超人眼鏡の売れ行きに異変あり!?
王子でありながら落ちこぼれ。しかし地球を征服しようと来襲する敵から人類を守るため、熱い戦いに身を投じるキン肉マンの姿は、子ども達の心を鷲掴みに! 個性豊かな超人達もブームになり、「キン肉マン消しゴム」(通称:キン消し)は一躍社会現象となった。
そして令和の現代、この『キン肉マン』と老舗眼鏡専門店「メガネの愛眼」のコラボが実現! 2022年2月9日「ニクの日」に合わせ、人気6超人が眼鏡に転生した。
だが実は、その売れ行きが全く意外な結果になっているという噂をテレビマガジン編集部が入手した。そこで我々は、「メガネの愛眼」に独占インタビューを敢行。商品部の藤岡一博さんに開発秘話や驚くべきこだわり、販促企画課の本田靖典さんに噂の真相を明かしていただいた。
主人公キン肉マンは、当初作る予定ではなかった!?
どういうきっかけから、『キン肉マン』の超人転生をコンセプトとした眼鏡が生まれたのでしょうか。
愛眼株式会社 商品部 藤岡 一博さん(以下、藤岡)
弊社の眼鏡を購入されるお客様のメインは団塊の世代、次に団塊ジュニアです。そして、弊社で働いているスタッフも団塊ジュニアが多いんです。
それで、漫画やアニメとのコラボを考えた時に、1980年代に人気を博して誰もが知る『キン肉マン』なら、売る側も買う側も盛り上がれるのではと。それならとお客様ターゲットは、団塊ジュニアの男性に完全に絞りました。
「ROUND-1」として発売された眼鏡は、キン肉マン、ウォーズマン、悪魔将軍、ロビンマスク、THE NINJA、キン肉マンソルジャーですが、どのようにこの6人を選ばれたんですか?
藤岡
社内アンケートを参考に、シリーズやストーリーの関連性よりも、「メンズのデザイン眼鏡としてこれなら売れる」と確信が持てる人気超人を選んでいったのです。
ただ、「裸の超人ではなく、コスチュームなどのメインカラーがはっきりしている超人を選ぼう」というルールも設けました。ヌーディなカラーはメンズの眼鏡では前例がなく売れそうにないと判断していたので。
だから、当初キン肉マンは外していたんですよ。
ええ!? 主人公なのに!?
愛眼株式会社 販促企画課 本田 靖典さん(以下、本田)
やっぱり驚かれますよね。実は版権元からも、「今まで数々コラボをしてきたけど、主人公を外すのは初めてです」とご指摘いただきまして……(苦笑)。
考えてみたら確かに、お兄ちゃんのキン肉マンソルジャーや、わりとサブキャラのTHE NINJAまでいるのに、「(ファンからしたら)なんで?」という話かなと。それで、やっぱりキン肉マンも作ろうということになったんです。
そうだったんですね。作者のゆでたまごさんから、ほかになにかご意見はありましたか?
本田
いいえ、弊社が大阪の寺田町にあり、ゆでたまごさんが同じ大阪出身なこともあってか、二つ返事でOKをいただけました。
ニクの日に発売! でもそれは偶然の産物!?
本田
いや、「ニクの日」の発売は実は偶然というか、もともとは11月29日を予定していたのですが、製作が遅れていくなかで、たまたまそこにタイミングがあったんです(笑)。結果オーライでした。
売れ行きとしては、現在約3,000本を発売しており、実売が約2,000本。一般的な眼鏡よりも順調な売れ行きです。特に発売当時はSNSでかなり話題になり、通常の2~3倍のスピードで売れていきました。なかには6種類すべてをセット買いする方や、「コレクション用」と「使う用」を分けて買う方もいらっしゃって、人気のすごさを思い知りました。
また、ありがたいことに、ゆでたまごさんもTwitterで発売告知をしてくださって、ファンとのやりとりのなかでは、「6種類全部購入した」というコメントもありました。
ゆでたまごさんも持っているんですね! しかも6本全部(笑)。
一番人気はTHE NINJA、二番はロビンマスク!
本田
そうなんです。一番人気がTHE NINJAで、二番目がロビンマスクと悪魔将軍です。ただ正確には、関東と関西で人気が分かれているんです。関東はTHE NINJAとロビンマスク、関西は悪魔将軍とロビンマスクが売れています。
実は、キン肉マンは最下位なんですよ。
それは切ない……。売れ行きは超人の人気に比例しているんでしょうか。
本田
キン肉マンはもちろん主人公として一番認知されている超人で広く人気があるのは間違いないですが、お気に入り超人となるともっとこう……思い入れやこだわりが大きく関係しているんだと思います。
どんな方が購入されているんでしょう。
本田
狙い通り、40代の団塊ジュニアの男性が最も多いです。ですが若干、同世代の女性の方の購入もあり、これは私達も予想外でした。あと悪魔将軍眼鏡は、デザインやカラー的にコワモテの方に人気のある系統なので、ファミリー層の多い関西の店舗で「家族を大切にしているちょっとヤンチャなお父さん」にうけているのかも。
悪魔将軍のキャラクターと重なりますね(笑)。
すぐに壊れたら超人眼鏡ではない!
藤岡
普通に考えたら、キン肉マンの絵がたくさん描いてあるとか、「かけたら悪魔将軍の角が生えてくる」みたいなコスプレ的なものなどが浮かびがちですよね。
でも、キン肉マン世代も今はすっかり大人の男性ですから、そういう、造形模写はやめて普段使いできる眼鏡にしようと最初に決めました。「眼鏡単体としても普通にかっこよくて、よくよく見たらめっちゃキン肉マンが溢れてる!」という方向を目指したんです。
ファンはもちろん、ちょっと知っているだけの人も使える眼鏡になればと……。ロゴTシャツを作るような感覚でした。
どのように開発を進めていかれたんですか。
藤岡
通常とは全く逆の順序で、眼鏡本体より先に、各キャラクターのアイコンやロゴ、カラー、コピー、広告ビジュアルなどから製作していきました。そのうえで、かけ心地や見栄えにもこだわって、素材と設計を行っていったのです。
かけ心地について言えば、いずれの眼鏡もテンプル(つる)に弾力性のある樹脂を使用しており、軽くて優しい使用感です。また、あつかいやすくて壊れにくい設計にもこだわりました。“超人”の眼鏡がすぐ壊れてはお話になりませんから。