第42回(2021年)講談社絵本新人賞 選考経過・報告

幼児図書編集部

中間報告 第一次選考結果 2021.8.11

第42回絵本新人賞は、579作品もの応募をいただき、目下選考作業中です。第一次選考では50作品が通過しました。今後、第二次選考、最終選考結果を随時お伝えする予定ですので、楽しみにお待ちください。

第一次選考通過作品

『月のおとしもの』 黒猫T郎
『みずをしらない おさかな』 たかしろひばち
『じごくの 2ちょうめ 5ばんち 9ごう』 玉田美知子
『ぼくの Tシャツ』 もちづきかおり
『しゃもじいさん』 シブサワ恵美
『キャンプってさいこう!』 佐藤茜/石原京子
『たいへんです ていでんです』 宍倉雄介
『ガチャガチャかいじゅうドドババ』 宍倉雄介
『ぼくのトマトはなまけもの』 わびみよ
『おさんぽびより』 バオバブの木
『ブーヒとホットケーキおうじ』 ながのぐう
『いっしょにガウー』 えむらゆか
『カエルホテル』 藤本博子
『色ガラスのイヤリング』 あおはるか
『ばんそこ ぺたっと』 モリヤユメコ
『あことおふとん』 モリヤユメコ
『2ひきのネコとテーブルクロス』 砂川かおり
『よるのぼうけんれっしゃ』 佐伯朋子
『のらねこノラ』 すげいずみ
『りゅうのすすむほうへ』 前田花
『カーテンレールのでんしゃ』 山﨑たかし
『タコとだいこん』 伊佐久美
『かおが だんだんに かさなった』 黒木敏記
『みがきやのニッタさん』 とおちかあきこ
『けいとのせーこちゃん』 榊原悠介
『がらくた村のがまぐちばあちゃん』 いちたにみよこ
『あまざけうり』 魚住雄一
『もぐらゆうびんきょく』 くめとしまさ
『まちのはいたつやさん』 kei saito
『しゅやくはコーン』 むつもとむつみ
『きのこがくるよる』 たけかわゆうこ
『アイのびんづめ』 羽根鈴乃
『はいしゃのごろうせんせい』 メグミミオ
『ハンバーグたべて~』 メグミミオ
『のびのびらーめん』 おりとしのぶ
『レストランのイスやすみ』 いげたゆかり
『だしたいおとは どんなおと?』 岩橋佳那
『あきのえんそく』 むらたゆり
『ぼくは すごうで マッサージし』 小林雅枝
『みぎてちゃんと、ひだりてちゃん』 相澤一貴/星川達朗
『グーピーとちいさなおともだち』 鳥美山貴子
『ライスじま』 奈央キミコ
『おじいちゃんの すてきな えほん』 としまゆここ
『さいごは池のほとりで』 山本瑞
『ぼくはん』 山崎由貴
『げきじょう』 はせがわまり
『バス停閻魔堂前一丁目』 阪吉章/阪幹子
『おばあちゃん ほらっ!』 本間希代子
『お』 おくむらたかこ
『ハラハラでんしゃ』 小林友希代

中間報告 第二次選考結果 2021.8.30

第42回絵本新人賞は、579作品もの応募をいただきました。
第一次選考で50作品に絞られた後、第二次選考では21作品が通過しました。
次回は、最終選考結果をお伝え出来る予定です。楽しみにお待ちください。

第二次選考通過作

『じごくの 2ちょうめ 5ばんち 9ごう』 玉田美知子
『しゃもじいさん』 シブサワ恵美
『ガチャガチャかいじゅうドドババ』 宍倉雄介
『ぼくのトマトはなまけもの』 わびみよ
『ブーヒとホットケーキおうじ』 ながのぐう
『いっしょにガウー』 えむらゆか
『カエルホテル』 藤本博子
『あことおふとん』 モリヤユメコ
『よるのぼうけんれっしゃ』 佐伯朋子
『のらねこノラ』 すげいずみ
『カーテンレールのでんしゃ』 山﨑たかし
『タコとだいこん』 伊佐久美
『けいとのせーこちゃん』 榊原悠介
『がらくた村のがまぐちばあちゃん』 いちたにみよこ
『もぐらゆうびんきょく』 くめとしまさ
『きのこがくるよる』 たけかわゆうこ
『ハンバーグたべて~』 メグミミオ
『のびのびらーめん』 おりとしのぶ
『レストランのイスやすみ』 いげたゆかり
『ライスじま』 奈央キミコ
『ハラハラでんしゃ』 小林友希代

最終選考結果 新人賞1作品、佳作2作品が決定! 2021.9.21

第42回講談社絵本新人賞最終選考会は、審査員に4名の先生方(木坂涼先生、はたこうしろう先生、松成真理子先生、村上康成先生)を迎え、本社・幼児図書編集長を加えた5名で行われました。
今回の応募総数は、579作品。一次選考で50作品に絞られた後、二次選考で残った21作品をもって最終選考が行われました。選考会後半には、数作品を前に激論が交わされ、厳正な審査の結果、新人賞は、伊佐久美さんの『タコとだいこん』に決定しました。佳作は、玉田美知子さんの『じごくの 2ちょうめ 5ばんち 9ごう』、メグミミオさんの『ハンバーグたべて~』が選出されました。受賞者のみなさま、おめでとうございます。
新人賞
正賞:賞状・記念品 副賞:50万円・単行本として刊行
『タコとだいこん』 伊佐久美(東京都)

佳作
正賞:賞状 副賞:20万円
『じごくの 2ちょうめ 5ばんち 9ごう』 玉田美知子(神奈川県)
『ハンバーグたべて~』 メグミミオ(東京都)


なお、初版刊行時印税は、賞金に含まれます。

審査員の先生方の選評(五十音順)2021.11.09

木坂涼 先生

木坂涼 先生
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新人賞に決まった『タコとだいこん』は、ある日、タコが「だいこんたべたい」と思うところから始まる。どうして大根だったのかは分からない。必然性を問わずとも、ぽーんと読ませる力があり、場面の構図も色合いも、潔い簡潔さが光る。『じごくの2ちょうめ5ばんち9ごう』は、意味深なページ運びが効果を生んでいる。ラストがしり切れトンボのようになってしまったのが惜しまれた。『ハンバーグたべて~』は、ハンバーク愛に満ちた作品。ハンバーグを口にした時の「さいこう」具合を、もう少し独自の言葉で語ってほしかった。応募作品全体の感想は、毎度のことながら、絵の完成度の高さに目を見張った。「文」の方は「筋」に終わってしまっていないか。そう思わされる作品が少なからずあった。物語としての言葉、「感じる」という余韻。絵本作りでこれも大切にしたいこと。

はたこうしろう 先生

はたこうしろう 先生
最優秀の『タコとだいこん』は画面をつくるセンスが良く、絵はシンプルだが想像を喚起させる。民話のような奔放さがあり、終盤、心地よい着地があったが、もっと豪快に描けば開放感が倍増するだろう。佳作の『じごくの2ちょうめ5ばんち9ごう』はホラーサスペンス絵本と言うべきか「怖さ」を楽しませてもらった。手を抜かず描かれた絵も効果的だったが、痛い絵を描かずに「怖いけど楽しい」を表現できればもっと良かった。『ハンバーグたべて〜』はオチまでぐいぐいと引っ張られる構成が良い。説明的な文を精査すればずっとよくなると思う。読後、食べ方の流儀は「人それぞれで自由なのだ」という哲学が感じられるのが良い。3作品とも独特の視点が面白かったと思う。

松成真理子 先生

松成真理子 先生
新人賞の『タコとだいこん』は言葉、絵、共にシンプルで強く、あざとさのないナンセンスのヌケ感が秀逸でした。今回は物を擬人化した作品も多く、物を生命あるものとして表現することは難しいですが、ページ数以外は何でもありの絵本の世界は、読み手に響けば良いのです。食べ物のテーマでは、おいしそうなことが大事。佳作の2点は1冊の絵本の土台となるストーリー展開が練られていること、絵と向き合う真面目さ丁寧さで、最終まで残り続けました。どこにもないお話を探して見つけて、それぞれの色で線で糸で絵具で言葉を紡ぎながら創る絵本の楽しさ。言うのは簡単、実行は大変。がんばったすべての作品たちに拍手を贈ります。ちょっとだけ休んで、続けて行くこと。たぶんそれが創作のコツです。

村上康成 先生

村上康成 先生
●『タコとだいこん』、奇をてらうことなく奇であり、タコの魔性的魅力のリアリティで、潔くナンセンスが通り抜けた一作。タコの心情と同様に心地よさに包まれた。画面的には文字ページの黒とあいまって、夜の港の表現は息を飲む。闇の色と月あかりの青、すーっと伸びた赤いタコの足、間と緊張が美しい。ただ、表紙を含め後半の描き方など、惜しいところも抱えている。●『ハンバーグたべて~』、定点観測の厚盛の描写を引力に、ページをめくらせた。肝心のおじさんの納得の食べっぷりの描写が見たかった。●『じごくの2ちょうめ5ばんち9ごう』、おどろおどろしい描写にそそられるが、オチの安堵感の描写はもの足りない。※選外含め総論として、絵本を作り上げたつもりでも、100回でも開いてみたいと思う作品かどうか。手がけている絵本の魅力にもっと迫ってほしい。

受賞者の言葉 2021.11.09

新人賞
『タコとだいこん』 伊佐久美(東京都)
『タコとだいこん』より
高校生の時、絵の仕事をしたいと考え美大受験のための予備校に通い始めました。
ビックリしました。私はとても絵が下手だったのです。
浪人してなんとか受かりましたが、そのあと絵を描くことはありませんでした。
そして30年たち、とつぜん絵を描きはじめました。やっぱり下手なままでしたが、
誰かに見せたくて、絵本新人賞に応募することにしました。
審査をする方々には必ず見てもらえると考えたのです。ずうずうしいですね。
そんな風に応募したタコとだいこんが新人賞をいただいてしまいました。
ビックリしました。
これからも描いていきたいと思えました。ありがとうございました。
佳作
『じごくの 2ちょうめ 5ばんち 9ごう』 玉田美知子(神奈川県)
『じごくの 2ちょうめ 5ばんち 9ごう』 より
最初に「じごくの2ちょうめ」というタイトルから思いつき、それはどんな場所なのか、そこに住む人はどんな人なのかと、アイデアを膨らませてできた作品です。
少ない情報から自分が想像したものと、実物が全く異なっている、という誰しもある体験をもとに描きました。
これから、子どもたちが何度も読み返してくれるような絵本を作れたら、何より嬉しいです。
この度は選出いただき本当に光栄です。ありがとうございました。
佳作
『ハンバーグたべて~』 メグミミオ(東京都)
『ハンバーグたべて~』 より
去年、募集がなく残念だったのですが、「来年2作品応募しよう」と、すぐにスケジュールを組みました。
推敲に推敲を重ね、絵もテキストもギリギリまで直し続け、粘りの2作品を応募する事ができました。
じっくり作った作品が佳作に選ばれ、本当に嬉しいです。今年、募集をしてくださり、感謝申し上げます。
そして選んでくださり、ありがとうございました。

講談社絵本新人賞の贈呈式が行われました 2021.11.09

第42回講談社絵本新人賞の贈呈式。
2021年10月7日(木)に、講談社絵本新人賞の贈呈式が行われました。感染症対策として、関係者のみの少人数での開催です。

会場には、選考委員の木坂涼先生、はたこうしろう先生、松成真理子先生、村上康成先生。そして、受賞者の伊佐久美さん、玉田美知子さん、メグミミオさんが集まりました。

賞の贈呈後は、選考委員の方々より、選評とお祝いの言葉をいただきました。選考委員の方々からのありがたいお言葉に、受賞者のみなさんも真剣に聞き入っていました。
前列左から、メグミミオさん、玉田美知子さん、伊佐久美さん。
選考委員の方々からのお話が終わると、次は受賞者の3人から、喜びのスピーチと合わせて、これまでの応募作品づくりの奮闘エピソードが披露されました。

式の最後には、作品の原画を見ながら、選考委員の方々と受賞者のみなさんでご歓談。選考委員の方々から直接お話を聞くことのできる、貴重な時間になりました。
選考委員のはた先生と、原画を見ながら真剣にお話しする伊佐さん。
選考委員の村上先生とお話される玉田さん。
原画をじっくりご覧になる選考委員の木坂先生と松成先生に、少し緊張されているメグミさん。
関係者のみの贈呈式となりましたが、あたたかい贈呈式になりました。

新人賞を受賞した『タコとだいこん』は、来年刊行予定。どのような絵本になって発売されるのか、どうぞお楽しみに。来年のご応募も、お待ちしております!
左から、玉田美知子さん、伊佐久美さん、メグミミオさん。
※撮影時のみマスクを外しています。
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