絵本新人賞受賞・はっとりひろきの『いっぺん やって みたかってん』制作日記
第39回 講談社絵本新人賞受賞作家の受賞からデビューまで 第3回「原画が完成しました。」
2021.04.28
前回の制作日記を書いてからも、原画を描き続ける怒涛の日々が続きました。僕のわがままで、全ての原画の描き直しをさせて頂いていたので、まずは新人賞に提出した時の原画に負けていないか、そして自分の絵になっているのかを1枚1枚比較しながら描きました。余裕のあるスケジュールで進めていたのですが、絵を描いていると没頭してしまって、時間はあっという間に過ぎます。とにかく提出期限は必ず守れるようにと、日々、カレンダーとにらめっこしながらの作業でした。
そして、本文の原画は、提出期限の2日前にようやく完成しました。その後、塗り残し等がないだろうかと再度確認したあと、明日の郵送で間に合うと思い、夕暮れどきにひと休みして天気予報を見ていました。すると、東京は雪が積もっているらしいのです。雪が降ったら大変だろうなあ。車も電車も厳しいなあ。うんうん。大渋滞だし荷物も届かないな。東京が雪ねえ……。そうかそうか……。届かない、届かない……。
届かないー!
「明日の郵送じゃ原画が届かないかも―!」
ということで、そこからあわてて梱包しました。濡れないように、外からもテープでぐるぐる巻きにして、雪がちらつく中、その日のうちになんとか宅急便にすべり込みセーフで発送しました。次の日はちょうど、(シ)さんと 電話で打ち合わせの日。
無事に原画が届いたと聞いて、ほっとしました。
それまで並行して進めていた表紙のラフも、ゴーサインが出て、それと共に描き文字と見返しも描く事になりました。描き文字というのは、絵本の中の手書きの文字の事です。僕は、これを自分が描くものとは思っていなかったので、びっくりしました。
ひとつの文をいろんなパターンで画用紙に描きました。これもまた楽しい作業でした。何種類もあったのですが、その中の1枚がこんな感じです。(梱包前にパチリ)
そして1月末ごろには表紙の原画も無事に出来あがり、原画を描く作業はひとまず終わりました。描き文字や見返しとともに送りだした時、自分から巣立っていったような、そんな気持ちになりました。次回の打ち合わせの時には、印刷された姿が見られるということなので、またドキドキしながら、その日を待ちたいと思います。そして、この制作日記でも、その様子をお伝えしたいと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
はっとり ひろき
1978年岐阜県海津市生まれ。小さいころから絵を描くことと、F1が好きだった。高校卒業後、建設機械及びフォークリフトの整備士として勤める傍ら、絵本作家を目指す。2016年よりメリーゴーランドの絵本塾に通う。 2017年、『いっぺん やって みたかってん』で第39回講談社絵本新人賞受賞。三重県在住。2児の父。
1978年岐阜県海津市生まれ。小さいころから絵を描くことと、F1が好きだった。高校卒業後、建設機械及びフォークリフトの整備士として勤める傍ら、絵本作家を目指す。2016年よりメリーゴーランドの絵本塾に通う。 2017年、『いっぺん やって みたかってん』で第39回講談社絵本新人賞受賞。三重県在住。2児の父。