【第10回】この夏だけの特別企画！　「黒魔女チョコの　魔界で!?修行日記」スペシャル連載

「ファンタ爺～！」

2025.08.07

え、どゆこと？

「この森の番人は、ファンタジー小説の大ファンでさ、ファンタジーの話題が出ると、興奮して、ファンタジーってさけぶんだよ。それで、ついたあだ名がファンタ爺なのさ」

そうしたら、おじいさん、黄色い歯をむきだしにして、にんまり。

「ひさしぶりじゃな、ギュービッド。いっとくが、ファンタ爺はあだ名じゃないぞ。すっかり気に入ったんで本名にしたんじゃ」

ファンタジーが好きなおじいさんだから、ファンタ爺って、またダジャレ……。　

「ところでギュービッド。このファンタジーにくわしい娘はいったいだれじゃ？」

「あたしの弟子。チョコっていう、人間の見習い黒魔女だ」

「こ、こんにちは。黒鳥千代子っていいます……」

すると、ファンタ爺さん、うれしそうに目をほそめて。

「よろしく、チョコさん。それにしても、わしの使い魔のカラスを見て、『クラバート』を思いだすとは、なかなかの読書家のようじゃな」

「はい、魔法のお話は大好きなんです」

「気に入った！　ギュービッドよ、この子はみどころがあるぞ。何年もしないうちに、サバトの高等女司祭もつとめられるような、りっぱな黒魔女になりそうじゃ」

「そりゃあ、インストラクター黒魔女がいいからな。っていうか、今夜のサバトで高等女司祭をつとめるのも、あたしの妹なんだぜ」

ギュービッド！　その話はないしょっていわれたはずだけど！