怪獣がいない世界にゴモラが現れた!?
「怪獣殿下 前・後篇」は唯一の前後編である第26話・第27話という、中盤も過ぎた時期の作品ですが、なんとこのエピソードには「怪獣殿下こと、怪獣好きのオサム少年に級友が『怪獣がいるなんて、信じている奴いるもんか』と馬鹿にされる」シーンがあるのです。
つまりこのエピソードの世界線では、怪獣が出現するというのはテレビの中だけで起こっていることのようなのです。そんな世界に現れたゴモラと科学特捜隊は、この世界を「怪獣のいる世界」に、グイグイと変えていきます。
もちろんこの後、ゴモラの登場によってオサムの立場はクラスのヒーローへと逆転し、さらにハヤタ隊員がウルトラマンに変身するのに必須のベーターカプセルを本人に届けて、そのお礼として流星バッジをもらうという、怪獣少年にとっては夢のような出来事に遭遇します。
そしてもちろんウルトラマンの活躍によってゴモラは倒され、怪獣殿下は大好きな怪獣の、そしてウルトラマンの絵を描き続けているのでした。
このエピソードは視聴者である子どもたちに、怪獣を好きだと言っても理解してくれない大人たちばかりのこの世界だって、怪獣やウルトラマンのいる世界と隣り合っているんだ、と思わせてくれたのかもしれません。
科学特捜隊のスカイドン退治大作戦!?
科学特捜隊の攻撃もはねのける硬い皮膚を持つスカイドンに対して、科学特捜隊は退治するのではなく宇宙に排除する方向で作戦を次々と立案・実行します。
第1の作戦は、ワイヤーロック作戦。3機のジェットビートルにつないだワイヤーをスカイドンにロックし、吊り上げて宇宙まで運ぼうという作戦でした。しかし、同じく3機でゴモラを運んだことのあるジェットビートルといえども、10倍の重量があるスカイドンでは宙に浮かせることもままならず、ワイヤーを外して失敗となったのでした。
第2の作戦は、オートジャイロ作戦。パワーが足りないなら、20万トンの重さでも飛ばすことに特化した巨大なプロペラが回るオートジャイロを、麻酔薬で眠らせたスカイドンに装着したのです。しかし残念ながら、オートジャイロが宇宙に到達する前に推進力が失われてしまい、スカイドンはまたまた地上に。
第3の作戦は、ロケット弾作戦。かつて汐吹き怪獣ガマクジラを同様の方法で上空に飛ばしましたが、より大型のロケット弾でも上半身しか持ち上がらず、スカイドンは後ろ足でヨタヨタと立ち上がったかと思うと、なんと科学特捜隊めがけて走り出してしまいます。
そして最後の作戦が、怪獣風船化作戦。スカイドンのお尻の穴から水素を注入してスカイドン自体を風船のようにして、宇宙まで飛ばしてしまおうという作戦は、成功したかに見えました。しかし事情を知らない航空自衛隊の戦闘機の発砲によって水素が漏れたスカイドンは地上へ落下を始めます。
それを知ったウルトラマンが空中体当たりを敢行し、みごとスカイドンは倒されるのでした。
全編コメディタッチで展開される、科学特捜隊とスカイドンのドタバタ劇は、キャラクターを貶めるようなことをしなくても『ウルトラマン』と「笑い」の相性が良いことを教えてくれたのでした。
戦わない怪獣、ガヴァドン!?
子どもたちによるガヴァドン強化プラン(といっても、落書きを描き足すだけなのですが)で強そうになったガヴァドンですがやはりおとなしく、やむにやまれず現れたウルトラマンも子どもたちの「殺さないで」と懇願する声を受け、ガヴァドンを持ち上げて、そのまま宇宙へと運んでいきました。
ガヴァドンがいなくなって涙ぐむ子どもたちにウルトラマンは、「毎年7月7日の七夕の夜、きっとガヴァドンに会えるようにしよう、この星空の中で」と、せめてものメッセージを残すのです。
戦おうとしなかった怪獣にはほかにも、亡霊怪獣シーボーズがいますが、シーボーズが登場する第35話「怪獣墓場」のエピソードでハヤタ(=ウルトラマン)は、これまで倒した怪獣たちに「許してくれ。地球の平和のため、やむなくお前たちと戦ったのだ。オレを許してくれ」とつぶやきます。
怪獣と戦い、そして倒すことについて疑問を持ち続けるという姿勢は、その後のウルトラマンシリーズにも着実に受け継がれています。放送中の『ウルトラマンテオ』でも中心的なテーマとして語られていますので、そのあたりも気にしてご覧いただければと思います。
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テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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