
【アニメ化で話題沸騰】『とんがり帽子のアトリエ』子どもの心に寄り添い、大人の「思考停止」と向き合う物語 「魔法は技術」の理由とは
白浜鴎さんインタビュー【第1回】 (2/2) 1ページ目に戻る
2026.05.08
学べばできるようになる、それこそが「人間の特技」
白浜:私自身は「生まれつきの才能によって何か特別なことができる」といわれると、昔から納得できなくて。 例えば多くの人が「習えば」車の運転もできるし、「習えば」スポーツもダンスもできる、「習えば」字や絵を書けるようになりますよね。
そう見ていくと、実は世の中のたいていのことが、学びさえすれば技術を獲得できたり、再現することが可能なんだと思います。実はそれこそが、ものすごい「人間の特技」なのではないかと思っていて。
物語の世界では、トップクラスの頂点に立つことが才能の顕現というふうに描かれがちですが、私は「みんなができるようになる」ことを、才能とは別に重視してみたら素敵なんじゃないかと感じました。
だから、みんなが特別な力と思っているものを、「特別じゃない力(技術)」として書いたらどうなるのか、試してみたくなったんです。それがこの物語のきっかけで、作品を通してのテーマでもあります。
──どのキャラクターにも優しい眼差しが向けられていることを感じますが、子どもが学ぶ様を、子ども扱いせずに描いている点も印象的です。
白浜:子どもに向けても描いてはいますが、だからといって、大人のキャラクター同士の会話を易しくしたりはしません。子どもは分からないなりに理解しようとするし、私自身が背伸びして本を読みたい子どもだったので、そのような形をとっています。
ただ、ココたちの視点からはまだ世界はこう見えているはず……という「その子の視点からはまだ見えないもの」は描かないようにして、子どもたちの心の動きに寄り添いたいと思っています。
大人の「思考停止」と向き合うということ
──「大人は子どもを守るべき存在」というメッセージも強く感じます。一方で、作中の大人たちも、葛藤を重ね、成長していきますよね。
白浜:子どもの「知りたい」という気持ちをなるべく遮りたくない、というのは大人の本音だと思います。でも、『とんがり帽子のアトリエ』物語の中では、世界の制度や決まり事によって、大人が“線引き”をしなければならない部分が出てきます。
ただ、決まりができてから長い時間が経つ中で、形骸化し、理不尽なルールになってしまっている部分もあるはず。その“歪み”が作中では子どもたちに現れてきてしまっています。
今後は大人たち、魔法つかいたちがその責任を自覚し、向き合わなければならないフェーズがやってきます。 子どもと真面目に向き合っている大人の方なら、それを重いこととして捉えていただけるのかなと思って描いています。
──子育てや教育に携わっている読者へメッセージをいただけますか。
白浜:アガットのように自分を責める子もいれば、ユイニィのように他人の目が気になる子もいます。でも、見方を変えれば、意外と世界は自分に都合のいいように捉えられるし、学ぶことでしんどいことが減るかもしれない。
少しでも悩んでいる人の気が楽になるような、そんな世界の見方を、これからも物語を通して伝えていければと思っています。
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第1回では白浜鴎さんが考える「学び」や「才能」について伺いました。続く【第2回】では、白浜さんの原点となった児童文学の体験や、ファンタジー作品について伺います。
取材・文/小川聖子
撮影/安田光優
白浜鴎(しらはまかもめ)PROFILE
東京藝術大学デザイン科を卒業後、フリーのイラストレーター、漫画家として活動。『マーベル・コミック』や『DCコミックス』、『スター・ウォーズ』等のアメリカンコミックスの表紙も手がけている。他作に『エニデヴィ』(全3巻/KADOKAWA)など。
【最新刊】2026年4月23日発売
豪華上製本仕様キーフリーの手帳付き特装版!

■配信情報
毎週月曜23時~TOKYO MXほかにて 放送・配信中
Netflix、ABEMAにて1週間先行配信
■スタッフ
原作:白浜鴎「とんがり帽子のアトリエ」(講談社「モーニング・ツー」連載)
監督:渡辺歩
副監督:篠原准
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン・総作画監督:うなばら海里
チーフアニメーター:中野悟史
服飾デザイン:小川茜
小物設定:鈴木典孝、岩畑剛一
美術監督:後藤亮太
美術設定:多田周平、中島美佳
色彩設計:中野尚美
撮影監督:北岡正
編集:本田優規
音響監督:小泉紀介
音楽:北村友香
音響制作:dugout
音楽制作:エイベックス・ピクチャーズ
アニメーション制作:BUG FILMS




































小川 聖子
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。