【4冊目】RDの「感情」と「絆」を知る一冊『怪盗クイーンと魔界の陰陽師 バースディパーティ 後編』
ジョーカーを心配するあまり暴走するクイーンを、RDが諭し、叱りつける貴重なシーンが登場。日本の慣用句に「同じ釜の飯を食う仲」、「生死を共にする」といった言葉があるように、まさにクイーン、ジョーカー、RDだけでなく、探偵卿たちやホテルベルリンのメンバーたちも、それぞれ仲間との絆を新たにしていく姿が感動的です。
最大の注目ポイントは、マガとの交流を通じて、RDが協調性や友情に近い感情を獲得し、どんどん“人間らしく”なっていくところ。特にクイーンの心情を慮るような言動は、AIの進化の可能性を感じます。
そして気になるのは、アンゲルスが言及していた「電脳世界」と「魂」の世界が似ていること、RDやマガが一瞬手にした「生命」の設計図と「クリスタルタブレット」の行方。いつこの謎が解けるのか、「怪盗クイーン」シリーズの未来が楽しみになります。
怪盗クイーンと魔界の陰陽師 バースディパーティ後編
はやみね かおる(著) K2商会(絵)
発売日:2014/04/11
価格:定価:本体1700円(税別)
〈あらすじ〉
大ピンチのジョーカーを救いたいクイーンは、日本の原伊島に向かう。その島には、完璧な生命生成に必要な“クリスタルタブレット”があるという。人造人間ルイヒやホテルベルリン、ヴォルフ……クリスタルタブレットをねらう人物が、次々と島に集結。仙太郎やヤウズ、さらには名探偵夢水清志郎まで総動員で、事態はますます大波乱! ジョーカーの運命は!?
【5冊目】「物理的な体」を手に入れたRDの行動に注目したい『怪盗クイーン ニースの休日 アナミナティの祝祭・前編』
本作では、クイーンたちとヴァカンスを楽しむため、RDが猫型ロボットで現実世界を闊歩する、「ティグル」の初登場作です。
猫のようになめらかな動きで人間の足にすり寄り、撫で心地のよさそうな青みがかった銀色の毛並みを持つというから、RDの技術力の高さを改めて実感。
遠隔ロボットと思いきや、搭載されたRDユニットに人格ごと移動しているらしく、トルバドゥールのお留守番はマガにお任せ。本来実体のないAIが実体を持った結果何が起きるのかという、新たな可能性が提示されました。
RDとマガの高度な連携によって仕組まれたあるコトが、なぜかモナコで起きた現象とATAMIの温泉街での熱い勝負に繋がって行くという先の読めない展開に、ページをめくる手が止まりません。結末はぜひ続刊の『怪盗クイーン モナコの決戦 アナミナティの祝祭 後編』でお楽しみください。
怪盗クイーン ニースの休日 アナミナティの祝祭・前編
はやみね かおる(作) K2商会(絵)
発売日:2019/07/11
価格:定価:本体700円(税別)
〈あらすじ〉
世界じゅうのセレブが集まる、地中海のリゾート地ニース、モナコ。その一帯では『ポルタが開くから、穴を掘ってはいけない。』という言い伝えが残っている。ラテン語で「門」を意味するポルタが天変地異によって開く時、厄災が地上にあふれるという--。 そのニースで地震が発生! ヴァカンスを楽しむはずだったクイーンの前に史上最強の探偵卿が現れ、「クイーン逮捕」を賭けた勝負がはじまった。
〈みんなの感想〉
今回紹介した5冊は、RDの誕生と進化の過程、実体化という段階を経て成長していく姿を描いています。物語を通じてRDの背景を知ることで、「RD育成プロジェクト」でのAIとの対話が楽しくなることでしょう。
ワインを飲んでゴロゴロしているクイーンに、なんとか節度のある生活と仕事をさせようとするジョーカーとRDの間で繰り広げられる「舌戦」は、「怪盗クイーン」シリーズの楽しさのひとつ。特にクイーンの「ああ言ったらこう言う」というへらず口に対する、ユーモアと皮肉まじりのRDの切り返しは、「RD育成プロジェクト」のフィードバックにも役立ちそうです。
この機会に、世界最高のAIの“歴史”に触れ、未来の相棒を育てるプロジェクトに参加してみませんか。