著:はやみね かおる
校長からひとこと
完璧なプロットを書き上げ、担当編集者さんにOKをもらい、いざ書き始めると「でも、この謎解き、編集者さん知ってるんだよな……。プロット通り書いても、驚かないよな」と思えてしまうのです。で、プロットの結末とは違う物語を書いてしまう。その苦労は、並大抵ではありません。でも、やってしまうんですよね……。直近で書き上げた原稿も、プロットとは違うトリックを放り込みました。まったく難儀な性格です。あと、本書にはあの森永美月が登場します。内人同様、作者の思い通り動きません。ラスト近くで大暴れし始めたときには、正直頭を抱えました。
物語を現実世界で体験できる新しいエンターテインメント「メタブック」を提供する会社――ディリュージョン社で働く新人エディターの森永美月と、天才作家と名高い手塚和志。突如舞い込んだ「不可能犯罪小説を体験したい」という厄介な依頼に、完璧な台本と舞台を用意する二人。しかし怪しい手紙や殺意ある事件、と不測の事態が続き……。リアル殺人鬼が登場人物の中にいる!?
発売日 | 2017/04/20 |
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価格 | 定価:円(本体720円) |
ISBN-13 | 9784062940696 |
判型 | A6 |
ページ数 | 304 |
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美琴 @Z5HHR
美琴 @Z5HHR
【この投稿はネタバレを含みます】
続きを見る森永美月が主人公ってことは、もうそういうことじゃん!?と最初から興奮しまくりでした。 書籍の世界を現実世界で体験できるメタブックを提供する、物語を具現化してくれるだなんて、とても魅力的です。私だったらやっぱりファンタジーかなぁとか想像が膨らみます。 物語内での不可能犯罪と現実での事件が交錯していることによって、夢が現実世界に染み出してきたかのような感覚に私もゾクゾクしました。推理小説好きだから謎が解けるわけではなく、本を読まない美月がミステリーのお約束を知らないことで真犯人に辿り着く展開は面白かったです。忘れていくこと、分からなくなっていくことへの恐怖や不安は誰しも感じていくものだと思います。記憶の揺らぎと現実世界が曖昧になっていく感覚はもしかしたら似ているのかもしれません。そして気になるのは『湖畔荘殺人事件』ってあの『湖畔荘殺人事件』なのかってことです。