仲里依紗が考えるファッションの力 「好き」を身に着けることは自分の可能性を広げること 「映画おしりたんてい」で美術品を愛するかつての相棒キャラに挑戦!
『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』公開記念! 俳優・仲里依紗さんインタビュー
2024.03.19
ライター:小川 聖子
一方、現在登録者数が195万人を超える大人気YouTubeチャンネルでは、家事や育児に奮闘し、ときにはすっぴんで愚痴をこぼす等身大の姿をさらけだし、同世代や子育て世代を中心に大きな共感を集めています。
そんな仲里依紗さんがこのたび、『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』でゲスト声優を務めることに。Ane♡ひめ.netでは、映画の見どころとともに、仲さんの子ども時代やおしゃれのモットー、子育てについてまでたっぷりお伺いしました。
過去と現在で見た目も変わる スイセンはピュアな女の子
仲さん まずは私も大好きな「おしりたんてい」シリーズに参加できたことが本当に大きな喜びでした。私が演じたスイセンは、もともとはおしりくんの相棒でしたが、10年前に突如姿をくらませた謎の存在。
映画では過去と現在、両方のスイセンの姿が描かれているのですが、雰囲気や服装もガラリと違っていて……。どちらのスイセンも常に一生懸命でピュアなところがとても好きだなと思いました。
──そのときの自分のあり方がファッションにも表れているスイセンは、仲さんと共通するところもある気がします。仲さんの今日の衣装もスイセンのようですね。
仲さん ありがとうございます。今日は山本寛斎さんとコラボレーションした「ANNA SUI」のメタリックのライダースジャケットを中心に、スイセンのカラーであるグリーンをパンツやヘアなどいろいろな部分に入れてもらいました。
──とても素敵です。映画では、スイセンとおしりたんていの学生時代や、意外なエピソードも明かされていましたね。
仲さん そうですね。この作品では、まだまだみなさんが知らないおしりくんの一面やエピソード、そしてスイセンとの意外な関係も楽しく見られると思います。
おしりくんはちょっと鈍いところもあって、スイセンは大変だなと思いますが……(笑)。謎解きはもちろん、大人も感動してしまうストーリーになっているので、ぜひ家族やお友達と見ていただけたらと思います。
子どもたちには自由におしゃれを楽しんでほしい
仲さん 私の子ども時代は今とはまったく違うので、当時を知っている人たちは驚いていると思います(笑)。もともと人前に出ることが苦手で、特に国語の授業でひとりずつ行う音読は、緊張のあまり声が震えてしまうから、大キライだったんです。
それが今、こうしてたくさんの人の前でセリフを読むようになって、自分でも驚いています。
──当時はどんな遊びやファッションが好きだったのでしょうか。
仲さん 匂いつきの消しゴムやキラキラしたペンみたいな、とにかくかわいい文房具を集めるのが好きで、大きなショッピングセンターにある雑貨屋さんに通ったりしていました。
ファッションは……うちは家が洋服屋さんだったので、服はたくさんあったのですが、自分が気になるものというのはなかなか手に入れられなくて。
私自身は『ラバーズハウス』とか『メゾピアノ』が好きでしたね。特に『メゾピアノ』の、ピンクの世界は大好きで……意外と私、ピンクが好きなんですよ(笑)。ちょっとモテ系みたいな。
自分でコーディネートも組んでいて、当時流行っていたルーズソックスには、チェック柄のスカートを合わせてよく着ていました。友達とも交換日記やプロフィール帳で情報交換をしていたことを覚えています。
──仲さんが今の子どもたちにおしゃれのアドバイスをするとしたらどんなことでしょうか。
仲さん 「自分が着たいものを着てほしい!」とすごく思います。周りの目はあまり気にしないで、自分の可能性を広げてほしいなって。
女の子がパンツスタイルが好きでも、男の子がかわいいものを好きでもいいじゃないですか。「心の自由さ」というのを、幼いころから身につけてほしいなと思います。
私自身、今身につけているものはすべて好きなもの、ときめいたものなんです。「合わせやすいから」みたいな理由で服を選んだり、買ったりすることはなく、ひたすら「好き」だけを追い求めるのが私のポリシーで……。
自身のYouTubeチャンネルでは買い物企画などもやっていますが、そこでも本当に好きなものしか買っていませんし、無理にお金を遣うこともしていません。その結果、こんな感じでめちゃくちゃ派手になっています(笑)。
──仲さんらしさが伝わってくるファッションだと多います。仲さんがご自身のお子さんに声がけすることはありますか。
仲さん あります。ただ、息子は小学校高学年になりますが、今のところファッションにはあまり興味がなくて。「何を着ればいいの〜?」って聞いてくるので、その度に私は「何を着たいの? この中でどれが好きなの?」って聞き返しています。
それで本人を観察していると、だいたい黒か白のモノトーン、色だったら赤を選ぶんだ、なんてことがわかってきました。最近は「絶対これがいい!」って言うことも増えてきているので、それがどんなものでも、彼が着たいものならそれが一番、と思って任せています。
ファッションは、気持ちを切り替えられるもの
仲さん それはやっぱり、自分の身にまとうファッションやヘアメイクですね。いろいろなものに挑戦したくて、instagramを見たり、pinterestを見たりして、インスピレーションをもらっています。
髪色にしても、いろいろな色を取り入れてみて「自分はどれが一番楽しかったかな?」って考えています。あんまり染めていると髪の毛もちぎれてくるのに……もう、身を削ってやっています(笑)。
それでもやるのは、自分の中でファッションが大きな「切り替え」になってくれるから。役者という仕事をしていると、どうしても自分ではない他人の人生を生きなければならなくて、それがめちゃくちゃ辛いときもあって……。
衣装にしても、もちろん役だから仕方がないのですが、「これは自分では着ないんだよね」というものもあるんです。
──世の中のお母さんたちも、「ここの送り迎えはネイビーの服じゃないと」とか、「周囲から浮かない格好じゃないと」というストレスや葛藤を抱えています。だからこそ、仲さんの華やかなファッションには元気をもらえる気がします。
仲さん だとしたら嬉しいですね。私は私生活でやりたいことをやれているからこそ、役に入っても頑張れる、ということがすごくあります。性格的に、寝たら忘れられるとか、切り替えが早いところも役者向きなのかもしれませんが……。
「お母さん」も「俳優」も、「だからこうしなきゃいけない」ということはないと思っています。誰かが決めた「目に見えない不透明な何か」に縛られたくないという意識は子どものころから持っていて。
私は三姉妹の長女だったので、「お姉ちゃんだから」「長女だから」みたいなことをよく言われていたのですが、それが本当に憂鬱で。「なんで私だけ『お姉ちゃん』をやらなきゃいけないの?」って思っていました。まぁ、やっていましたけどね(笑)。
だから、息子には「男の子だから」みたいなことは一切言わないようにしています。男とか女とか関係なく、好きなものを選んで、好きなように着ればいいし、やればいい。ただ、うちのダンナがちょこちょこ言うもんだから(笑)。そうやってまわりが何か言うと、気にして選ばなくなっちゃうものもあるんですよ!
まぁ、夫だけでなく、成長していくとまだまだまわりから「男の子だから」とか「これはこうあるべき」みたいなことを言われる機会はありますよね。それでも私はなるべく自由に生きてほしいなと思っています。
仲里依紗さん
1989年生まれ。長崎県出身。俳優、タレント、モデル。
2006年、劇場版アニメ『時をかける少女』(06)でヒロインの声を演じ、高い評価を受け話題に。その後も映画やドラマで俳優として活躍するほか、登録者195万人を超える大人気YouTubeチャンネルを運営、アパレルブランドのプロデュースなども行う。
『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』
映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ
2024年3月20日(水・祝)全国ロードショー
原作:トロル
監督:セトウケンジ 脚本:高橋ナツコ 成田 順 音楽:高木 洋
声の出演:三瓶由布子 齋藤彩夏 櫻井孝宏 杉村憲司 池田鉄洋 小西克幸 中村まこと 渡辺いっけい
ゲスト:仲里依紗 津田健次郎 二又一成
キャラクターデザイン・作画監督:真庭秀明 製作担当:末竹 憲 編集:𠮷田公紀 録音:澤村裕樹 音響効果:中原隆太
美術デザイン:増田竜太郎 美術監督:東 美紀 色彩設計:森 綾 撮影監督:則友邦仁
制作:東映アニメーション 製作:2024「映画おしりたんてい」製作委員会 配給:東映
上映時間:71分 コピーライト:©トロル・ポプラ社/2024「映画おしりたんてい」製作委員会
撮影/水野昭子(講談社写真映像部)
ヘアメイク/三浦咲衣(FLEURI)
スタイリスト/遠藤リカ