これね、魔力検査なの。
ちょうど一年前──全国の六年生を対象に血液検査があったの。
お兄ちゃんもやったって言ってた。
普通の健康診断だと思ってたんだけど、実はこれ、天煌グループが魔力がある人間を探すための検査だったってことを、マンガの記憶から思い出した。
検査結果をもとに魔力ありを天煌学園に集め、オリエンテーションではじめて正確な魔力量を測る。
【きらゆめ】の世界では、この魔力検査で『紫藤ルリカ』は水晶玉が破裂(はれつ)しかけるほどの、史上まれに見る魔力量をたたき出すの。
でも、私はこの魔力検査で普通レベルの魔力量じゃなきゃいけない。
そのための準備は──してきた!
次々に名前が呼ばれていき、水晶玉にふれていく。
淡くほんの少しだけ光ったり、黄色い色がついて蛍光灯くらいの明るさで光ったり。
「次。白峰(しらみね)ハルトさん。」
その名前を聞いた瞬間(しゅんかん)、私は目を見開いた。
──白峰ハルトって……主人公彩乃の仲間の一人だ!
彼が水晶玉に手でふれると、白く、そしていままでで一番強く光った。
それから、出るわ出るわ、彩乃の仲間たち。
青瀬(あおせ)ユウマ、緋山(ひやま)ジン……それぞれ、名前にある色のとおりに水晶が光った。
その【きらゆめ】こと【きらめく色彩の夢幻庭園(むげんていえん)】は、主要登場人物の名前に色が入ってる。
私も『紫藤』で紫が入ってるから。
だから私が掲(かか)げた目標は──。
① 魔力量を少なく見せる!
② 名前に色が入った人たち(色つき男子)とは関わらない!
③ 悪役にならないように気をつける!
君子危(あや)うきに近寄らず、って言うじゃない?
いつなにがあって敵(てき)になるのかわからないんだから、近寄らないのが一番。
だって──。
悪役なんて、絶対ごめんですから!
悪役の末路(まつろ)なんて、わかりきってる。
最終的に倒されて終わり。
私はいままでどおり平々凡々(へいへいぼんぼん)に、周囲に溶けこむような感じで生きていきたいの。
前世の『わたし』は中学生のときに病気で死んじゃったみたいだから、今回は長生きしたいし。
悪のボスなんて、私には荷が重すぎるよ。
「次。紫藤ルリカさん。」
「はい。」
緊張(きんちょう)して、手に汗が……。
え、これで水晶玉にふれたら、私の手汗がついちゃうかも。
変なことを気にしながら、そっと水晶玉にふれる。
ふわっとうすい水色の光が浮かび──すぐに消えた。
「はい。紫藤さん、いいですよ。次──。」
……やった。
やったよ~~っ!
魔力量調整、大成功だった!
ルリカの魔力は本当は名前のごとく、紫に光るはずだった。
目も開けられないほどのまぶしさを会場中に放つはずだった。
でも、すっごく平凡なうすい水色で、スッと消えた。
完璧(かんぺき)っ!
制服の下にぶら下がっているネックレスをぎゅっと握りしめる。
これのおかげで、無事思いどおりに調整できたことがうれしくてたまらない。
第一関門突破だよ!
──彩乃と『ルリカ』の戦いが激化(げきか)しはじめるとき……つまり、五年後くらいに、とある研究が発表されるの。
きっかけは、小さなジュエリーショップだった。





































































