
【中学受験】志望校選びで親が対立 「ダメなら公立派」の夫に絶望
完走済み保護者に聞く 今だから語れる中受親のホントの本音 『中学受験伴走力』#3 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.08.28
教育ジャーナリスト:佐野 倫子
「公立でもいい」が口ぐせの夫
──Cさんご夫妻は、ひとりっ子でいらっしゃる娘さんの中学受験はいつごろから考えていたのでしょうか。
Cさん:夫も私も中学受験を経験しているので、子どもに受験をさせるのは自然な流れでした。入塾は新小2からで、歩いて通える近所の大手塾にしました。
娘は穏やかな性格で、ちょっぴり積極性に欠けるところがあります。自分から「質問しよう」「自習室へ行こう」というタイプではありません。だからこそ、親が環境を整えてあげることが大切だと思っていました。
一方で、夫とは「中学受験だけが人生じゃない」という考えも共有していたので、公立中学校の説明会にも一緒に足を運びました。
「子どもにはさまざまな選択肢を与えてあげたい」。それが夫婦共通の考えでした。
──それでは中学受験の勉強を始めながらも、公立に行くという選択肢もご夫婦の頭の中にあったのですね。
Cさん:はい。ところが、受験が本格化するにつれ、その「選択肢」という言葉が、私には違って聞こえるようになっていきました。
夫は、学年が上がり、テストや模試の結果が返ってくるたび、「第1志望じゃないなら意味がない」「そこへ行くくらいなら、公立でいい」という言葉を繰り返すようになりました。
いくつかの志望校が具体的になっていくと、それに伴って毎回そのセリフが出てきます。
私は毎日、塾の宿題を確認し、学習スケジュールを考え、志望校を調べ、学校説明会へ足を運び、娘の小さな変化に一喜一憂していました。
その現実を見ていない人から、「公立でいい」の一言だけで片づけられることが、どうしても苦しかったのです。
一番苦しかったのは「夫と話すこと」
──娘さんは順調に勉強を進めていたかと思われたものの、6年生の夏前に成績が下がり始めたとのことで、さぞ心配だったことと思います。
Cさん:はい、猛烈に焦りました。「何につまずいているんだろう」 「どう立て直せばいいのだろう」「志望校を変える?」など、毎日考えてばかりいました。
実は私自身、中学受験、大学受験、国家資格試験を経験しています。比較的試験や入試が得意だったので、娘に対して「どうしてここでつまずくんだろう」と理解できないこともありました。
娘と私は違う人間だと頭ではわかっているのに、感情が追いつかないんです。
そんな私を見て、夫は「のめり込みすぎじゃない?」と言いました。その言葉に、とても怒りを覚えましたね。誰かが娘のサポートをしなくては、中学受験は立ちいかなくなります。
私が学校説明会へ行き、夜遅くまで併願校を調べ、塾へ相談し、模試の分析をしているのは、娘のため。
「のめり込んでいる」のではなくて、母親として、必死だっただけです。それなのにそんなふうに言われて、憤りを覚えました。
──6年生の後期、パパのほうはもう少し冷静になれと伝えたかったのだとは思いますが、それまでの「貢献度」によっては神経を逆なでられたように感じてしまいますね。
Cさん:娘が5年生になったころに、私は仕事を辞めて専業主婦に。だから伴走は私の仕事だという意識もありましたし、大黒柱の夫に、強く意見を言うのは気が引けていました。
結局、夫は「ある一定の偏差値以上の学校じゃないなら公立でいい」と、偏差値表に引いたボーダーラインを最後まで動かそうとはしませんでした。
私は夫と話すたびに、ひとりぼっちになっていくような気持ちでした。


































