2021.12.01

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第35回(2013年)講談社絵本新人賞 選考経過・報告

幼児図書編集部

審査員の先生方の選評(五十音順)

大島妙子先生

『てがみぼうやのゆくところ』は、古い外国の絵本の絵のようで魅力的でした。誰もが「好き」なタイプの絵本になりそう。佳作では『ボクんちたてかえます』関西弁と絵がマッチしててよかった。『あそこまで』完成されていない、すごい力を秘めてそうな……? 『なんと! ようひんてん』おじいさんの人魚姿がいまだに目に焼きついて離れず困ってます(笑)。入選作以外にもいろいろありました。『みんな みんな みんな おばけ』の繊細な線に惹かれました。おばけ以外の作品も見てみたい。『あかさんとあおさん』思わず笑っちゃったほど発想が面白かっただけに絵が少し残念でした。『ロボイチ』いいお話。ラストもよかった。みなさん、すごいなあ。

こみねゆら先生

新人賞の『てがみぼうやのゆくところ』は色がおしゃれで可愛くて、かろやかな線が、町や村の景色の中に無理なく読者を連れて行ってくれます。とてもうまい人ですね。黄金期のアメリカの絵本を見ているような安心感がありました。佳作の『なんと! ようひんてん』も支持の多い作品でした。試着室の冒険が予想を超える展開続きで、わくわくしました。おもしろかった! 選には残らなかったのですが『ロボイチ』に心惹かれました。電車の座席に座っている姿も愛おしかった。今回の審査は、審査員のお気に入りの作品がばらばらだったことも興味深かったです。描く人それぞれの本気の表現が、きっとどこかで誰かの心を動かすということでしょうか。

中川ひろたか先生

まず、新人賞の『てがみぼうやのゆくところ』ぼくの中では、抜群でしたね。絵も可愛いし、話も破たんしてない。なんか、あたりまえな展開って批評もありましたが、それは、逆に心地よい「安心感」を生みました。『あそこまで』は、絵が、かなり好き。ぎりぎりの所を勝ち抜いて来たその運の強さは、尋常じゃない。場面場面に1本の流れ、ストーリーがあったらよかったと思うんだけど、どう? 『なんと! ようひんてん』試着という設定が、話をぎくしゃくさせたと思うな。ぼくだったら、福袋にするんだけどな。『ボクんちたてかえます』絵が好き。でも、なんか、言うほど、スゴい家だったか? 最後、虹にいっちゃったのが、なんだかなぁ。

宮西達也先生

切り口のちがった楽しい絵本が沢山でした。と言うことで、審査員の推すNo.1が全員違った。『てがみぼうやのゆくところ』雰囲気のあるステキな絵でした。キャラクターも丁寧にかかれていた。『あそこまで』狙いが素晴らしかった。肩の力をぬいた絵もよかった。『なんと! ようひんてん』構図が素晴らしかった。アイテムもよかったし、絵だけで笑わせてもらった。『ボクんちたてかえます』ページをめくる楽しさがある本でした。絵の細かいところも楽しかったし、大阪弁もええなぁ。賞には入らなかったが『あかさんとあおさん』二人の生活ぶりにふきだした。『にんじんさん』キャラクターもいいし、ヘンテコなお話もよかった。『ねことさむらい』のナンセンスさもよかった。

2013年9月11日(水)に、講談社絵本新人賞の贈呈式が行われました

今年の絵本新人賞は、新人賞1作、佳作3作の大豊作!
4人の受賞者の前途を祝し、選考委員の先生方をはじめ、書店の方、マスコミ関係者、歴代の新人賞受賞者など、たくさんの方が贈呈式にご出席くださいました。

左から、佳作の石川さん、新人賞の加藤さん、佳作の奥野さん、森さん。

写真左:受賞スピーチをされる加藤さん。作品への真摯な想いに、涙する人も。
写真右:選考委員の中川ひろたかさんが、パーティの乾杯のご挨拶。軽妙な語り口で、会場に笑いの花が咲きました。

選考委員の宮西達也さんと、受賞者のみなさん。思わず笑顔がこぼれます。

選考委員の大島妙子さん、こみねゆらさんと、受賞者のみなさん。記念にパチリ!

加藤さんを囲んで、中川さん、昨年新人賞を受賞した、種村有希子さん。絵本を見ながら会話が弾みます。

加藤さんと、昨年佳作を受賞した、澤野秋文さん。あれ、澤野さん、緊張してますか?

パーティでは、昨年新人賞を受賞した、種村さんのデビュー作『きいのいえで』と、佳作受賞の澤野さんのデビュー作『それなら いい いえ ありますよ』の紹介もあり、和やかな雰囲気に包まれた素敵な時間でした。今年も、新たな才能が、たくさん芽吹いた絵本新人賞。今後の受賞者たちの活躍をご期待ください。来年の応募も、お待ちしております!

受賞者の言葉

新人賞
『てがみぼうやのゆくところ』 加藤晶子(神奈川県)

『てがみぼうやのゆくところ』より

この度は、新人賞をありがとうございます。受賞の知らせを聞いて更なる努力をしていかなければと思いました。この絵本は、手紙を送り出す時のドキドキとポストに入っていた時の嬉しい気持ち、送る人と送られる人両方の気持ちを背負った手紙自身にも旅をしてもらったら楽しいなと思い描きました。

『てがみぼうやのゆくところ』より

「元気ですか?」その一言で元気になれる、元気をあげられる、手紙はちょっとした魔法。私もこの絵本で一人でも多くの方に小さな魔法をかけられたら嬉しいです。今後もささやかな日常の中にも生命力のある絵本をユーモアを持って描いていきたいと思います。

佳作
『あそこまで』 奥野哉子(大阪府)

『あそこまで』より

雑記帳をひらいてみると、「あそこまで」の絵本としてのイメージは7年前にふと思いついたものでした。具体的な自分のこれからを見いだせず、ただただもがいていた時でもありました。思い浮かんだのは向こうの方にみえる満開の桜の木だったことを覚えています。あそこまで、あの桜の木の下まで行こう。それだけでいいじゃない。と、色々頭で考えすぎていた自分自身の小さな気づきでもありました。
何度もあたため直しながら、少しずつ絵本というひとつのかたちに近づいてきたことがうれしいです。本当にありがとうございました。

佳作
『なんと!ようひんてん』 石川基子(愛知県)

『なんと!ようひんてん』 より

「締め切りまであとx日しかないのに、まだy枚しか描けていない!」
xはどんどん減っていくのに、yは一向に増えていかず……。応募を諦めるのなら早い方がいいと、何度もくじけそうになりました。が、描きあがった絵やラフを見て、「おもしろい!」と自画自賛、自画自笑(?)して自分を励まし、描き続けました。常々、絵本作りに必要だといわれる「自問自答」は、この際後回しにして…… 。
あちこち悔いも残りますが、すばらしい賞をありがとうございました!

佳作
『ボクんちたてかえます』 森みちこ(富山県)

『ボクんちたてかえます』より

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