「Ane♡ひめ.net キャラ♡フェス」開催決定! キャラ最前線を駆け抜けた編集長の考える「2024年の人気キャラクター」の条件
おともだち・たのしい幼稚園・Ane♡ひめ3誌編集長 浅野聡子インタビュー1
2024.07.26
ライター:小川 聖子
2012年よりこども事業部で女児向けの付録や誌面を担当し、キャラクターをいかした数多くの企画でヒットを飛ばしてきた現編集長・浅野聡子の考える「キャラ♡フェス」が求めるキャラクターや、クリエイターのみなさんへのメッセージをお送りします。
キャラクター戦国時代の今、求められるのは「親子で推せる」「明確な世界観」
浅野さん もともと「with」という女性誌で、10年ほどファッション記事や読み物記事を担当していました。私には3人の子どもがいるのですが、2人目を出産した2012年に『たのしい幼稚園』に異動し、2020年に編集長になりました。
その後2021年からは同じ幼児誌である『おともだち』の編集長も兼任することになり、今に至っています。また、それとは別に私が2020年にひとりで立ち上げた『Ane♡ひめ』という小学校低学年に向けた女児誌の編集長もしています。
──長年、「プリキュア」はもちろん、「すみっコぐらし」の付録や企画などで多数のヒットを出された浅野さんから見て、2024年の今、キャラクターを取り巻く状況はどのようなものでしょうか。
浅野さん まず大前提として、今は「(何かの)オタクであるのは普通のこと」という状況になったなと感じています。
私も含め、今の40代が子どものころは、なかなか堂々と「アニメが好き」「マンガが好き」とは言えない雰囲気があったと思いますが、今は全然ありませんよね。
大人でも「このアニメが好き」「このアニメイベントに行ってきた」と気軽に言いやすい、良い時代になったと思います。
自分が好きなものを素直に好きと言える時代であるからこそ、今までになかったようなキャラクターが受け入れられるなど、キャラクターの世界も非常に多様化していると感じます。
──そんな中で「キャラ♡フェス」が求めるのは、どのようなキャラクターなのでしょうか。
浅野さん 一口にキャラクターといってもさまざまな切り口があると思いますが、その中で私たちが着目しているのは「親子で推せるかどうか」です。
私たちの媒体で人気の「すみっコぐらし」も、最初は大人女子の間でヒットしたものが、子どもたちの間に降りてきた、という経緯があります。
親が「子どもはすごく好きなキャラクターなんだけど、実は私は好きじゃないのよね」というキャラクターではなかなか広がっていきません。
親も「かわいい!」と納得する、なんなら「このキャラクターのグッズなら、私もひとつ買ってもいいかも」と思えるくらいのキャラクターが、大人も財布の紐を緩めやすいということもあって、大きなヒットにつながっていると思っています。
私自身もかわいいもの、おしゃれなものが大好きで、子育て中は娘にもそういうものに囲まれていて欲しいという思いがありましたので、ぜひそんな大人も魅了するキャラクターがどんどん生まれてきてほしいと思っています。
クリエイションで悩んだら「自分のキャラでキャラカフェを展開するなら?」と問いかけてほしい
浅野さん ぱっと見がわかりやすく、世界観がしっかりしているキャラクターですね。
キャラクター自体のかわいらしさやデザインはもちろんですが、そこに付随する世界観……どんな場所に生きていて、どんな仲間がいるのか、それによって何が起こるのか、そんな設定がしっかりしているものはグッズや企画も展開しやすいです。
例えば私が関わる作家さんたちにはよく、「キャラクターは、おいしいものと一緒に描いてください」とお願いしているんです。なぜかというと、お菓子やお料理はあらゆる場所で企画化しやすいから。
「コラボカフェ」を立ちあげるとなったときは、メニューに入れられますし、書籍や雑誌の誌面にする際もレシピを載せるなど、展開しやすくなります。
なのでぜひみなさんには、「自分のキャラが売れて、カフェを作るならどんなお店にしよう?」みたいなことを想像しながらキャラクターを作ってほしいです。
「建物はどんなデザイン? 壁紙は何色? お皿やカトラリーは?」といったことを考えながらつくっていくと、ワクワクできるのと同時に、自分でも自分が描きたい世界観がはっきりしてくると思います。
また、「かわいいキャラ」と「おいしいもの」など、人気のものと人気のもの、強いものと強いものを掛け合わているものもおすすめです。
──新しいキャラクターを見るとき、注目するのはどんなところですか。
浅野さん 「もう見たことがあるな」という、二番煎じ、三番煎じみたいなものは「愛」が感じられないのですぐにわかってしまいます。その上で、パッと見たときのわかりやすさやキャッチーさ、さりげない今どき感や、エモさを感じるものに目が留まります。
──最近、「キャラクターのパワーを感じた」というエピソードがあればお願いします。
浅野さん 私たちは、キッズモデルの子たちに会う機会が多いのですが、必ず「今何が好きか」を聞くようにしています。この1年は、「すみっコぐらし」や「シナモロール」など、定番人気キャラクターの名前と同時に「【推しの子】のアイちゃん」という子が何人もいました。
「【推しの子】」はアニメ化もしていますが、正直小さな子向けのお話ではないので、本気でストーリーを追っている子は少ないと思います。
では何で知っているのかというと、「TikTok」なんです。みんな、YOASOBIの楽曲と共に流れてくるアイちゃんのビジュアルにノックアウトされてるんですね。
「ものすごくかわいい! 目に星が入ってる!!」って。あの短い数十秒の中で、子どもの心を捉えるのはキャラクターのパワーでしかないので、改めてアイちゃん力に驚きました!
「キャラがクリエイターの中でどれだけ生きているか」が最終的に明暗を分ける
浅野さん 売れているキャラクターを生み出したクリエイターさんたちとお会いして思うのは、「その人にとってそのキャラクターは、本当に生きているんだ」ということ。
だから、「この角度から見たらこういうフォルムではない」「これだと鼻が1ミリ低いです」というビジュアル的なところはもちろん、「こんな語尾にはならない」「こんな行動はしない」ということまで、すべて把握しているんです(自分で決めているってことです)。
私たちが企画を進める際には、この「作者の監修チェックを受ける」というのは非常に大変な作業ではあるのですが、それでもそこがブレていたり、定まっていないキャラクターというのは、結局はあまり人気が出ないというのが実感です。
なので、クリエイターのみなさんには、そこは手を抜かず、しっかり自分でこだわって決めていってほしいと思っています。
さらにキャラクターの持つ世界観が、「共感できたり、自分を投影できたりするもの」であることも大切です。みんな結局、「これは自分向けのキャラクターだ」「私のためのものだ」と思えるものに出会ったときに、そのキャラクターにハマるんです。だからここもまたとことん、考えてほしいです。
また、「自分のためのものだ」と関連するところかと思いますが、キラキラしているだけ、パワフルなだけのキャラクターではなく、哀愁なのか、ワビサビなのか……いわゆる「エモさ」を感じさせるキャラクターのほうが日本では人気になりやすい傾向もあります。
たぶんそちらのほうが自分に近しい、自分を重ねやすいという人が多いのかもしれません。
そして最後に、実はこれが一番大切なのですが、「わかりやすいこと」「伝わりやすいこと」を意識してください。
「TikTok」などもそうですが、パッと見て、その魅力や世界観がすぐに伝わるというのは、あらゆる面で「強い」のです! ぜひ、みなさんのアイディアを形にして、一緒にステキなキャラクターを育てていけたらと思っています。
Ane♡ひめ.netキャラ♡フェス開催中!
「自分のキャラクターの絵本やグッズを作りたい」
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ぜひご応募ください!
小川 聖子
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。