・気温が上昇
・幼虫が育つ場所が乾燥して崩れる
・生息地の開発
こうした変化が重なり、「むかしはふつうにいた場所」から消えてしまいました。
以前は標高が低い場所や西日本でも、ミヤマクワガタを簡単に見つけることができました。しかし最近は見つけるのがどんどん難しくなってきているように感じます。
今はまだ山地や北日本では比較的簡単に見つけることはできますが、それでも個体数は減っていると感じます。
ベニヒカゲ──「冷涼な地域のチョウ」が生息地を狭める
彼らは冷涼な草原などに住んでいます。
とくに本州の個体群は、より高地でしか見られないようになりつつあります。ほかにも登山客の踏み荒らしによる食草の減少などが、ベニヒカゲをおびやかしています。
冷涼な地域に住む蝶は、気温の変化に最も敏感な昆虫のひとつです。チョウは温度や湿度に敏感なため、気候変動の影響を受けやすいのです。
地球温暖化により、南方系の種類は北上して分布を拡大していますが、ベニヒカゲのような北方系の種類は分布域が狭まりつつあります。
それではセミの場合はどうでしょう?
コエゾゼミ──数少ない北方系のセミ
・幼虫が地中で高温や乾燥に耐えられない
・成虫が活動できる期間が短くなる
コエゾゼミが住みやすい環境はどんどん減ってきています。涼しい森を賑わす鳴き声の1つが消えることは、生態系の異変を示す”警告音”なのです。
じつはミヤマクワガタより影響を受けているクワガタも存在します。
ヒメオオクワガタ──「日本固有のクワガタ」が消える危機
・幼虫の生育場所となる立ち枯れや倒木の乾燥による環境の悪化
・成虫が活動できる気温の範囲が狭い
・山地の森林が減少
ヒメオオクワガタはクワガタムシの中でも急激に減っている種で、15の府県でレッドリストに指定されています。
日本の昆虫が減ると、何が起きるのか?
・樹木の受粉が減る
・鳥や小動物の餌が減る
・森の分解サイクルが崩れる
・生態系全体が弱る
つまり、昆虫 → 植物 → 動物 → 人間という“生命の連鎖”が崩れ始めます。
昆虫がいなくなるというのは、「夏の思い出が減る」どころではなく「日本の自然そのものが変わってしまう」ということです。
次回は、日本だけでなく、世界の昆虫たちがどうなっているのか“現場のリアル”をお伝えします。
〈第2回へつづきます〉
【著者プロフィール】
牧田 習(まきた しゅう) 昆虫ハンター。農学博士。1996年、兵庫県生まれ。オスカープロモーション所属。2015年、北海道大学理学部卒業、2025年3月東京大学大学院農学生命科学研究科同大学院博士課程を修了。昆虫ハンターとして、世界15ヵ国を巡り、NHK『ダーウィンが来た!』などテレビ出演のほか、連載執筆、イベント登壇など幅広く活動中! 甲虫類などの新種を9種発見。最新情報は牧田習のインスタグラム・Xをチェック! (アカウントはともにshu1014my)
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