
子どもが絶対ハマる「はやみねかおる」 時代を超えて愛される『都会のトム&ソーヤ』の魅力とは?
出版ジャーナリスト・飯田一史がはやみねかおる作品を解説 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.05.16
出版ジャーナリスト:飯田 一史
中学受験後の新中1の読書欲を満たす!
私は、わりと属性が違ういろいろな人たちから、はやみねかおるさんのお名前をよく聞きます。例えば、学校図書館の司書の方向けに、「最近の中高生によく読まれている本」について講演した後の懇親会のときのこと。
その学校は、全国トップクラスの進学実績で知られる超有名私立中高一貫校で、司書の方が「我が校では、講談社の「ブルーバックス」シリーズがよく借りられていて、一般的に“人気がある”と言われているような本ってあまり動かないんですよね」と。
「でも春に入学したての新1年生には、はやみねかおる作品がゴソッと借りられていきますね」と話されました。中学受験から解放された反動で爆発した読書欲が爆発している時期に、「進学校の男子が読むのは、はやみね作品なのか」と興味深く思ったことがありました。
はやみね作品の代表作「怪盗クイーン」のクイーンにしても、「都会(まち)のトム&ソーヤ」の竜王創也にしても、主人公は天才的な頭脳の持ち主。ですが、同時に相当変わった人間でもあり、間の抜けたところもある。そんなキャラクターに、進学校の生徒たちは自分を重ね合わせて読んでいるのかもしれません。

ゲーム、謎解きの作り手を触発する
そして、今から10年くらい前。リアル脱出ゲームのような、現実世界を舞台にした謎解きゲーム(いわゆる「ARG」)のクリエイターと一緒に本の制作をしていたことがありました。
クリエイターさんに、「小説で参考にしている作品はありますか?」と聞いたら、「『サーティーナイン・クルーズ』とか『マチトム』ですかね」という返事でした。(※「マチトム」は、「都会のトム&ソーヤ」の略称です)それを聞いて、「ARGを作っている本職の人も『マチトム』から影響を受けているのか!」と、こちらもかなり驚いたことを覚えています。
脱出ゲーム、謎解きを作る人からすると、「物語といえども、『現実で実際にできそうか』『リアルでこれをやったら面白いだろうか』に注目して読む」ことで、刺激を受けて、アイデアが湧いてくると話していました。はやみねかおるさんは、「モノを作る人」に愛されていて、また読者に「何か作ってみたい」気持ちにさせる作家だなぁと改めて思ったのでした。
ちなみに「都会のトム&ソーヤ」の主人公の竜王創也は、超巨大企業グループの御曹司である中学生で、グループの後継者となることを家族からは望まれているのに、本人はリアル空間を使った世界最高のゲーム、「R・RPG」(リアル・ロールプレイングゲーム)を作ることが将来の夢。
創也の相棒で、サバイバルの達人にしてシナリオも書く、もう一人の主人公・内藤内人と一緒に、マンホールのフタを開けて下水道にもぐり込んで冒険したり、集落を丸ごと使ったゲームをプレイしたりして物語が進んでいきます。
2026年4月刊行の「マチトム」最新22巻は、まさに脱出ゲームがネタになっていますね。
































