野生のコーカサスを手にしたあの喜びは何にも代えがたいものがあります。
・気温上昇と乾燥化
・ジャングルの農地化
という二重苦に襲われています。
農地化はけっして現地だけの問題ではありません。日本などに出荷する園芸植物もたくさんあります。園芸植物を育てるために、ジャングルを切り開いて、電照栽培を行っている様子は、異様に感じる光景でした。
生育地が奪われているのは、コーカサスオオカブトだけではありません。日本のベニヒカゲ同様、世界の人気蝶も、危機に襲われています。それがこの写真の場所に存在する蝶です。
ヨーロッパ/“天使のチョウ”アポロウスバシロチョウ──山頂に追い詰められる美しい命
温暖化で山が暑くなると、彼らは上へ上へと逃げるしかありません。しかし山頂にはもう逃げ場がありません。さらに冬が暖かくなることで、
・卵が早く孵化
・その後の寒の戻りで食草が枯れる
・幼虫が食べられず弱って死ぬ
という悪循環が起きています。標高1000〜2000mほどの高地に暮らすアポロウスバシロチョウは今後、どんどん生息地が追い込まれていく可能性が懸念されています。
チョウは地球環境の異変をとても分かりやすく教えてくれる存在です。
ところでこの草原がどこかわかりますか? 北極圏です。北極のような極地に、昆虫はいるのでしょうか?
北極圏/北極にもいる昆虫が暑さに敗れる?
しかし北極は今、地球で最も速いペースで温暖化が進む地域になっています。北極にいる昆虫たちは長い時間をかけて、北極という環境で生存できるよう、自分たちを最適化してきました。
しかしその生存戦略が、昆虫たちを追い詰めています。
・幼虫が育つ水温が高すぎる
・湿地が干上がる
・捕食者とのバランスが崩れる
北極が暑い──それは昆虫にとって“生存条件の崩壊”を意味します。 将来的にも地球温暖化が進んでしまうと、従来の北極を好むような昆虫は減ってしまうかもしれません。
昆虫たちは、生存するために、工夫をこらして、世代をつなぎます。その工夫が温暖化によって、破壊されつつある昆虫は、ほかにもいます。それが3000kmをも旅するオオカバマダラです。
北アメリカ/オオカバマダラ──3000kmの旅ができなくなる日
しかし今、
・越冬地の森林減少
・温暖化によるトウワタの発芽時期のずれ
・気温上昇で越冬範囲が狭まる
・温暖化で増えた寄生虫が幼虫を大量に捕食
・渡りの途中を台風などの異常気象が襲う(※「わたりの途中」から「渡りの途中」に校閲)
という複合危機に直面しています。オオカバマダラの集団越冬は古くより、北米の昆虫を語る上で、重要な光景として親しまれてきました。その光景がいつか見られなくなってしまうのかもしれないと思うと、危機感を覚えます。
日本だけでなく世界中でも昆虫たちが、温暖化の影響に直面しています。
本当にそうなのでしょうか?
第3回では、昆虫の減少が、わたしたちの生存を脅かす可能性について、深掘りします!
〈第3回へつづきます〉
【著者プロフィール】
牧田 習(まきた しゅう) 昆虫ハンター。農学博士。1996年、兵庫県生まれ。オスカープロモーション所属。2015年、北海道大学理学部卒業、2025年3月東京大学大学院農学生命科学研究科同大学院博士課程を修了。昆虫ハンターとして、世界15ヵ国を巡り、NHK『ダーウィンが来た!』などテレビ出演のほか、連載執筆、イベント登壇など幅広く活動中! 甲虫類などの新種を9種発見。最新情報は牧田習のインスタグラム・Xをチェック! (アカウントはともにshu1014my)
【連動企画:地球温暖化のことがわかる科学絵本】
発売日:2026年2月24日
定価:1870円(税込)
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