子どもの好き嫌いが起きる3つの原因と対処法 「食べ物絵本」で苦手克服も【管理栄養士がすすめる幼児食】

《第5回》

管理栄養士・母子栄養指導士®:奥野 由

写真:アフロ
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「子どもの好き嫌いが多い」と悩んでいませんか? 単に食事面だけの問題ではなく、「自分の育て方が悪いのかな?」「栄養不足で成長が止まったらどうしよう」と思い詰めていませんか?

「その悩み、好き嫌いの原因がわかると解消できますよ!」と話すのは、管理栄養士・幼児食アドバイザーの奥野由さん。今回は、子どもの好き嫌いが起きる「3つの科学的理由」と、無理強いしない対処法を解説します。

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子どもの好き嫌いが起きる3つの原因

子どもは食べるための口が未完成【原因①】

歯が生え始める時期やスピードには個人差がありますが、一般的に2歳半から3歳ごろに、上下10本ずつの歯が生えそろいます。

これは、タコやイカなどを食べられる目安とされています。さらに噛み合わせが完成するには、さらに数年かかるといわれています。

1歳半ごろの赤ちゃんの歯の解説 イラスト/のだかおり
2~3歳の幼児は、固いものやすり潰しが大変。 イラスト/のだかおり
5歳ごろの子どもの歯 イラスト/のだかおり
5歳ごろの子どもの歯 イラスト/のだかおり

つまり、幼児期の子どもの口は発達している途中で、未完成の状態。特に2歳半から3歳までの子どもは、固いものやすり潰しが大変で食べにくい物を「嫌い」と表現して、避けることがあります。

「初めて」が怖い【原因②】

「新しいものを恐れる」ことを「新奇性恐怖」と呼びます。初めての体験は大人でも怖いもの。例えば昆虫入りの料理を初めて食べるとなると、大人でもドキドキしますよね。

幼児期はいろいろなものが食べられるようになる半面、初めてのメニューとの遭遇が頻繁に起こります。その度に子どもたちはドキドキしているのです。

大人は、食べたことがないものでも色や香りで味を想像することができるので、食べてみようと思いやすいです。しかし幼児は大人ほど食経験がないので、食べてみようと思えるまで時間がかかります。

そんな時は、「これは○○(子どもが食べたことがあるもの)に似ている味だよ」と声をかけてみましょう。もしかしたら、少し食べてみようという気になってくれるかもしれません。食経験が増えると「初めて」に上手く対処できるようになります。

味覚が未発達【原因③】

味には5つの基本味があります。甘味・塩味・酸味・苦味・うま味です。

このうち酸味・苦味は本能的に嫌う傾向があります。腐ったものや毒物など体にとって避けるべきものに象徴的な味だからです。ところが、大人になるとビールや山菜など苦いものをおいしく感じるようになります。

これは、周りの大人が「おいしい」と言って食べている様子をみることや、実際に苦い味、酸っぱい味のものを食べて、安全に食べられたという経験を重ねていくことで徐々に味を受け入れられるようになるからです。

反対に、甘味と塩味は、子どもに限らず、人が本能的に好む味です。エネルギー源となる糖質は甘く、身体に不可欠なナトリウムはしょっぱいもの(塩)が豊富だからです。

食経験が浅いと、本能的な味選択傾向が強くなるため、幼児は好みに偏りが生じやすくなります。

だから、子どもに好き嫌いがあるのは当たり前のこと。成長とともに好き嫌いが減っていくことが多いので、子どもの成長を見守りましょう。

無理強いをしない! 好き嫌いが少なくなる親の声かけ術

子どもが好き嫌いをする原因はわかりましたが、あまりにも好き嫌いが激しいと「本当に成長を待つだけで解決するのかな?」と不安になってしまいますよね。

実は、好き嫌いが少なくなる親の声かけには3つポイントがあります。

決めつけ発言をしない【ポイント①】

一度食べなかった物について、「○○ちゃんは、これ嫌いなんだよね」などと親が決めつけるように発言してしまうと、子どもも「わたしはこれが嫌い」と思い込んで避けるようになってしまいます。決めつけるような言い方は避けましょう。

生活の中に「食べ物の話」を取り入れる【ポイント②】

「初めて」の怖さを和らげるには、普段の会話や絵本、遊びなどで、たくさん食べ物に触れさせてあげましょう。すると食べ物に色々なイメージが湧くようになり、「食べてみたい」という気持ちが起きやすくなります。

たとえば映画のワンシーンで、川で冷やしたきゅうりを丸かじりしているのを見ると、とてもおいしそうに見えて食べてみたくなったりしますよね。

「お肉は身体の筋肉のもとになるから、食べるとパワーモリモリになるよ」と言われると、できるだけ食べてみようと思えることもあるかもしれません。

食卓に出た時に、「この前のお話に出てきた食べ物だね!」と言える機会が増えると、少しずつ抵抗感が無くなっていきます。ぜひお気に入りの絵本を見つけてみてくださいね。

絵本の読み聞かせを楽しむ親子。 イラスト/のだかおり
絵本の読み聞かせを楽しみながら、食べ物に興味を持ってもらえて一石二鳥! イラスト/のだかおり

絵本の読み聞かせで「食育」しよう♪ 食べ物絵本おすすめ3選

フライパン ヤァ

フライパン ヤァ

加藤 休ミ(著・イラスト)

発売日:2022/11/24

価格:定価:本体1200円(税別)

おいしそうな食べ物といっしょに、不思議な響きを口に転がせば、ママもパパも、おばあちゃんもおじいちゃんもジョンもポールも、赤ちゃんといっしょに絵本を楽しめることでしょう。

よめばよむほど味が出る、パワフルでワンダフルな絵本。丈夫なボードブックで贈り物にもぴったり! 食欲増進にも。

どすこいすしずもう やさいばたけでおおあばれ!

どすこいすしずもう やさいばたけでおおあばれ!

アン マサコ(作)

発売日:2023/05/25

価格:定価:本体1400円(税別)

すし力士たちが汽車にのって遠足へ。大きな野菜たちとのおしくらまんじゅうに、手も足も出ないすし力士たちでしたが……。

食べるのだいすき よみきかせ絵本 やさいのプールびらき

食べるのだいすき よみきかせ絵本 やさいのプールびらき

苅田 澄子(文)  さとう めぐみ(絵)

発売日:2023/06/08

価格:定価:本体1400円(税別)

野菜の育つ場所や、水の浮き沈みなど、科学的な要素をちりばめられた、野菜たちがかわいらしく奮闘するお話を楽しみながら、自然に野菜と仲良くなれる一冊。

巻末には、東京理科大の川村康文先生監修の、野菜の浮き沈みに関するやさしい解説つき。子どもたちに、野菜や食べものにもっともっと親しんで、たくさん食べて元気に育ってほしいという願いをこめて送ります。

食べなさそうでもとりあえず食卓に出す【ポイント③】

「この前食べなかったし、食べなさそうだな……」というメニューでも、少しだけ盛り付けてしれっと出しましょう。出さないようにしてしまうと、苦手を克服するタイミングが失われてしまいます。

そして、「これも食べてみない?」と一言だけ声をかけて見守りましょう。食べられなくても、食べてみようとお皿を近づけてくれたら、「近くで見て、食べてみようとしたんだね!」と認める声かけを。

口に入れて飲み込む=ゴールとせず、触れた、舐めることができた、などスモールステップでほめるようにしましょう。

残すようなら、「おとうさん、このおかず大好きだからもらってもいい? ありがとう!」などと少しオーバーに伝え、おいしそうに食べる様子を見せましょう。「そんなにおいしいなら、一口食べてみようかな」と思ってくれる日が必ず訪れます。

「必ずひと口食べなさい!」などと無理強いすると、食事そのものが嫌いになってしまいます。小さいころに苦手な食べ物があったという大人も多いはず。 実は、その大半が大人になるまでに苦手を克服しているという研究結果もあります。決めつけずに、気長に見守りましょう。

〔参考文献〕
・健康日本21アクション支援システム Webサイト.
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-01-003 (accessed 2025-11-17).
・五十嵐隆. 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)実践の手引き; 公益財団法人 母子衛生研究会, 2020.
・伏木亨. おいしさの構成要素とメカニズム. 栄養学雑誌 2003, 61 (1), 1–7.
https://doi.org/10.5264/eiyogakuzashi.61.1.
・堀尾強. 嫌いな食品の嗜好変化に関する研究. 研究紀要 2012, 13, 115–123.
・幼児期の健やかな発育のための栄養・食生活支援に向けた効果的な展開のための研究 | 厚生労働科学研究成果データベース. https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/156150 (accessed 2025-06-16).

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奥野 由
おくの ゆい

奥野 由

Yui Okuno
管理栄養士・母子栄養指導士®

小学生の母親。大阪府出身・在住。自身の出産を機に母子栄養指導士を取得。 一般社団法人母子栄養協会認定講師として離乳食アドバイザー・幼児食アドバイザー資格講座や、子育て支援施設における離乳食・幼児食講座、専門職向け研修会などに講師として登壇。離乳食・幼児食レシピ本のレシピ作成やベビーフードなどの商品監修、専門誌への寄稿なども行う。 前職は冷凍食品の研究開発職で、加工食品を上手に取り入れ「手軽に・おいしく・楽しい食卓」を広めるために奮闘中。 HP:https://foomilab.com/ 母子栄養協会HP:https://boshieiyou.org/

小学生の母親。大阪府出身・在住。自身の出産を機に母子栄養指導士を取得。 一般社団法人母子栄養協会認定講師として離乳食アドバイザー・幼児食アドバイザー資格講座や、子育て支援施設における離乳食・幼児食講座、専門職向け研修会などに講師として登壇。離乳食・幼児食レシピ本のレシピ作成やベビーフードなどの商品監修、専門誌への寄稿なども行う。 前職は冷凍食品の研究開発職で、加工食品を上手に取り入れ「手軽に・おいしく・楽しい食卓」を広めるために奮闘中。 HP:https://foomilab.com/ 母子栄養協会HP:https://boshieiyou.org/