第39回(2017年)講談社絵本新人賞 選考経過・報告

幼児図書編集部

開封速報! 2017.6.30

2017年6月15日をもって応募を締め切りした第39回講談社絵本新人賞、先日新人賞事務局で開封作業を行い、応募作品総数は590作品となりました。前年より12作品増です。たくさんのご応募ありがとうございます。
今後、第一次選考通過作品を7月中旬に、第二次選考通過作品を7月下旬に発表いたします。どうぞ楽しみにお待ちください。
今年の開封後の状況です。これからどんな作品に出会えるのか、楽しみです。

中間報告 第一次選考結果 2017.7.14

第39回絵本新人賞は、590作品もの応募をいただき、目下選考作業中です。第一次選考では54作品が通過しました。今後、第二次選考、最終選考結果を随時お伝えする予定ですので、楽しみにお待ちください。また、応募してくださった方々の作品は、8月から9月にかけて返却の予定です。

第一次選考通過作品

『パイナップルおやじのからあげや』 綾野本汰
『ねんりんのぐるじいとくるり』 赤司博城
『なかにわのやくしゃさん』 近藤未奈
『びっくり!どうぶつまんじゅう』 浅倉めぐ
『コンテナのコンタのおはなし』 ホークスみよし
『どうぶつえんのカラス』 くめさとえ
『おいらとあいつ』 坪井奏
『ようこそハトまちへ』 ハナウタユキ
『うれないふたごのケーキ』 シマダナオ
『のはらのキーポ』 すわりん
『ふしぎなえんそく』 弓削真由子
『おうちさん』 おしべ
『なんじなんぷんなんじゅうびょう?ちきゅうがなんかいまわったとき?』 たまむらさちこ
『じいちゃんのまほうのめ』 おきたえみ
『はんぶんこ』 倉持祥
『ほこりのコリー』 なかい かおり
『じゃんけんぽんっのともだち』 オノガワ アサコ
『サンタさんへのおくりもの』 黄 くみこ
『ボクの机にハエがとんできた』 若杉幸花
『イーサンとあかいボール』 酉山 ぷい
『パンケーキをいっしょに』 都森くらり
『大阪がまがえる』 里谷真吾
『あしたてんきになあれ』 阪幹子/阪吉章
『かもしれない』 しらいし さと
『かくれもり』 降幡好華
『つきよに』 ナオト
『まきおくんとどろんこちゃん』 鈴木高徳
『きみにはみえるかな』 なかもと しゅう/北村絵理
『ひみつのかばん』 青葉 樹奈
『ぷるるん せんしゅけん』 いちたに みよこ
『うんこともうします。』 小林希
『かわのしんごうき』 木奈栗どん
『まって まって ちょっと まって』 そらの みみた
『たまごのえほん』 としま ゆうこ
『ロボピーのたんじょうびプレゼント』 タクト/ジュラ
『いっぺん やって みたかってん』 はっとり ひろき
『おばあちゃんのミシン』 米山光/秋山拓
『たいりょうあみ』 たかし まな/たかし まり
『つみきのまちをつくっちゃお』 梅原万奈
『おいしいあめ』 近藤万里恵
『ペットボトルまじん』 TOTOKAKA
『どせいのわっか』 瀧このみ
『かくれんぼするものこのゆびとまれ』 奥野哉子
『あかさんあおさんのいちにち』 まえださやか
『小ぼうず とん・ちん・かん』 ただのぶこ
『ごろちゃんとでんしゃ』 いいづかみこ
『ねこのぼうし ねずみのぼうし』 さとうまなぶ
『かめのおじさん』 渋沢 恵美
『ふうがわりな おきゃくさん』 土井りつ子
『なかないで はなちゃん』 たけかわゆうこ
『レインボ-ジ-ノ』 安陪由李佳
『せみ山で』 しょうじ りお
『そらとぶくじら』 たまがわきよみ
『かえるのおてんき』 中村紅葉

中間報告 第二次選考結果 2017.7.31

第39回絵本新人賞は、590作品もの応募をいただきました。
第一次選考で54作品に絞られた後、第二次選考では20作品が通過しました。
次回は、最終選考結果をお伝え出来る予定です。楽しみにお待ちください。

第二次選考通過作

『コンテナのコンタのおはなし』 ホークスみよし
『ようこそハトまちへ』 ハナウタユキ
『なんじなんぷんなんじゅうびょう?ちきゅうがなんかいまわったとき?』 たまむらさちこ
『ほこりのコリー』 なかい かおり
『イーサンとあかいボール』 酉山 ぷい
『かもしれない』 しらいし さと
『かくれもり』 降幡好華
『ぷるるん せんしゅけん』 いちたに みよこ
『かわのしんごうき』 木奈栗どん
『いっぺん やって みたかってん』 はっとり ひろき
『ペットボトルまじん』 TOTOKAKA
『どせいのわっか』 瀧このみ
『かくれんぼするものこのゆびとまれ』 奥野哉子
『あかさんあおさんのいちにち』 まえださやか
『ごろちゃんとでんしゃ』 いいづかみこ
『ねこのぼうし ねずみのぼうし』 さとうまなぶ
『かめのおじさん』 渋沢 恵美
『ふうがわりな おきゃくさん』 土井りつ子
『なかないで はなちゃん』 たけかわゆうこ
『せみ山で』 しょうじ りお

最終選考結果 新人賞1作品、佳作2作品が決定! 2017.8.8

第39回講談社絵本新人賞最終選考会は、審査員に4名の先生方(木坂涼先生、はたこうしろう先生、松成真理子先生、村上康成先生)を迎え、本社・幼児図書編集長を加えた5名で、講談社にて行われました。
今回の応募総数は、590作品。一次選考で54作品に絞られた後、二次選考で残った20作品をもって最終選考が行われました。選考会後半には、数作品を前に激論が交わされ、厳正な審査の結果、新人賞は、はっとりひろきさんの『いっぺん やって みたかってん』に決定しました。佳作は、ハナウタユキさんの『ようこそハトまちへ』、いいづかみこさんの『ごろちゃんとでんしゃ』が選出されました。受賞者のみなさま、おめでとうございます。
新人賞
正賞:賞状・記念品 副賞:50万円・単行本として刊行
『いっぺん やって みたかってん』 はっとりひろき(三重県)

佳作
正賞:賞状 副賞:20万円
『ようこそハトまちへ』 ハナウタユキ(神奈川県)
『ごろちゃんとでんしゃ』 いいづかみこ(東京都)


なお、初版刊行時印税は、賞金に含まれます。
第39回 講談社絵本新人賞 最終選考会の様子。

審査員の先生方の選評(五十音順)2017.8.31

木坂涼 先生

木坂涼 先生
今年の応募作品には、テーマへのアプローチの仕方に、独自の視点を盛り込んだ力作が多かったように思います。文句なしに絵の上手な作品もあって、思わず「うっま~い!」と目を見張りました。新人賞に選ばれたのは『いっぺん やって みたかってん』。子どもたちのいない雨降りの公園で遊具たちが遊びだす。絵に迫力もあるし、お国ことばの文も合っている。ラストを書き変えたい思いは欲というものかな。佳作『ようこそハトまちへ』は、フンを落とすハトと、よける人間の攻防戦がたのしいですね。絵は半立体で、刺繍で描いたことも効果的でした。『ごろちゃんとでんしゃ』は、絵とお話に妙な魅力があってほのぼの。この「妙な魅力」が強みです。今後もキープしてほしいなと思います。

はたこうしろう 先生

はたこうしろう 先生
今年も新鮮な作品がそろい、選考は難しくも楽しい時間となりました。新人賞『いっぺん やって みたかってん』は、あっと驚く展開に一気に心を持って行かれました。それも、難しいシーンの絵を簡潔に描ききる力があったからです。今後を期待したいと思います。『ようこそハトまちへ』は、鳥の糞をテーマ にしながらも、布と刺繍を使ったことで、きれいで可愛らしく表現されていました。「動き」をもっと上手に表現できればさらに面白い作品になると思います。『ごろちゃんとでんしゃ』は、不思議なことが次々起こる楽しい作品です。はちゃめちゃになりがちな展開ですが、とぼけた熊のキャラクターが押さえを効かして笑いに変えてくれていました。

松成真理子 先生

松成真理子 先生
『いっぺん やって みたかってん』は擬人化された3種の遊具たちの奔放な遊びっぷりが勢いに乗って新人賞へ。『ようこそハトまちへ』は3羽のハト達の悪だくみが刺繍絵の手法で軽やかに表現されて成功しています。『ごろちゃんとでんしゃ』は広々とした草原の隅っこに居るクマの親子の素朴でのんきなたたずまいのしあわせ感がいい。絵本は絵と文の両方が、ここちよく重なって展開していくことが大切です。今年は画力優先の作品が多いように思いました。『イーサンとあかいボール』の画力。ここにドキドキする転換が加わればと惜しい作品でした。今年も様々な創作絵本に出会い、まだまだ絵本の未来は果てしないのだと喜んでいます。

村上康成 先生

村上康成 先生
最終選考まで残る作品は、やはり絵の魅力を感じるものが多い。ただ、この中で、賞候補に残っていくものは、自分の信念と向かい合っているエネルギーが、湧いて出ている。そのためには、何度も何度も、紙も心もボロボロになるまで、推考することなのである。『いっぺん やって みたかってん』は、読者を素直にその気にさせ、発揚させる説得力のあるナンセンス。最後のキレが決まれば、ユーモアと緊張感のあるしゃれた作品になりそう。佳作の『ごろちゃんとでんしゃ』は、別次元のナンセンス力を持つ絵である。この力は、やはり作者の気持ちの本物さである。『ようこそハトまちへ』は、刺繍の柔らかさに、展開がラジカルという裏切りが、次をめくらせた。鳩の後ろ姿を思わず撫でてしまった。ただ、刺繍の手触りは印刷には危うい。

受賞者の言葉 2017.9.29

新人賞
『いっぺん やって みたかってん』 はっとりひろき(三重県)
『いっぺん やって みたかってん』より
はじめまして、はっとりひろきです。
この度は、第39回講談社絵本新人賞に選んで頂き選考委員の先生方、編集部の皆様、応援して下さった方々、本当にありがとうございました。
今まで学んできた事を踏まえ、自分が楽しみながら作った作品で受賞できた事に大きな喜びを感じています。
まだ実感はありませんが、毎日ドキドキそして、わくわくしています。自分一人の力だけでの結果ではないという事を忘れず、良い作品を作っていきたいです。
『いっぺん やって みたかってん』より
佳作
『ようこそハトまちへ』 ハナウタユキ(神奈川県)
『ようこそハトまちへ』より
受賞のお電話をいただいた時、夕飯の支度をしていたので、あわてて火を止めました。
そして「ドッキリですか?」ときいてしまいました……。
そんな私ですが、佳作をいただきありがとうございます。
とても光栄です。
ただ、ふつふつと残念に思う自分もいて……出版したいという気持ちが強かったことにも、いま驚いています。
まだまだこれからですので、精進します。
最後に、絵本新人賞を支えられている皆様、お世話になった皆様、家族に感謝します。
これからも見守っていただけると嬉しいです。
佳作
『ごろちゃんとでんしゃ』 いいづかみこ(東京都)
『ごろちゃんとでんしゃ』より
この度は、佳作に選んでいただき、ありがとうございます。
「ごろちゃんとでんしゃ」は、駅で小さい子供がお母さんと一緒に、電車を見ている姿を見かけたことがアイデアのきっかけでした。そこから発想が、飛んだり跳ねたり、伸びたり縮んだりして、この作品ができました。これから面白い作品をたくさん作りたいです。そのために、地道に努力をしていきたいと思います。受賞は大きな励みになりました。ありがとうございました。

講談社絵本新人賞の贈呈式が行われました 2017.10.17

2017年9月13日(水)に、講談社絵本新人賞・児童文学新人賞の贈呈式が行われました。

今年の絵本新人賞は、新人賞1作、佳作2作が選ばれました。受賞者の前途を祝し、選考委員の先生方をはじめ、書店の方、マスコミ関係者、歴代の新人賞受賞者など、たくさんの方がご出席くださいました。
最前列に、児童文学新人賞、絵本新人賞の受賞者の方がずらりと並びました。
贈呈式後の記念撮影。左から佳作のハナウタユキさん、新人賞のはっとりひろきさん、佳作のいいづかみこさん。いいづかさんは2015年に引き続き、2回目の佳作受賞となります。
贈呈式後、パーティーに移りました。審査員の松成先生とお話されるはっとりさん。
木坂先生のお話に、熱心に耳を傾けるハナウタさんといいづかさん。
会場には受賞作も展示され、書店さんやマスコミの方などにも見ていただきました。
今年は、児童文学新人賞の受賞作が4作と多作で、にぎやか贈呈式となりました。
この受賞作が、どのような絵本になってみなさんの元へ届くのか、どうぞ楽しみに。
そして、来年のご応募もお待ちしております。