
「100分de名著」にも出演! 宮崎哲弥さんスペシャルインタビュー前編
『100 万回生きたねこ』と「『100万回生きたねこ』のナゾを解く」について
2026.07.09
写真/市谷明美
1977年に出版された佐野洋子の絵本『100万回生きたねこ』。世代を超えて長く愛されてきた本作は、2027年10月に刊行50周年を迎えます。2026年2月、テレビやラジオなどで活躍する評論家・宮崎哲弥さんが、『100万回生きたねこ』がはらむさまざまな“ナゾ”に迫る著書『『100万回生きたねこ』のナゾを解く』を上梓しました。えほん通信では、宮崎さんにスペシャルインタビュー。著作執筆に至った経緯や、作品に感じる魅力について語っていただきました。

祖父の本棚で出会った『100万回生きたねこ』
──宮崎さんが『100万回生きたねこ』を知ったきっかけを教えてください。
宮崎哲弥さん(以下宮崎さん):私が『100万回生きたねこ』とはじめて出会ったのは、同居していた祖父の書架でした。この人は医師だったのですが、同時にかなりの本好きで、家にありとあらゆるジャンルの書物がそろっていたのです。
『100万回生きたねこ』は、当時本屋さんが定期購読していた月刊誌などとともに、新刊をはじめ話題の書を適当に見繕って家に届けてくれていたので、そのなかに含まれていたんだと思います。大判の絵本があるのが珍しかったので、手に取ったという次第。
まあ15歳くらいですから、知的にも血気さかんで(笑)、絵本をのんびり味わうという姿勢はなかったんですが、何となく表紙の「とらねこ」の表情やたたずまいに惹かれたんですね。これはキーとなる絵本だという直感はあった。
その時分は文学でいえば、SFや幻想的だったり寓話的だったりする作品を好んで読んでいました。そういう本は家には届かないので、自分で買っていたんです。だからこの本は異例でした。
最初、ちょっと変わった話だなと思ったのです。主人公の「とらねこ」が何度も生まれ変わってきたのはわかるけど、これがそこらのヤワな転生話ではないのです。
何と100万年のあいだに100万回生まれ変わり死に変わりして、100万人に飼われてきた。しかもその100万回の生のことを「とらねこ」はしっかり憶えています。つまり100万年もアイデンティティを維持したままで存在し続けてきたということです。考えてみるとトンデモない設定ですよね。
この設定の不思議については、いまでは極めて重要な意味があるということがわかります。そのほかにも幾多のナゾがあるのですが、10代のころは、とてもすんなり読めるようなものではなく、このときにはナゾの解明に取り組むことなく、そのままスルーして本棚に戻してしまったのです。
宮崎哲弥さん(以下宮崎さん):私が『100万回生きたねこ』とはじめて出会ったのは、同居していた祖父の書架でした。この人は医師だったのですが、同時にかなりの本好きで、家にありとあらゆるジャンルの書物がそろっていたのです。
『100万回生きたねこ』は、当時本屋さんが定期購読していた月刊誌などとともに、新刊をはじめ話題の書を適当に見繕って家に届けてくれていたので、そのなかに含まれていたんだと思います。大判の絵本があるのが珍しかったので、手に取ったという次第。
まあ15歳くらいですから、知的にも血気さかんで(笑)、絵本をのんびり味わうという姿勢はなかったんですが、何となく表紙の「とらねこ」の表情やたたずまいに惹かれたんですね。これはキーとなる絵本だという直感はあった。
その時分は文学でいえば、SFや幻想的だったり寓話的だったりする作品を好んで読んでいました。そういう本は家には届かないので、自分で買っていたんです。だからこの本は異例でした。
最初、ちょっと変わった話だなと思ったのです。主人公の「とらねこ」が何度も生まれ変わってきたのはわかるけど、これがそこらのヤワな転生話ではないのです。
何と100万年のあいだに100万回生まれ変わり死に変わりして、100万人に飼われてきた。しかもその100万回の生のことを「とらねこ」はしっかり憶えています。つまり100万年もアイデンティティを維持したままで存在し続けてきたということです。考えてみるとトンデモない設定ですよね。
この設定の不思議については、いまでは極めて重要な意味があるということがわかります。そのほかにも幾多のナゾがあるのですが、10代のころは、とてもすんなり読めるようなものではなく、このときにはナゾの解明に取り組むことなく、そのままスルーして本棚に戻してしまったのです。
『100万回生きたねこ』(佐野洋子 作・絵/講談社)より ©JIROCHO, Inc. / KODANSHA
その後『100万回生きたねこ』と再会したのは、30代のはじめごろですかね。人から誕生日にプレゼントされて改めて手にしたんですよ。ちょうど絵本というメディアに興味を持ちはじめていたので、これ幸いと読み直したのです。
とても驚きました。永遠に続くような輪廻設定も、テレビのチャンネルのようにパッパッと切り替わっていく転生エピソードの提示も、極めて意図的に仕組まれたもので、すべて大きなテーマを浮き立たせるための、絵本ならではの趣向であることがわかったからです。
とても驚きました。永遠に続くような輪廻設定も、テレビのチャンネルのようにパッパッと切り替わっていく転生エピソードの提示も、極めて意図的に仕組まれたもので、すべて大きなテーマを浮き立たせるための、絵本ならではの趣向であることがわかったからです。






























