【第４回】この夏だけの特別企画！　「黒魔女チョコの　魔界で!?修行日記」スペシャル連載

「魔女の森へ」

2025.07.30

呪文が聞こえた次の瞬間、あたしは、うっそうとした森のなかに立っていた。

「瞬間移動魔法をかけたんだよ。ここは魔女の森。つまり魔界だ」

魔女の森！　あやしい名前！

「それじゃあ、ギュービッドさまの実家もここに？」

「あたしんちは森のむこうだ。歩いて二時間はかかるな」

「二時間！　どうせ瞬間移動するなら、まっすぐにギュービッドさまの実家に行けばよかったのに」

「そうはいくか。せっかく黒魔法の本場に来たんだ。魔力とはなにか、魔界はどんなところか、いろいろ味わってもらおうと思ってな、わざと遠まわりをしたんだよ」

そういったギュービッド、森のなかをすたすたと歩きはじめた。

「うわぁちょっと待ってぇ！」

見たこともない木ばかりの、あやしい森においていかれるのは、ごめんです。

「見たこともない木だと？　バカいうな。どれも人間界にある木だよ。いっただろ、森の民ケルトの歴史をパクったのが魔界だって」

そうでした！

「たとえば、そこの大木はオーク。森の民ケルトにとっていちばん大切な木で、日本語ではナラっていう。おならじゃないからな。注意しろ」

なんてお下品なオヤジギャグ。

「だけど、魔女の森っていうぐらいだから木に魔力もあるんでしょ」

「もちの、ろん！　そこの低い木はニワトコっていって、邪悪な呪いを解く力がある。ニワトコの木で作った笛を吹けば、死霊の呪いも遠ざけられるぞ」

おっ、がぜん魔法の物語っぽくなってきました！

「物語の世界だけじゃないの。人間は実際にニワトコのパワーを薬として利用しているの。葉っぱは打ち身やねんざに、花は風邪やインフルエンザの症状に効くとされる」

へえ～！　魔法をバカにする大人に、教えてあげたいです。