と次から次へと気になるところがいっぱい出てきます。
そんなふうに、最後まで読んで初めて「これこそが赤い夢なんだ」と実感する「構造的な仕掛け」は、まさに本格ミステリー! 子どものころに読んだきりの人は、歳を重ねた今読み直すと、当時気づかなかったことに気づくかもしれません。
ぜひ「赤い夢」を自分自身で体験してほしい、そんな一冊です。
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