第47回(2026年)講談社絵本新人賞 贈呈式のようす・受賞者の言葉・選考委員の選評

受賞者のみなさん。左から、ドイリツコさん、シムラアヤカさん、かい のりひろさん。
すべての画像を見る(全16枚)
「講談社絵本新人賞」は、講談社が主催する、絵本作家をめざす人のための公募新人賞です。1979年に創設して以来、数多くの人気作家を輩出し、本年で47回目の開催となりました。

講談社絵本新人賞の贈呈式が行われました

第47回講談社絵本新人賞の贈呈式。
2026年10月16日(金)に、講談社絵本新人賞の贈呈式が行われました。

会場には、選考委員の苅田澄子先生、たしろちさと先生、藤本ともひこ先生、三浦太郎先生。そして、受賞者のシムラアヤカさん、ドイリツコさん、かい のりひろさんが集まりました。
上段左から、三浦太郎先生、苅田澄子先生、たしろちさと先生、藤本ともひこ先生。下段左から、ドイリツコさん、シムラアヤカさん、かい のりひろさん。
賞の贈呈後は、選考委員の先生方より、選評とお祝いの言葉をいただきました。選考委員の先生方からの激励の言葉とアドバイスに、受賞者のみなさんも真剣に聞き入っていました。
登壇しお話しされる、選考委員の藤本先生。
選考委員の先生方からのお話が終わると、次は受賞者の3人から、喜びのスピーチと合わせて、これまでの応募作品づくりの奮闘エピソードが披露されました。

式の最後には、作品の原画を見ながら、選考委員の先生方と受賞者のみなさんでご歓談。選考委員の先生方から直接お話を聞くことのできる、貴重な時間になりました。
選考委員の苅田先生にアドバイスをいただき、メモをとるシムラさん。
選考委員の三浦先生のお話に聞き入る、ドイさん。
作品を前に選考委員のたしろ先生と談笑する、かいさん。
選考委員の藤本先生と楽しげにお話しされる、シムラさん。
関係者のみの参加でしたが、あたたかい贈呈式になりました。

来年のご応募も、お待ちしております!

撮影/日下部真紀

受賞者の言葉

新人賞
『きまぐれなまど』 シムラアヤカ(東京都)
『きまぐれなまど』より
子どものころ、二段ベッドの上の階で目の前にある天井を眺めながら、「ここにまどがついたらどんなだろう」と想像していたのを思い出します。そんなふうに暮らしの中で、こうなったら楽しかろうな、こうだったらワクワクしちゃうな、とふと思いつくことが、絵本づくりのきっかけになっています。

このたびはとても光栄な賞をいただき、ありがとうございました。夢だったかもとソワソワしては、本当だったんだとびっくりする毎日です。

これからもたくさん想像しながら、絵本づくりに取り組んでいきたいと思います。
佳作
『チョコレートせいじん』 ドイリツコ(東京都)
『チョコレートせいじん』より
何度も挑戦を重ね、最終選考に残ること7回目。今年こそはと願っていたので、今回評価いただけたことが本当に嬉しいです。

チョコレートとお昼寝が大好きな主人公。そのマイペースな感じは、私自身とそっくりです。チョコレートだらけの世界に入り込んで、楽しく制作することができました。

この度は選んでいただきありがとうございました。いつか本になる日を目指して、楽しく絵本を作り続けていきたいと思います。
佳作
『だれもおねがいしませんように!』 かい のりひろ(大阪府)
『だれもおねがいしませんように!』 より
5歳と3歳の娘を自転車に乗せて保育園まで走る道中に、樹齢900年を超える立派なクスノキがあります。

毎朝その前を通るときに、
「パパの絵本が1番になれますように!」(5歳)
「ぱぱの、えほんに、なれますように!」(3歳)
と、大きな声でお願いしてくれます。
(早口で5個ぐらいお願いする中の4番目ぐらいのお願いです)

今回作った絵本のテーマは「お願い」でした。

新人賞には届きませんでしたが、私は3年連続の佳作を、心から、心から、誇りに思います。

選考委員の先生方の選評(五十音順)

苅田澄子先生

『きまぐれなまど』は、窓をテーマにこんな素敵なお話ができるなんてと新鮮な驚きがありました。余白が美しく、静謐な雰囲気の絵に心が洗われます。こんな窓が部屋にひとつほしくなりました。全員一致で新人賞に決定しました。

『だれもおねがいしませんように!』は楽しく読み進めながらも、最後はあたたかな気持ちになる作品でした。セリフのくり返しもユニーク!

『チョコレートせいじん』は主人公の二人がとにかくかわいい。展開も大胆で楽しいです。

選外にも心に残る作品がありました。『おとうさん』は個性的な作風に魅かれました。『どうしてナポリタン?』はとぼけたくり返しが愉快でした。

絵本を創る時、絵と同じくらい言葉選びも大切だと思います。ぜひ作品を絵本の形にして、めくりながら何度も声に出して読んでみてくださいね。絵もストーリーも同じなのに、言葉のリズムがよくなるだけで、子どもの反応が劇的に変わったりします。言葉って不思議で面白いです。

たしろちさと先生

最終選考会では、テーマもスタイルも様々な力作が並びました。

講談社絵本新人賞を受賞した『きまぐれなまど』は、シンプルでおしゃれさもありつつ親しみも感じる絵に惹きつけられました。気持ちのいい風を感じる読後感で、そっとページを開きたくなる作品でした。講談社絵本新人賞おめでとうございます。絵本になるのが楽しみです!

佳作に選ばれた2作も、それぞれに個性の輝く魅力的な作品でした。

『だれもおねがいしませんように!』は、よく吟味された完成度の高い作品で、色も綺麗でした。子どもさんと対話しながら一緒に楽しめそうなおはなしで、魅力的なラストシーンが心に残る一作でした。

『チョコレートせいじん』は、なんといってもキャラクターの愛らしさに1票でした。冒険心をくすぐるおはなしで、作者の方が楽しんで描いていらっしゃるのが伝わりました。

藤本ともひこ先生

やっぱりぼくの考える絵本は文と絵の化学反応だ。文に誘われて絵に没入したい。そんな幸せな快楽を毎度楽しみたくて絵本を読む。

『だれもおねがいしませんように!』流れ星の立場だとそりゃ逃げたくもなるよねの話。レイアウトがユニーク。ただラストは言葉だけでなく「友達になった場面」をこそ見たかった。

『チョコレートせいじん』はとにかくキュート。絵は目が楽しい。ただ設定として「チョコがビスケットを食べに行く」ならチョコクッキーがいたら食べちゃいそう。そこでくらっとめまいがした。この問題は解決が必要かな?

『きまぐれなまど』シンプルな絵なのに、想像が膨らむ。後半になるとダイナミックにもなる。さらっとした線画と、色鉛筆のシーンとの使い分けが素晴らしい。レイアウトは要整理。ラスト3場面こそ見開きドーンの海に至るレイアウトの段階性が必要。読者を引き寄せて背中を押す展開が。

絵本の文章は説明文ではなく、主人公の行動と発言で物語を前に進めるもの。絵本の絵は物語の説明を超える魅了する絵。どこまでも。

三浦太郎先生

『きまぐれなまど』はパッと見で、今年はこれだと思った。だけれども、こういったシンプルな作品は、インパクトのある作品にはかなわないので、今年も推すのは難しいのでは、とも思っ。最終テーブルに残った段階で作者の過去の応募作品にお風呂の絵本があることを知り、驚いた。記憶に残る数少ない作品のひとつだったからだ。この作品の絵本化が今から待ち遠しい。

『だれもおねがいしませんように!』今年もかいさんの作品を拝見するのを楽しみにしていた。やはり素晴らしい。絵の表現方法はとても好みで非の打ち所がない。欲を言えば、デザインに頼るのをやめて、よりオリジナリティーを追求してほしいと思う。

『チョコレートせいじん』は今回の選考の最初に読んだ本。点数の基準にしようとしたが、この後、なかなか越える作品が出てこず、基準を取り消した。ゆるめのお話とかわいいキャラクターが相まって、どんな人も好感を持つ絵本になるだろう。

講談社絵本新人賞受賞作(2022〜2025年)

オオカミさんの おきゃくさん

作:鹿毛トモタロウ 

どんぐりず

作:秦直也

あおくんふくちゃん

作:みやもとかずあき

ぎょうざが いなくなり さがしています

作:玉田美知子