日本一速い「時速500km」超電導リニアに乗ってみた! 飛行機以上の浮遊感!

JR東海の超電導リニアの体験乗車イベントレポート!

フリーエディター:鈴木 俊行(EBI-PUB)

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JR東海・山梨リニア実験線で開発が進められている超電導リニア。なんと営業最高速度は時速500kmで、完成すると東京(品川)─大阪間を最速67分で走るという。

実際に営業運転が始まれば、首都圏と関西圏を1時間程度で結んでしまう夢の列車に、一足早く乗る方法がある。それは、超電導リニアの体験乗車イベントに申し込むこと。

取材スタッフが、JR東海が行っている超電導リニア体験乗車に参加、その驚きのレポートを紹介する。
山梨県リニア実験線を走るL0系改良型試験車。

そもそも超電導リニアのしくみとは?

まずは改めて超電導リニアについておさらいをしよう。リニアとは、すごく簡単に説明すると、

(1)ある金属を一定の温度以下にしたときに電気抵抗がゼロになることを「超電導」状態という。

(2)この「超電導」状態になったコイルに電気を通すと、半永久的に電気が流れ続ける「超電導磁石」になる。

(3)超電導リニアの車両には「超電導磁石」が組み込まれていて、ガイドウェイの推進コイルとの間に発生する引き合う力反発する力を利用して推進力を得る。

(4)超電導磁石と、ガイドウェイにある浮上コイル/案内コイルの間に発生する磁力により、超電導リニアの車両を浮かせつつ、常にガイドウェイの中心を走る。

……と、こんな感じだ。このあたりの仕組みは、山梨リニア実験線のすぐそばにある山梨県立リニア見学センターで、学んだり体験したりすることができる。
山梨県立リニア見学センターは山梨リニア実験線のすぐそばにあり、実際に時速500kmで走る超電導リニアの見学ができる。超電導の仕組みを学べる展示も多数あり。
山梨県立リニア見学センター
山梨県都留市小形山2381 TEL0554‐45‐8121
山梨県立リニア見学センターの展示物は、子ども向けにわかりやすく解説されたものが多く実際に体験できる展示も豊富なので、超電導リニアのことが知りたい親子には、ぜひおすすめしたい施設だ。

超電導リニア、驚きの性能を数字でご紹介!

続けて、超電導リニアがどれくらいすごいのかがわかる数字をいくつか紹介しよう。

鉄道では世界最速の営業速度!
最高時速500kmで走行

時速約150km以上では車輪を使わない浮上走行!
車両は約10cm浮上

東京~大阪まで約1時間!
東京~大阪間 最速67分

強力な超電導磁石!
冷却用液体ヘリウムでマイナス269℃に
2015年、有人走行による世界最高速度、時速603kmを記録。この記録はギネスブックにも登録されている。
まだまだ挙げていけばキリがないほど、たくさんの数字をならべることができるのだ。

超電導リニア体験試乗レポート

ではさっそく実車レポに。まず、実験センターに設けられた受付から通路を通ってL0系改良型試験車を目指す。
試乗前にL0系改良型試験車最大の特徴でもあるロングノーズと、運転台のない先頭車両を見学。
本日乗車するのは、リニア51号。行き先が「名古屋」と表示されているのも、リアルで楽しい!
まるで営業運転されているかのような演出の行き先表示。
ちなみに、山梨リニア実験線の総延長は42.8km。カーブ、坂道、トンネルなど、建設を進めている営業線と同等の条件をもつように作られているそうだ。現在のところ、総延長42.8kmの山梨リニア実験線にしかガイドウェイ(普通の鉄道でいう線路)がないので、もちろん名古屋までは行けない。

そして、飛行機に乗るときに通るボーディングブリッジのような空間を通り、乗車口へ。
通路の先にはL0系改良型試験車の車両が停車している。乗車ドアは新幹線とほぼ同じような印象。
客室に入ると、通路を挟んで2+2の4席で1列のシートがならんでおり、車内は、東海道新幹線で乗り馴れたN700系と比べてひと回り小さい感じだ。とはいえ、座席自体は東海道新幹線のグリーン車に近いサイズで、もちろんリクライニングもできる。
乗り心地向上を目指して作られた座席。頭上の荷物棚はやや小さめ
時速500kmでの走行とはいえ、通常の鉄道と同様にもちろんシートベルトはない。ドキドキしていると、発車のアナウンスがあり、あっさりスタート。

「最高時速500km」というお題目があるだけに、どれだけすごい加速感が味わえるのかとワクワクしていたのだが…。飛行機の離陸時のように加速のGを感じることはなく、体感では新幹線の2割増くらいかな~という加速感を味わいながら速度が上がっていく。

そして、列車はすぐにトンネル内に。窓の外はすごいスピードで流れていくトンネル内の照明……。

車内には、先頭車両のカメラで撮ったリアルタイム動画と走行スピードを表示する液晶ディスプレイがあるので、しばしこちらでスピード感を体験。トンネル内の走行が多くて景色が見られないだけに、結果として乗り心地をチェックする感覚が研ぎ澄まされるような感覚に。

超電導リニアは、走り出して加速していき、時速約150kmまでは車輪走行。この間の乗り心地は、まさにゴムタイヤで走る新交通システムや地下鉄に近い感じ。

しかし、じっと見つめていた液晶ディスプレイの速度表示が時速150kmになろうとしたとき、「まもなく浮上走行に入ります」というアナウンスがあり、お尻で感じていた振動がフッと消え「スーッ」に変わる。浮上走行に入った瞬間から、路面の走行振動を感じなくなるのだ。

昔童話で読んだ「まるで空飛ぶ絨毯に乗っている感じ」! そこから2分ほどで時速500kmに達するのだが、加速していく間の走行は本当にスムーズだ。
車内の液晶ディスプレイはぴったり「時速500km」の表示
「スーッ」となめらかだった走行感が、時速400kmを超えるあたりから、今度は「ゴーッ」という風切り音に。速すぎる走行ゆえなのかもしれない。

減速~停車はまるで飛行機の着陸感覚!

時速500km表示と走行感に「おお!」と感動している間もなく、超電導リニアは減速開始。やはり、時速500kmを体感するのに実験線の42.8kmでは短すぎる! 浮上走行のうちは、もちろんなめらかに「スーッ」と減速するが、加速時と同様に時速150kmに近づくと「まもなく車輪走行に入ります」のアナウンスがあり……。

何分かぶりに、ゴムタイヤの接地感がもどってくる。飛行機が着陸するときみたいというとさすがに言い過ぎだが、明確に乗り心地が変わり、約30分の試乗体験は、あっという間に終わってしまった。

超電導リニアの試乗はJR東海のホームページから申し込み

今回はJR東海のお招きにより、乗車する機会を特別に設けていただいたので実現したレポートをお届けした。最高時速500kmでの運行を目指して、超電導リニアは今も順調に開発がすすめられているとのこと。JR東海は1年のうちに何回か、超電導リニア体験乗車のイベントを行っているので、機会があれば時速500kmで走る鉄道の世界をお子さんといっしょに体験してみてはいかがだろうか。
これまでのL0系から空気抵抗を13%低下させ、消費電力や車外騒音が低減され、2020年8月から走行試験を始めているL0系改良型試験車
最後に。

JR東海では、お子さんにリニアのことに興味を持っていただけるようにと、ベネッセとのコラボ企画として「リニアダンス」という動画を公開している。

しまじろうたちが「速い」、「浮く」「磁石の反発」など、リニア中央新幹線の特徴を表現したダンスを踊っているので、お子さんといっしょに楽しんでみてはいかがだろう。

動画で実際の超電導リニアを体験!

日本一速い「時速500キロ」超電導リニア乗ってみた! 前編

日本一速い「時速500キロ」超電導リニア乗ってみた! 後編

撮影/佐々倉実 取材/鈴木俊行 取材協力/JR東海、山梨県立リニア見学センター
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すずき としゆき

鈴木 俊行(EBI-PUB)

Toshiyuki SUZUKI
フリーエディター

NIKEエア・マックス、Gショックなど、90年代後半に盛り上がったストリートファッション誌編集長を経て独立。乗り物、生き物、買い物、揚げ物、お調子者……大好きな「モノ」がつく情報を集めて世の中に広めるため、日々奔走中。

NIKEエア・マックス、Gショックなど、90年代後半に盛り上がったストリートファッション誌編集長を経て独立。乗り物、生き物、買い物、揚げ物、お調子者……大好きな「モノ」がつく情報を集めて世の中に広めるため、日々奔走中。