はやみねかおるが語る「怪盗クイーン」の過去・現在・未来! 『怪盗クイーン ヴェネチア・カーニヴァル』制作秘話

はやみねかおるが語る「怪盗クイーン」の過去・現在・未来! 『怪盗クイーン ヴェネチア・カーニヴァル』制作秘話

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「夢」というと、映像で観るものを思い浮かべるかもしれませんが、私が見る夢は「文章」で、ビジュアルがありません。例えば「京風の石狩鍋」というワケのわからない料理は、「京風の石狩鍋」という文字が出てくるので、そのまま小説に書いています。

クイーンも同じで、「国籍不明」「性別不明」などの情報が書かれた身上書のようなものが出てきて、「わたしはこういう人間だ。わたしを作品に出してくれ」と伝えられる夢でした。そして、文章を書いていくうちに性格や背景がわかってくる。それがクイーンの誕生の瞬間でした。
クイーン。性別、年齢、国籍などはすべて不明。 イラスト:K2商会
クイーン。性別、年齢、国籍などはすべて不明。 イラスト:K2商会
──情報があるのかないのかわからないところも、クイーンらしいですね。夢水清志郎の場合はどうでしたか?

夢水清志郎の場合は、身長何センチなど、もう少し情報が細かかったです。夢の中で「草刈正雄を栄養失調にしたような顔」という文章が出てきましたので、そのまま作品に採用しています。

その段階で、「午前零時のシンデレラ事件」(※勇嶺薫『午前零時のシンデレラ』に登場する事件。雑誌『メフィスト』2008年9月号の企画「0番目の事件簿」に掲載された、夢水清志郎を主人公にした最初の原稿)、「神隠島(かみかくしま)事件」と、『ディリュージョン社の提供でお送りします』で書いた「山荘殺人事件」というタイトルも浮かんでいました。

──「神隠島」は、夢水清志郎と同時に存在していたんですね。驚きました。

そうなんです。「これだけの事件を解決したぼくが、名探偵なんだよ」という売りこみでした。片目の視力や吸っているタバコの銘柄はハイライトなど、全部データとして出てきたんですね。
夢水清志郎。とても背が高く、いつも黒いサングラスに黒い背広という出で立ち。 イラスト:村田四郎
夢水清志郎。とても背が高く、いつも黒いサングラスに黒い背広という出で立ち。 イラスト:村田四郎
──ちなみに真野萌奈美の場合はどうでしたか?

萌奈美の場合は、たった一行で「やっと気がついたね」でした。担当者さんとプロットの打ち合わせをする予定だったのに、当日間際になってもまったくなにも思い浮かばなくて、待ち合わせの喫茶店があるビルの下で考えながら「もうだめだ」と思ったら、やっと出てきたんです。そこで慌ててプロットを書いて、待ち合わせ場所に向かい、OKをもらったんです。喫茶店に、パブロ・ピカソの「ゲルニカ」が飾ってあったことをよく覚えています。

名探偵と怪盗は表裏一体……クイーン誕生の裏話

──クイーンの初登場作は『いつも心に好奇心! 名探偵夢水清志郎VSパソコン通信探偵団』(2000年9月25日発売)ですが、その前に『魔女の隠れ里 名探偵夢水清志郎事件ノート』の犯人役になる予定が、強烈な性格からボツになったと『魔女の隠れ里 名探偵夢水清志郎事件ノート』のあとがきに書かれています。

後書きにそんなことを書いたこと自体を忘れてしまったのですが、ボツの理由はクイーンにミステリーが向いていないからですね。派手なことをやったら、絶対に「私がやったんだよ」と言わずにはいられませんから(笑)。
クイーンが犯人になったかも!?
『魔女の隠れ里 名探偵夢水清志郎事件ノート』
書影『魔女の隠れ里 名探偵夢水清志郎事件ノート』(著:はやみね かおる   絵:村田 四郎) 
『魔女の隠れ里 名探偵夢水清志郎事件ノート』(著:はやみね かおる   絵:村田 四郎)
──名探偵と怪盗は対になる存在ですが、夢水清志郎とクイーンも当初から対になるキャラクターだったのですか?

子どもたちに向けて名探偵の話を書くのなら、「怪人二十面相」のような怪盗が必要だとどこかで思っていたから、クイーンが出てきたのかなと思います。クイーンは、本人が「とにかく美しい!」とアピールしてきたので、本人が言っていることを小説に書いて、あとはK2先生の美的センスにお任せでした。本当に美しい挿絵を描いてくださって、感謝しています。
はやみねさんのAI活用とRDの未来とは?
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