連載開始55周年『あしたのジョー』の舞台をめぐる新機軸の漫画がスタート!
TELEMAGA.netで連載が始まる『あしたのお嬢 ~ゆかりの地を歩く~』で紹介したジョーの聖地を紹介!
2023.03.29
昭和を代表する名作漫画
漫画のタイトルは、『あしたのジョー』。
漫画は、『ちかいの魔球』、『ハリスの旋風』で人気漫画家の仲間入りをはたしていた、ちばてつや。
原作は、同じ「週刊少年マガジン」で連載していた『巨人の星』の原作を執筆していた高森朝雄(梶原一騎)が担当することになる。
この、当時の人気作家ふたりによるボクシング漫画は、大きな反響を呼び、当時の読者の中心であった少年だけでなく、大学生や大人たちの心もつかみ、多大な影響を彼らに与えた。
時は高度経済成長の真っ只中、戦後の復興とともに、目まぐるしく世相が変わりゆく時代でもあった。
彼の名は、矢吹 丈。
彼がたどり着いたところは下町のドヤ街だった。
宿(簡易宿泊所)が立ち並び、そのことから、ドヤ街と呼ばれているのだ。
ドヤとは、宿の逆さ言葉だ。
アイパッチに中折れ帽をかぶる怪しい姿の男が、その姿に魅了されていた。
丹下段平。
彼は、かつては日本チャンピオンを嘱望された有能なボクサーだったが、試合中の事故により左目を失明、栄光への道を断たれてしまう。
後進を育てることに生きがいを見出した段平だったが、自らボクシングジムを開設するものの、思うように選手は育たず、多額の借金だけが残ったままジムの閉鎖を余儀なくされてしまう……。
アルコールに溺れ、生きる希望を失っていた段平にとって、ジョーは天啓とも呼べるものであった。
はじまりは「泪橋」から
拳闘の才能を持つが、強さが開花していない少年。
ふたりは、出会うべくして出会ったのだ。
段平はジョーのために、小さいながらも手作りのボクシングジム「丹下段平拳闘クラブ」を、橋の下に構える。
その橋こそ、実在の地名として存在する「泪橋」なのだ。
「泪橋」があるのは、荒川区南千住。
東西に明治通り、南北に旧日光街道が走る交差点がある場所に実在する。
交差点とバス停の名称として、泪橋という名前が残るだけだ。
では、連載当時の1960~70年代はどうであったのであろう?
じつは、その当時もすでに、橋はなかったようなのだ。
それは、当時の航空写真からもわかる。
では、なぜ、『あしたのジョー』には、存在しない橋が描かれたのか?
時は、泪橋が造られたとされる、江戸時代に遡る。
泪橋があった南千住は江戸の町の北端にあたり、この橋の北側に、小塚原刑場という囚人の処刑場が存在した。(上記航空写真の隅田川駅がある辺り)
泪橋は、この小塚原刑場に向かうときに渡らなければならない、思川(おもいがわ)にかかる橋だった。
この橋を渡るのは、今生に別れを告げる囚人、そして、それを見送る身内の者。
多くの者が、この橋で別れを惜しみ、涙を流したという。